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「理念によるマネジメント」で運命を切り拓く

真のやる気とは何か(7)真のやる気は「根っこ」から

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
宿命の「汚い部分」「嫌な部分」に真っ正面から体当たりしないと、自己信頼には至れず、運命も切り拓くことができない。それは「日本の宿命」を考えても同じである。成果主義、企業統治改革、西洋合理主義、はたまた明治時代に輸入した法律など、本当の意味で「日本人の身の丈に合わないもの」を取り入れたところで、もたらされる結果はマイナスになることが多いのである。失われたものを取り戻す「精神の復活」なくして、国もビジネスも人も理念を掴むことはできない。(全14話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14:00
収録日:2020/04/10
追加日:2020/08/14
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≪全文≫

●なぜ友情のなかで「戦友愛」が一番強いのか


田村 たしかに、最初に(営業マンたちが現場を)回ったころは、悪口ばかりでした。昔、売れていたときに、キリンが欲しいというところに割り当てていなかったから、この恨みつらみもあったのです。「キリンビールを10ケース注文したら、キリンレモン10ケース引き取らされて、それを捨てるしかなかった」とか、そういうマイナスからのスタートでした。それを全部聞いたうえで、そのうえでやっていたのです。ですから、それは得意先から見ると、「文句はいったけれど、ここまでキリンがやってくれるのか」というので、関係が強くなったのかもしれません。

執行 それは当然で、汚いものからしか信頼は生まれないのです。信頼というのは、汚いというと語弊があるかもしれませんが、「嫌なもの」ですよ。嫌なものを共にしたところに信頼が生まれる。最初にいったエマーソンの自己信頼でも、「人生で汚いものに体当たりしないと、自己信頼にたどり着かない」というようなことが、本にも書かれている。

 一番わかりやすいのは、友情でも「戦友愛」が一番強いとよくいいます。戦友とは、一番嫌なことを共にした人間なのです。お互いに、いつ死ぬかわからないようなところで一緒に戦ってきた。それを戦友という。戦友の友情に勝る友情はないと、一般にもいわれている。これはなぜか、ひと言で答えろというと、人間にとって一番苦しいこと、一番嫌なこと、一番見たくないことを共にしたからなのです。

田村 今でも当時の(高知支店の)メンバーが集まると、嫌なことばかりが笑い話になっています。お客さんにもいろいろな人がいますから。土下座を何度もさせられるとか、いっぱいありました。包丁を突きつけられたメンバーもいましたから。

執行 ビジネス社会では、キリンビール高知支店というのは1つの戦争をやったのです。

田村 そう。だから、一体感がある。隣の新入社員が包丁を突きつけられたら、必ず誰かがサポートに入っていました。高知の人に幸せになってもらおうと思っているから、誰か困っているセールスがいたら、それは何とかしないといけないと、全部、自分のこととしてやっていました。

執行 ただ、「みんな幸せになってもらいたい」というのは、今の日本そのものの姿ですが、その包丁ではないけれど、包丁を突きつけられるようなことをする人もいないですね...
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