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DATE/ 2022.12.11

トラックの荷台に人を乗せるのは違法か?

 映画でも見ることのあるトラックの荷台に人が乗っている光景。実際に田舎の農道であったり、お祭りやイベントなどのときに目にしたこともあるでしょう。しかし、トラックの荷台に人を乗せるのは法律的に大丈夫なんだろうかと思ったことはありませんか?

荷台に人が乗るのは基本的には違法

 道路交通法の五十五条には「車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、または乗車もしくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない」と明記されています。「乗車のための設備された場所」とは座席しかありませんので、それ以外の場所に人を乗せるのは法律で禁止されていることが分かります。

例外となるケースも

 基本的には法律違反になってしまうのですが、例外として認められているケースもあることが、五十五条から五十七条に記されていますので紹介しましょう。

 ひとつめは「貨物の看守が必要な場合」。荷物の形状がバラバラだったり荷物が少なくて固定しにくかったり、人が荷物を見守る必要がある場合には、最小限の人が荷台に乗っても良いとされています。ただし、何人まで乗れるのか、荷台に乗るときにヘルメットをつけるなどは定められていません。その場合にはスピードを落とした運転をすること、荷台に乗る人の安全も確保する必要があります。

 ふたつめは「許可を受けている場合」。車の出発地を管轄する警察署に荷台乗車許可申請書を提出し、署長の許可が降りれば荷台に人を乗せることが可能となります。パレードなどの催事や祭りの際にはこうした手続きをふまえた上で認められているのです。

 また例外中の例外となりますが、自衛隊のトラックの荷台に人が乗っているのを見たことがある方もいるでしょう。自衛隊に関しては自衛隊法という独自の法律があり、定められていて、荷台に人を乗せた状態で公道を走ることが許されているのです。

荷台に人を乗せるときの注意点

 上記の通り、基本的に荷台に人を乗せるのは違法ですが特例として認められるケースもいくつか存在しています。そのため、人を荷台に乗せて運転するケースや、荷台に乗ることがあるかもしれないので、そのときの注意点を覚えておきましょう。大前提として「荷台に人が乗るのは自己責任」となるので、安全には特に気を付けることが大切です。

 何より大切なのは、安全運転を心がけることです。荷台にはシートベルトもなければ、身を守る屋根などもありません。走行速度、ハンドル操作、急なブレーキがないように最大限の注意を払った安全運転をすることが大切です。また、車通りが多い道では注意をしていても他の車の事故に巻き込まれる危険性もあるので、事故が起こりにくい経路を選ぶことも大切です。

 荷台に乗る側も安全対策を万全にしておくことが大切です。何かあったときのためにヘルメットをかぶっておくことや、無闇に立ち上がったり、荷台から身を乗り出さないことなどに注意が必要です。荷台に乗って良い年齢などの制限はありませんが、子どもが乗るのは危険が大きいので絶対に避けるようにしましょう。

 基本的には法律で禁止されている荷台への人の乗車。もし荷台に人を乗せることがあればいつも以上の注意を払い、安全な運転ができるように心がけてくださいね。

<参考サイト>
・道路交通法 | e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
・トラックの荷台は人が乗っても大丈夫?荷台乗車の条件と注意点を解説! | 中古車なら【グーネット】
https://www.goo-net.com/magazine/knowhow/drive/44999/
・軽トラの荷台に人が乗るのはOK?違法?原則や例外を一挙紹介!! - クロスワーク・マガジン
https://x-work.jp/journal/driver-job/safety/1432/?utm_medium=organic_m&utm_campaign=1432
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