テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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DATE/ 2016.10.27

水圧、時間…ウォシュレットの正しい使い方

 温水洗浄便座にはウォシュレットやシャワートイレなどいろいろありますが、皆さん、正しく使っていますか?

 「おしりだって、洗ってほしい。」というインパクトのあるキャッチコピーがテレビで流れたのは1982年のこと。TOTOのCMでした。それから三十数年、温水洗浄便座は現在では日本の家庭の約7割に取り付けられています。ですが、最近では少々間違った使い方で問題もあるようです。

水流・水圧は弱めに

 「トイレに関する意識調査」(20~50代の男女300名ずつ対象、インターネットによる回答、クリエイティブサーベイ株式会社)によると、温水洗浄便座の水圧は「やや強め」を好む傾向があるそうです。汚れをしっかりと落とそうと、強い水圧で洗っている方が多いのでしょうか。

 しかし、強い水圧で洗うとお尻の皮膚を痛めてしまったり、痔を悪化させてしまったりします。肛門周りには、腸内にばい菌が侵入しないように粘液が分泌されています。強い水圧ではこれらも洗い流してしまいます。また、洗い流してしまってからトイレットペーパーで強くこすれば、そこから炎症が起きることも考えられます。やはり強い水圧で洗うのは避けたほうがいいといえるでしょう。

洗う時間は5秒から最長10秒まで

 ではどう使えばいいのでしょう?お尻の表面を洗うのであれば5秒から10秒もあれば十分。これ以上かける人はおそらく少し内側まできれいにしようとしているのではないでしょうか。

 特によくないのは、肛門を広げた状態で洗う方法です。先述しましたが、肛門を広げた状態で洗うと、外側の粘液ばかりでなく、腸を保護している内側の粘液まで洗い流してしまうことになります。このようなことから、皮膚炎や痔になってしまうこともありえるのです。

 というわけで、以下の手順をオススメします。排便後まずトイレットペーパーで軽く拭く。次に、温水で5秒から10秒、お尻のシワあたりをさっと洗う。その後、トイレットペーパーで軽く押さえて水分を拭う。この3つのステップで、くれぐれもお尻に負担をかけないようにしましょう。

温水洗浄便座は便秘解消に使うものではない

 便秘のとき、温水洗浄便座でおしりを外部から刺激して排便を促すという人もいるようです。しかし、実はこの方法、危険です。

 通常、便が肛門付近に集まると神経が反応し自然と便意が訪れるため、トイレに向かいます。しかし、温水洗浄便座による外部刺激で便意を誘発すると、自然な便意が起きにくくなるのです。

 これが日常化してしまうと、自力で排便する機能が不全に陥ってしまう、つまり通常の自然な便意がやってこなくなる恐れがあるのです。排便機能不全になると、便秘がさらに悪化することは言うまでもありません。便秘はストレスコントロールや食事と生活リズムの方向などから解消を目指し、ひどいときは医師に相談することです。

 温水洗浄便座のおかげで、私たちの生活は改善されたことはたしかですが、お尻は大変デリケート、温水洗浄便座の使い過ぎにはくれぐれも気をつけてください。

※「温水洗浄便座」はお尻を水で洗う機能を備えたトイレのことを指し、ウォシュレットはTOTOの登録商標、シャワートイレはINAX(LIXIL)の登録商標です。

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