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DATE/ 2022.11.09

「スペアタイヤ」はなぜ消えたのか?

 かつて、乗用車には必ずといってよいほど「スペアタイヤ」が搭載されていました。パンクしたときに交換するための予備のタイヤですね。車体下、トランクルームの下部、もしくは車体の後部にわかりやすく取り付けられている車種もありました。しかし近年では、「パンク修理キット」が搭載され、スペアタイヤが装備されることはほとんどなくなっているようです。今回は、そのあたりの事情について調べてみました。

スペアタイヤの役割と性能

 パンクしたときに交換するための予備のタイヤとして、その主流はテンパータイヤと呼ばれるタイプです。標準のタイヤとは性能と役割に大きな違いがあり、テンパータイヤはあくまでもテンプ(一時的)という位置付けで、あくまでも応急用のタイヤとして使用されます。ちなみに、4WD車など、標準タイヤをスペアタイヤとして使用する車種もあります。

 テンパータイヤを標準のタイヤと比較すると、タイヤ幅、設置面積などが小さな設計になっており、それは設置スペースや車の積載重量を抑えるメリットを得るためです。

 デメリットとしては、タイヤ幅が狭いためにグリップ力が低く、走行性能は決して高くないことが上げられます。最高速度も時速80kmと定められ、走行距離は100km以内に制限されていることもあり、トラブル回避後は速やかに標準タイヤと交換する必要があります。

 なお、スペアタイヤは未使用でも時間の経過とともに空気圧が減るので、緊急時に装着して安全走行に支障をきたすことがあります。なので、スペアタイヤが装備されている場合は、定期的に空気圧をチェックしたほうがよいでしょう。

スペアタイヤが標準装備されなくなったのは?

 ロードサービスが受けられないような不測の事態もあるのでスペアタイヤ装備はあったほうがよさそうですが、近年、なぜ装備されなくなったのでしょう。

 その要因としては、「スペアタイヤ装備の車検項目廃止」が挙げられます。車検項目廃止については、「燃費向上のための軽量化」「車室空間の自由度向上」といった、環境への配慮、市場動向が影響し、これを機に自動車メーカーはスペアタイヤの標準装備を減らしていきます。

 スペアタイヤの代わりとなるのが、「タイヤパンク応急処理キット」装備です。一般的にタイヤの空気圧を調整するコンプレッサーと補修材などがセットされ、大きめの穴などは修理が難しいですが、小さな穴によるパンクには問題なく対応します。

 ただ、テンパータイヤと同様に、応急処理キットによる修復では、長距離走行はできず、速やかに自動車工場などでタイヤ交換する必要があります。

 道路も整備され、JAFや各種保険のロードサービスも充実しつつあることや、パンクのリスクも低減していることから、装備としてはタイヤパンク応急処理キットで十分というような流れになっているようです。

スペアタイヤも装備できれば安心

 ドライブが趣味で遠出するような場合、万全を期すなら、やっぱり、スペアタイヤ装備が安心です。標準で装備されていなくても、車種によってはオプション装備できるものもあります。新車購入の場合は、目的とともにディーラーなどに相談して、スペアタイヤのオプション装備の検討をオススメします。

<参考サイト>
ZURICH:スペアタイヤ・テンパータイヤとは。交換方法、車検、走行距離や寿命、空気圧について
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-sparetires-temporarytire/
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