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今の日本の国民性では核も軍隊も持たせられない

読書と人生(9)「護憲論者」に転じた理由

情報・テキスト
かつて憲法第9条に反対論を唱えていた執行草舟は、近年、憲法9条護持論者になったという。その理由は、日本があまりにも「自立」からかけ離れてしまったからである。江戸時代の武士たちは、刀を抜いたら切腹であった。抜けば切腹のもの持たせる。それが武士道なのである。だが、今の国民性では、核や軍隊を使ってしまいかねない。また、今の行き過ぎた「いじめ根絶」「パワハラ根絶」「働き方改革」などは「インパール作戦」と同じでもある。これでは危うくて仕方がない。(全10話中第9話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:15:25
収録日:2019/05/14
追加日:2019/10/11
カテゴリー:
≪全文≫

●「刀を抜けば切腹」の覚悟が武士道


―― 武士道は強烈に日本に根付いていたのに、「武士道」と言ってもわからない人が急速に増えています。どれくらいのところから、こんなことになったのでしょう。

執行 やはり戦後、アメリカが原因です。

―― 徹底的に、骨抜きにされた。

執行 魂を抜かれたのです。間違いありません

 僕は60歳を過ぎるまで、みんなから「右翼」と言われていました。違います。僕は右翼が大嫌いですから、右翼ではないのですけれども、「右翼だ」といわれていたのです。ただし、そう見えたのでしょう。「憲法9条は何とかしなくてはいけない」などといっていたのですから。ところが60歳を超えるまで憲法9条反対論者だった僕が、びっくりするかもしれませんが、60歳を過ぎて憲法9条護持が自分の思想になりました。なぜなら、この国はもう自衛は無理だと思うからです。自衛ができないところまで来ています。

 もし日本が原水爆を持った場合、今の国民性からすると必ず中国か朝鮮に落とすと思います。この国民性です。これだけマスコミの言うとおりにしか動かない国民性なのですから。マスコミは、原水爆を持ったら、「落とせ」という論調になるに決まっています。現に中国は許せないことをする国ですから。だから持てば日本は必ず落とすと確信できます。

 武力にしても、本当の軍隊として持てば、必ず行使します。今の自衛隊は軍隊ではないから戦争できない。戦争できない軍隊だから、持っていてもいいだけです。

―― そういうことですね。今のこの状況では、9条は変えないほうがいいのですね。

執行 僕はそう思います。ただ、日本人だから当然ですが、「9条はGHQの圧力で作られたもので、こんな憲法を持っているのは国家ではない」という気持ちにおいて僕は最先端にいます。しかし、それが変わったのです。今のマスコミやこの現状を見ると、日本がもう自立して生きられない。人間で言えば、人工呼吸器がついているようなものです。「独立した人間」ではない人間に刀や鉄砲を持たせれば、人殺しするに決まっています。

 昔の武士がすごかったのは、毎日刀を差していながら、けっして抜かなかったことです。人前やお城で抜けば切腹ですから。抜けば切腹のものを持たせる。それが武士道だと思うのです。

―― そうか、抜いたら切腹ですね。

執行 松の廊下も、みんなそうです。抜いたら切腹なのは江戸城だけでなく、あらゆる場所でそうです。一般的に、人前で抜いたら、どこでも大変な懲罰が下されました。「ならば持たせなければいい」というのが今の論調ですが、「抜いたら人生が終わり」「城中や、目上の前で抜いたら切腹」。それを持たせているところが武士道なのです。本人の意志で抜くか抜かないかを、一生涯、試される。そして抜いた日が、終わりです。僕は武士道からそれを学びました。それが人生だと思うのです。

―― 「抜いたらお終い」という、その重圧と戦う。

執行 武力を持てる、原水爆を持てる国は、本当はそういう国でなければなりません。発動したら終わりなのです。少なくとも戦争なら、戦争をやると決めた人が切腹できる国でなければダメです。戦争を決めた人が、決めた日に切腹ができる国になって初めて、武力が持てると思います。

―― だけど今の国民性だと……。

執行 全然ダメです。


●「インパール作戦」と「いじめ根絶」は変わらない


―― あまり戦前と体質が変わっていませんね。

執行 まさに大本営です。南方の島の玉砕にしても、ダメに決まっている場所に、弾も送らない、食糧も送らない、引き上げさせもしない、そして全員殺した国など、歴史上日本だけです。1回の失敗なら、まだわかります。1回、作戦として失敗して玉砕というのは、ローマ帝国でもあります。しかし、日本はわかっている玉砕ですから。それを終戦まで続けたのです。これと今の皇室礼賛と令和フィーバーと、何も変わらないと思います。今の弱者優先と南方の玉砕も、何も変わりません。この国の特徴で、とめどもない突っ込み方をする。

 これが治らない限りダメです。もちろん、戦争の反省もそうです。今の人間はイカれて見えますが、軍国主義が復活したら、茶髪の若者たちも全員が特攻隊に行くと思います。彼らは「流行り」だけで動きますから、特攻隊が流行ればやります。

―― 確かにそうですね。

執行 僕は戦争史の本も大好きでいつも読んでいますが、日本人のひどさは玉砕のとき、「家族主義」ということで女子供も全員道連れにしたことです。当時の朝鮮人の軍属は、全員逃がしてくれました。普通の国と逆で、普通の国は外人から殺します。日本は日本人を全員殺して、朝鮮人は全員逃がした。それで今、従軍慰安婦問題などで困っているのです。売春婦といえども日本人の売春婦は、みんな...
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