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DATE/ 2015.08.15

ヨドバシ.com躍進にある「ショールーミング」って?

 通販サイトの覇者といえばAmazonを思い起こす人が多いのではないだろうか。しかし、その環境に変化が起きている。その牙城を脅かすまでに急成長しているのが、ヨドバシカメラの公式通販サイト「ヨドバシ.com」である。

 2014年度、日本国内で売上約8,400億円を達成しているAmazonではあるが、その成長率は鈍化している。

 ここ数年、家電のみならず食料品や書籍など約250万点を超える商品数をカバーするようになったヨドバシカメラの公式通販サイト「ヨドバシ.com」の売上は、2013年度に650億円、2014年度には1,000億円と、このままの成長率の推移で見ていくと2016年度3月末には2,000億円に迫る勢いでなのである。

 2014年度、Amazonにおける家電推定売上が約2,000億であることから、ヨドバシがオンラインショッピングにおいて、取り扱うアイテム数如何でAmazonに追いつくことは、不可能ではない未来として予測される。

 ではなぜ、他の通販サイトと比較して「ヨドバシ.com」がそこまでの売上げ実績を出せているのか?

 その最大の理由は、Amazonにひけをとらない配送時間と無料配送エリアの拡大、取り扱うアイテムの拡大戦略にあるのだが、これからのポテンシャルとして、実店舗から通販につなげる「ショールーミング」からの逆転施策に注目したい。

 多くの消費者は家電製品などを買う際、小売店で商品の実物の印象や手触りなどを確かめ、価格.comなど比較サイトを通じて、最安値、ポイント還元、在庫、納品日数などを総合しながら、ネット通販で注文する購買行動が一般的になっている。消費者にとって小売店は、いわば商品を見るためのショールームに過ぎなくなってきているといってもよい。

 例えば本を買うとき、書店で中味を確認し、その場では買わずにAmazonでポチる(クリック購入)ことが多いのではないだろうか。今は、当日配送も可能になっており、当日の夜には購入した本が届けられる配送のクオリティがある。かさばり重い本を持ち帰る手間も省けるのだ。

 こうした、ただ商品を確認するだけの「ショールーミング」という消費者の行動は、ある種の罪悪感はぬぐいきれないものの、経済的で合理的な買物のプロセスとして定着し、書店や家電量販店を苦しめることになってきた。

 ヨドバシカメラは、この「ショールーミング」を逆に推奨する。

 ヨドバシカメラの店頭に並ぶ商品のすべてにバーコードが付いており、公式アプリで商品の競合価格や在庫状況をその場で確認できる。店頭から公式通販サイトであるヨドバシ.comに誘導する仕組みを構築しているのだ。

 ヨドバシカメラの店頭で買い物して配送を依頼すると送料は別途で支払う場合が多い。しかし「ヨドバシ.com」を確認すると同じ商品でも配送料は無料となっており、急ぎで商品が必要な場合を除けば、その場でネット注文するほうがお買い得になっているケースも少なくないのだ。

 こうしたヨドバシカメラの実例から、「ショールーミング」に対応した実店舗の可能性に期待したい。

(10MTV編集部)

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