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DATE/ 2022.12.23

電気代を安くする方法とは

 電気代の明細書をみて驚いている人もいるのではないでしょうか。ここ最近、電気代は高騰しています。なんとか安くできないのでしょうか。もちろん電力会社を見直すことは一つの節約の方法ですが、他にはどのようなことが可能なのでしょうか。ここでは、電気代を安くするにはどうすればいいのか、という点について考えてみましょう。

電力会社・契約プラン・契約アンペア数の見直し

 現在、電力事業にはさまざまな会社が参入しています。特にガス会社が提供する電力サービスの場合、ガスと電気をセットで契約することで「セット割」という割引が受けられることもあります。ただし状況によっては、別々に契約する方が安いこともあるので、このあたりはしっかり情報を調べて検討したいところです。

 現在の電気料金を入力して他の会社と比較できるサイトもあります。ちなみに電力会社を変えるのは比較的簡単です。建物全体の一括受電契約になっていなければ、基本的には賃貸でも一戸ごとに契約変更が可能です。また、現在契約しているプランの変更を検討してもいいでしょう。電気料金は契約プランや契約しているアンペア数によって基本料金が変わります。

 基本料金や最低料金は毎月固定でかかる料金です。契約アンペア数を下げると基本料金も下がります。ただしアンペア数は一度に使える電力量なので、これを下げるとこれまで問題なかった状況でブレーカーが落ちることが考えられます。ただし一度の電力消費量の大きい機器(ドライヤーやトースターなど)を使うタイミングをうまくずらせば、問題がない場合もあります。

古い家電の買い替えは節電になる

 電力会社やプランの変更といったこと以外に考えられる方法の一つは、古い電気機器を新しくすることです。まずは照明を全てLEDにすることが考えられます。電球型蛍光灯をLEDにすると消費電力は34%減となります。これでいくと2LDKの場合で年間約9,300円の節約、3LDKで年間約12,060円、4LDKで年間約14,808円の節約になるとのこと。

 また環境省によると、他にも10年前の家電を買い換えるだけで電気料金はかなり下がる場合が多いとのことです。電気やガス料金の比較サイト「エネチェンジ」によると、例えば15年前のエアコンを買い替えた場合は年間6,021円の節約、10年前の洗濯機を買い替えると年間7,785円の節約になる(毎日洗濯乾燥を行う場合)とのことです。

 また、環境省の「しんきゅうさん」というサイトには、電化製品ごとに買い替えた場合に電気代がどれくらい安くなるか、紹介されています。これによるとたとえば電気冷蔵庫(401Lから450L)は約46%減、40V型液晶テレビであれば約42%減、32V型であれば約31%減に。さらにエアコン(冷暖房兼用・壁掛け型・冷房能力2.8kWクラス)は10%減、温水洗浄便座は7%減になるとのこと。古い家電の買い替えはなかなか節電効果が高いことがわかります。

適した器具を適した場所に使う

 とはいえ、買い換えには時間と労力がかかります。今ある器具でどう節約できるのかもみてみましょう。暖房に関しては、どのような暖かさを求めているのか見極めましょう。エアコンの効果があるのは、広い部屋全体を暖かくしたい場合です。足元を暖かくしたければホットカーペットや電気毛布、狭い空間を温めるにはファンヒーターやオイルヒーターが適しています。

 また、ファンヒーターは窓際に置くことで、窓から入る冷気をすぐに温めることができて効果が高くなります。また湿度が高い方が体感温度は上がるので、加湿器も併用するといいようです。もちろん窓の断熱対策も効果が高くなります。また夏場はこの逆で、部屋が外光で暖まりすぎないようにできれば冷房効果が高まります。厚手のカーテンを使うメリットはありそうです。またエアコンのフィルターにホコリが溜まると冷暖房どちらも効きが悪くなります。掃除は怠らないようにしましょう。

電気代が高騰する理由

 それにしても電気代はなぜこんなに高くなったのでしょうか。理由の一つは世界情勢の影響です。日本は資源に乏しい国なので、大半は輸入に頼るしかありません。資源エネルギー庁によると、日本の電源構成(2019年度)は天然ガス37.1%、石炭31.9%、原油等6.8%、新エネ等(太陽光・風力等)10.3%、水力7.8%、原子力6.2%となっています。つまり、天然ガス(LNG)、石炭、石油といった輸入資源によるエネルギーがかなり大きなウェイトを占めていることがわかります。

 こういったことから現在の不安定な世界情勢下では、電気料金に含まれる「燃料費調整額」が上昇することになります。現状ではこの「燃料費調整額」が電力大手10社いずれも上限に達しているとのことです。ただしここで値上げが止まるかどうかはわかりません。電力会社の経営が苦しくなれば、もちろん単価を上げざるを得ません。つまり、基本料金や従量制になっている部分の単価が見直されて、さらに電気料金が上がる余地はあるようです。

<参考サイト>
LEDに省エネ節電効果ってどのくらいあるの?|ESCO
https://www.esco-co.jp/useful/20200527led/
電気代を安くしたい!電気代を年間8万円以上節約する24の方法を紹介|エネチェンジ
https://enechange.jp/articles/smart
電気代の値上げが続く理由は?電気代高騰の原因と家庭でできる対処法!|Looop電気
https://looop-denki.com/home/denkinavi/savings/electricity/price-increase/
今どき、こわれるまで使うのがもったいない! 省エネ家電に買換えると電気代がこんなにおトク!|しんきゅうさん(環境省)
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/
しんきゅうさんの省エネ製品の選び方講座|しんきゅうさん(環境省)
https://ondankataisaku.env.go.jp/shinkyusan/product_selection/04.html
第4節 二次エネルギーの動向|経済産業省 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/2-1-4.html
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