テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.10.25

最も長生きする都道府県は?平均余命でみる地域差

 厚生労働省が発表した「平成27年簡易生命表」によると、全国の日本人の平均余命は、男性80.79年、女性87.05年と過去最高記録を更新中です。

 では、都道府県別に見た違いはどうなのでしょうか。長生きしたければ、「長寿県」へ引っ越した方がいいのでしょうか。平均余命からだけでは分からない真実を、厚生労働省発表「平成22年都道府県別生命表」から、考えてみました。

1位長野県と47位青森県の差は、男3.6歳、女1.8歳!

 平成22年、全国の日本人の平均余命は男性79.59年、女性86.35年でした。ここからはその数字との比較ですので、ご注意ください。

<平均余命トップ5>
1位:(男性)長野:80.88年、(女性)長野:87.18年
2位:(男性)滋賀:80.58年、(女性)島根:87.07年
3位:(男性)福井:80.47年、(女性)沖縄:87.02年
4位:(男性)熊本:80.29年、(女性)熊本:86.98年
5位:(男性)神奈川:80.25年、(女性)新潟:86.96年

<平均余命ワースト5>
47位:(男性)青森:77.28年、(女性)青森:85.34年
46位:(男性)秋田:78.22年、(女性)栃木:85.66年
45位:(男性)岩手:78.53年、(女性)和歌山:85.69年
44位:(男性)福島:78.84年、(女性)茨城:85.83年
43位:(男性)長崎:78.88年、(女性)岩手:85.86年

 この年の調査ではくしくも、男女ともに1位長野県、47位青森県で共通していました。長野県と青森県の平均余命の差は、男性で3.6年(歳)、女性で1.84年(歳)になります。新聞等ではこの数字だけが発表されるため、「長野は長寿県、青森は短命県」というイメージが一人歩きしているかもしれません。

65歳で移住したら、余命差は男2.12歳、女1.67歳

 平均余命は0歳の時点を基準としているので、例えば今40歳の男性が長野県では(80.88-40=40.88年)生きられるということではありません。40歳の平均余命表では、長野の男性は42.13年。つまり82.13歳まで生きるのが平均的だということです。

 それでは、多くの人が引退し、年金を受ける65歳ではどうなるでしょうか。

<65歳平均余命トップ5>
1位:(男性)長野:19.71 年、(女性)沖縄:24.89年
2位:(男性)沖縄:19.50 年、(女性)熊本:24.57年
3位:(男性)熊本:19.46 年、(女性)島根:24.51年
4位:(男性)京都:19.20 年、(女性)長野:24.36年
5位:(男性)福井:19.19 年、(女性)広島:24.31年

<65歳平均余命ワースト5>
47位:(男性)青森:17.59年、(女性)栃木:23.22年
46位:(男性)秋田:18.10年、(女性)青森:23.28年
45位:(男性)栃木:18.30年、(女性)埼玉:23.42年
44位:(男性)大阪:18.31年、(女性)茨城:23.44年
43位:(男性)和歌山:18.35年、(女性)群馬、大阪:23.47年

 65歳の日本人の平均余命は男性18.78年、女性23.84年ですから、年齢にすると男性83.78歳、女性88.84歳となり、少しトクした感じです。0歳児平均余命との2.5~3年差が何を意味するかというと、65歳まで無事に到達した人の多くはそれだけの長寿を全うできるということです。

 65歳時点での都道府県間の差は、男性では長野県と青森県で2.12歳、女性も沖縄県と栃木県で1.67歳差にまで縮まります。

 ちなみに、東京都区部の65歳平均余命は男性18.59年、女性23.76年。このデータを見る限り、両親が定年後に夫婦で沖縄に移住したいと望むのは、多少とも理にかなった選択と思えますし、青森出身の両親に定年後は郷里で過ごしたいと言われたら少しためらってしまうかもしれません。

夫婦で長寿を楽しめるのはどこの県?

 75歳の日本人平均余命は男性11.50年、女性15.33年ですから、期待できる長寿はさらに伸び、男性86.5歳、女性90.33歳が望めます。

<75歳平均余命トップ5>
1位:(男性)沖縄:12.35年、(女性)沖縄 16.46年
2位:(男性)長野:12.05年、(女性)熊本 15.98年
3位:(男性)熊本:11.91 年、(女性)島根 15.95年
4位:(男性)大分:11.86年、(女性)石川 15.76年
5位:(男性)京都:11.75 年、(女性)広島 15.74年

<75歳平均余命ワースト5>
47位:(男性)青森:10.67年、(女性)青森:14.87年
46位:(男性)秋田:11.02年、(女性)栃木:14.88年
45位:(男性)栃木:11.06年、(女性)埼玉:14.90年
44位:(男性)和歌山:11.11年、(女性)茨城:14.96年
43位:(男性)大阪:11.22年、(女性)三重:14.97年

 夫婦そろっての長寿は沖縄県と熊本県の南方勢が断然強いですね。とはいえ、ここまでくると、1位と47位の差も、男性1.68歳、女性1.59歳まで縮まっています。

 75歳を過ぎると、地域差はあまり関係がなく、男女差もかなり縮まってきます。ここからが本当のゴールデン・エイジということでしょうか。

<参考サイト>
・厚生労働省ホームページ(平成27年簡易生命表、平成22年都道府県別生命表)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life15/ http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk10/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授