社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
チャンス広がる~イスラム教徒向け飲食ビジネス
8月までの統計(日本政府観光局調べ)で既に今年の訪日外国人観光客は1287万人に到達。過去最高を記録した2014年の1341万人突破をほぼ確実にしているが、爆買いする中国人が話題となる一方で、イスラム教徒(ムスリム)を対象としたビジネスで避けては通れない「ハラル」も今注目を集めている。
ハラルとはイスラム法で合法なものを意味する。医薬品や化粧品、衣服など生活の中での様々な物品に取り込まれているが、中でも食品について指すことが多い。マレーシアの国際貿易産業省が06年に発表した第3次工業化マスタープランによると、ハラル食品の市場規模は年間5470億ドル(約65.6兆円)、食品以外を含めると2兆1000億ドル(約252兆円)にまで達すると見込まれている。
ムスリムの人口は世界で16億人超。ハラル市場規模がそれだけ大きくなるのも当然だ。イスラム教の信者が多い国というと中東のサウジアラビアやイランなどをイメージするかもしれないが、実は最も多くのイスラム教徒を抱えている国はインドネシア。2億4000万人以上の人口のうち9割以上がムスリムと言われており、隣国のマレーシアと合わせた2国だけで世界のムスリムのうち約14%を占める。
訪日外国人数の伸びを支えているのは中国、韓国、台湾など東アジア地域だが、マレーシア、インドネシアも堅調に数字が伸びており、特に2020年東京五輪へ右肩上がりが増えていくことは濃厚。だが、問題になるのはまだまだ日本でハラルへの理解が広まっていないことだ。
ムスリムが豚肉を食べてはいけないということは広く知られているが、鶏肉や羊肉も処理の仕方が決まっており、キッチンや食器もハラルフード専用のものを用意しないといけない。ではムスリム観光客は異国の地でどうやって適切な店を選ぶのか。頼りになるのは食材や環境など「ハラルである」ことを証明する「ハラルマーク」だ。ムスリム観光客を受け入れる上でこの「ハラルマーク」が肝となってくる。
日本国内では宗教法人日本ムスリム協会やNPO法人日本ハラール協会などがハラルの認証を行っている。具体的にはそれぞれの規格に合わせ食品の材料や過程を監査し、適合するものにハラルマークを与えている。だが、まだまだ日本ではハラルマークを掲げた店舗は多くないのが実情だ。ただ、まだ環境が整っていないということは逆にチャンスだとも言える。
和食を始めとした日本の食事に興味があってもハラルマークがないから心配で食べられない、旅行会社としても選択肢が限られる…。そうした中でホテルや飲食店がハラル認証を受ければ、先行者利益を得るチャンスに直結するだろう。ハラル認証のある飲食店を一覧にしたアプリを作ってみても面白いかもしれない。コメントや評価機能もつければ「ムスリム版食べログ」だ。
日本国内でも市場拡大が見込まれる、けれどまだ環境は整っていない。こんなにおいしいビジネスチャンスはなかなかない、とも言えるのではないだろうか。
ハラルとはイスラム法で合法なものを意味する。医薬品や化粧品、衣服など生活の中での様々な物品に取り込まれているが、中でも食品について指すことが多い。マレーシアの国際貿易産業省が06年に発表した第3次工業化マスタープランによると、ハラル食品の市場規模は年間5470億ドル(約65.6兆円)、食品以外を含めると2兆1000億ドル(約252兆円)にまで達すると見込まれている。
ムスリムの人口は世界で16億人超。ハラル市場規模がそれだけ大きくなるのも当然だ。イスラム教の信者が多い国というと中東のサウジアラビアやイランなどをイメージするかもしれないが、実は最も多くのイスラム教徒を抱えている国はインドネシア。2億4000万人以上の人口のうち9割以上がムスリムと言われており、隣国のマレーシアと合わせた2国だけで世界のムスリムのうち約14%を占める。
訪日外国人数の伸びを支えているのは中国、韓国、台湾など東アジア地域だが、マレーシア、インドネシアも堅調に数字が伸びており、特に2020年東京五輪へ右肩上がりが増えていくことは濃厚。だが、問題になるのはまだまだ日本でハラルへの理解が広まっていないことだ。
ムスリムが豚肉を食べてはいけないということは広く知られているが、鶏肉や羊肉も処理の仕方が決まっており、キッチンや食器もハラルフード専用のものを用意しないといけない。ではムスリム観光客は異国の地でどうやって適切な店を選ぶのか。頼りになるのは食材や環境など「ハラルである」ことを証明する「ハラルマーク」だ。ムスリム観光客を受け入れる上でこの「ハラルマーク」が肝となってくる。
日本国内では宗教法人日本ムスリム協会やNPO法人日本ハラール協会などがハラルの認証を行っている。具体的にはそれぞれの規格に合わせ食品の材料や過程を監査し、適合するものにハラルマークを与えている。だが、まだまだ日本ではハラルマークを掲げた店舗は多くないのが実情だ。ただ、まだ環境が整っていないということは逆にチャンスだとも言える。
和食を始めとした日本の食事に興味があってもハラルマークがないから心配で食べられない、旅行会社としても選択肢が限られる…。そうした中でホテルや飲食店がハラル認証を受ければ、先行者利益を得るチャンスに直結するだろう。ハラル認証のある飲食店を一覧にしたアプリを作ってみても面白いかもしれない。コメントや評価機能もつければ「ムスリム版食べログ」だ。
日本国内でも市場拡大が見込まれる、けれどまだ環境は整っていない。こんなにおいしいビジネスチャンスはなかなかない、とも言えるのではないだろうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう
民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために
ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか
サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生
ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」
『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割
江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08