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DATE/ 2023.03.11

「高齢者マーク」はいつから付けるべき?

 少子高齢化の加速に伴い、高齢ドライバーの動向が注目されています。70歳以上の高齢ドライバーは1,285万人、全免許保有者の15.7%を占めています(2021年末統計)。そこで70歳以上のドライバーが運転する車には、高齢者マークをつけることが奨励されています。路上で見かけることも増えてきた高齢者マークのルールや目的について、整理しておきましょう。

そもそも高齢者マークとは? 付け方のルールは?

 高齢者マークは、70歳以上のドライバーが自動車につけるステッカー。正式には「高齢運転者標識」といい、道路交通法では70~75歳の普通免許所有者は「加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるとき」にこの標識をつけて運転するように努めなければならない、とされています。

 マークは2種類。1997年から使用されている旧型は「もみじマーク」と呼ばれ、黄色と橙色の水滴のようなデザインです。2011年からは、色彩豊かな四つ葉のクローバーとシニアの「S」を組み合わせたデザインの「四つ葉マーク」が導入されました。どちらのマークを選んでも構いません。

 これらのマークは、公的な場所では運転免許試験場、免許更新センター、免許更新指定警察署で販売しています。また自動車用品店やホームセンター、ネットショップや100円ショップからも購入可能です。

 つける位置は、初心者マークと同じく地上から0.4m以上1.2m以下の位置で、車体の前面と後方、どちらも見やすい場所に1枚ずつ貼るように推奨されています。着脱の楽なマグネットゴム式が主流ですが、アルミ製ボンネット(2代目以降のトヨタ・プリウスなど)や樹脂製ボンネット(ダイハツ・タント3代目)には装着できません。かといってリアウインドウの内側から取り付ける吸盤タイプをフロントに使用することは、違反になります。着け外し可能なシールタイプのものを探すようにしましょう。

高齢者マークは何歳から貼るものか

 警視庁は、70歳以上のドライバーが車を運転する場合はいかなるときも高齢者マークを車に貼り付けて走行するよう求めています。導入された1997年には75歳以上のドライバーが対象でしたが、2002年に70歳以上のドライバーと対象が引き下げられているので、注意が必要です。

 ただ、厳密にいうと、70歳以上75歳未満については「加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるとき」につけること、75歳以上では全ドライバーが高齢者マークをつけることが求められています。

 高齢者マークを車につけて走るのは努力義務なので、貼っていないだけで罰則に問われることはありません。また、祖父母が使っている車を孫が運転する場合や、帰省した際に両親の車を運転するなど、高齢者に該当しない人が高齢者マークのついた車を運転するという状況もあるでしょう。その場合も、マークをつけたままで70歳未満の人が運転することで違反になったり、不都合が起こることはとくにありません。

高齢者マークのメリットは?

 つけなくても罰則はないのに高齢者マークがあるのは、つけることにメリットがあるからです。すべてのドライバーには「保護義務規定」というものがあり、高齢運転者マークだけでなく初心者マーク、視覚障害者マーク、身体障害者マーク、仮免許練習中の標識を表示している普通自動車に対して周囲の車は安全に走行するよう配慮しなくてはならないのです。

 つまり、このマークは、高齢者ドライバーの安全を守るためのもの。初心者マーク同様、周りの車が、安全に走行するための配慮をしなくてはいけません。そのため、危険を防止するためにやむをえない場合を除いて、高齢者マークの車に幅寄せしたり、無理な割り込みをしたときは道路交通法違反となります。

 違反点数は1点。反則金は大型車(中型車を含む)7,000円、普通車・二輪車6,000円、小型特殊5,000円です。

 ただ、先に言ったような70歳未満の人が運転しているケースでは、高齢者マークを掲示していても保護義務規定は適用されないので、その点は注意しておきましょう。

<参考サイト> ・警察庁:高齢運転者標識を活用しましょう! https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hyoshiki.html ・チューリッヒ保険会社:高齢者マーク(もみじマーク・四つ葉マーク)を貼る年齢は何歳から?義務なの? https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-elderlymark-howoldage-obligation/
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