『魏志倭人伝』における陳寿の理念による記述
『三国志』から見た卑弥呼(3)『魏志倭人伝』の虚構
早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏によると、『魏志倭人伝』は事実のみではなく、陳寿の執筆意図を色濃く反映したフィクションの部分も多々あるのだが、倭国、倭人の風習を通しておおむね好意的に描かれているという。その...
収録日:2018/03/15
追加日:2018/08/31
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
日本人の死生観を築いていった仏教の宗派は浄土宗・浄土真宗、禅宗、法華宗・日蓮宗であるという。念仏による極楽往生、坐禅がそのまま覚りであること、在家にいながらの菩薩修行は、いずれも死の恐怖に向かう日本人の姿勢をサ...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/09
知っておくべきアメリカの5つのキリスト教宗派の特徴は?
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(4)「5つの宗派」紹介
アメリカの教会には主だった宗派が30、諸派を合わせると約1000ものキリスト教信仰が存在する。今回ではその宗派の中から、イングランド国教会、会衆派、クエーカー、メソディスト、バプティストの5つについて紹介していく。アメ...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/27
なぜ大晦日におせち料理を食べてはいけないか?神様の来訪
折口信夫が語った日本文化の核心(2)宗教文学発生説と「依代」
折口信夫は日本文学について、非常に早い段階から5音句と7音句から成る「律文学」であることに気づいた。これが神とコミュニケーションするための一つの約束事で、そこから日本の文学が発生したと考えた。そこで折口信夫が取っ...
収録日:2022/09/13
追加日:2023/01/02
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
禅とは己事究明の道であるとして、本当の己は何かを究明していく。インドから伝わった仏教を中国が受容するには仏典漢訳の手続きがあり、経典のことばを尊ぶ傾向が生まれる。経典よりブッダ自身に学ぼうとしたのが禅の芽生えで...
収録日:2024/08/09
追加日:2025/01/20
マスメディアとニューメディアの違い
ニューメディアの誕生:マルティン・ルターの宗教改革にかかわらしめて
私たちが始めたこのニューメディアは、既存のマスメディアとは対極にあり、それはマルティン・ルターの宗教革命にも匹敵するものである。社会変革は、一人の視聴者に心を込めて伝えようとするメディアから始まる。
収録日:2013/09/12
追加日:2014/02/24
仏教の死の考え方…釈尊は死ぬが因果法則を覚ればいい
死と宗教~教養としての「死の講義」(4)仏教の「死」・インド編〈下〉
すべてを因果関係であり、輪廻だとする仏教は、覚者である釈尊の死をどう伝えたのだろうか。直接の弟子たちは「宇宙と一体化して雲散霧消した」と考えたが、そもそも釈尊が覚りに至ったこと自体、ゴータマとして一代の修行のみ...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/02
仏国土は水平的世界だが「浄土に登る」―日本的仏教観
法隆寺は聖徳太子と共にあり(4)仏国土はどこにあるか
私たち日本人は、外からの諸物をそのまま受け入れるのではなく、自分たちの基準に従って取捨選択し、自分たちに都合よく組み上げてしまうことを得意とする。そしてそれは、典型的な経典解釈すら、日本風にアレンジしてしまうこ...
収録日:2016/03/09
追加日:2016/10/22
「道徳を語らない=道徳がない」ではない…本居宣長の反論
もののあはれと日本の道徳・倫理(2)日本に道徳はあるのか
「もののあはれ」こそが日本の道徳の基盤にあると論じた本居宣長だが、その議論は、道徳が語られなかった日本には道徳が存在しないという、宣長より少し前の世代の儒者・太宰春台の主張に対する反論として展開された。そのよう...
収録日:2023/08/04
追加日:2024/01/25
水牛に突き刺され生死をさまよった男が出会った「老子」
中国古典思想に学ぶ~そのエッセンスとは(3)老荘思想との出会いと学ぶことの醍醐味
中国古典思想研究を老荘思想からスタートさせたと話す老荘思想研究者・田口佳史氏。そのきっかけは25歳の時。タイのバンコク郊外で生死の境をさまようほどの重傷を負う中、『老子』に出会ったという。中国古典思想を中心とす...
収録日:2014/10/29
追加日:2015/06/11
川は急流、水は澄み切る―日本のリーダーの条件「清明心」
東洋思想を考える~東洋と西洋の融合と日本(2)日本の地理的特性と知的遺産
日本には地理的特性が二つあると語る老荘思想研究者・田口佳史氏。その特性は非常に特異なもので、そこから、世界のどこにもない、日本特有の精神性、文化が生まれている。そして、今も学べる知的遺産もある。そんな独特な日本...
収録日:2014/10/29
追加日:2015/07/09
戦略を考える上で重要な「五事」の一つ目「道」とは何か
『孫子』を読む :計篇(2)「五事」の一つ目「道」
今回から『孫子』の具体的な内容に入っていく。前回強調された「戦わずして勝つ」という『孫子』の重要な哲学は、冒頭の文章からも読み取ることができる。また、その哲学を達成するために行うべき具体的なことは、「道天地将法...
収録日:2019/05/30
追加日:2019/12/03
末法直前に法華一乗思想と浄土信仰を両立した源信の教え
【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(1)末法思想と浄土信仰
恵心僧都としても著名な源信は、平安中期の天台宗の僧でありながら、浄土信仰の展開に大きな影響を与えた。主著『往生要集』は当時、日本だけでなく中国の宋でも高く評価されたという。ここでは、源信の思想展開の背景として欠...
収録日:2021/08/20
追加日:2021/03/25
一枚起請文…法然が最晩年に弟子に説いた教えの内容とは
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(3)『一枚起請文』
讃岐配流から赦免され、京へ戻った法然が死の二日前、弟子源智の願いに応じて記した遺言書が『一枚起請文』とされる。自身の死後、分裂していくであろう弟子たちに向けて、学問や議論よりも「専修念仏」を実践することの重要性...
収録日:2020/09/30
追加日:2021/07/15
地獄の話の「三途の川」「奪衣婆」は日本のオリジナル
死と宗教~教養としての「死の講義」(7)地獄と日本の葬儀文化
われわれが描く地獄のイメージは、道教の考え方がもとになっている。ただし「三途の川」や「奪衣婆」などは、日本オリジナルなストーリーで、迫力満点だ。毎年お盆が近づくと、家ごとに、死者を迎える準備をすることになってい...
収録日:2022/03/03
追加日:2022/05/23
天台宗を純化し法華経を重んじた日蓮…日蓮宗と他宗の違い
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(1)「天台沙門」と題目の功徳
鎌倉仏教の中でも独特の位置を占めるのが日蓮である。日本に対する思い入れを強く持ち、「行動」を重んじた僧で、天台宗の「堕落」に反発し、原点回帰として「純粋な天台宗」の立て直しを目指す。(全3話中第1話)
※インタビュ...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/12/04
日本以上に「西洋化」した中国で、儒教復興の兆しあり?
東洋の普遍、西洋の普遍~中国の思想的課題(3)伝統的「王道」論の再浮上
東京大学東洋文化研究所副所長・教授の中島隆博氏によれば、「中国発の普遍」をめぐる動きの中で、かつて中国思想の中心だった儒教が復興しようとしている。ただしそれはシニカルな復活だ。役に立つのは、伝統的な儒教そのもの...
収録日:2016/04/21
追加日:2016/08/12
個人に重点を置くモデルはデカルト以前と以後に分けられる
道徳と多様性~道徳のメカニズム(2)過去の道徳思想はどうなっている?
東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻教授・鄭雄一氏が「道徳と多様性」について論じる連続講義。今回は、過去の道徳モデルを一気通貫、分析する。見えてきたのは、代表的な思想は2つのモデルに分類できるとい...
収録日:2016/10/07
追加日:2017/01/12
動物の「道徳的な行動」と人間の「道徳」の違いとは
道徳と多様性~道徳のメカニズム(4)道徳は動物にもあるのか?
道徳の基本原理が分かったところで、応用問題に入りたい。東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻教授・鄭雄一氏は、まず「道徳は動物にもあるのか?」を検証する。ほほえましい親子の情愛を見せる動物たちは、...
収録日:2016/10/07
追加日:2017/01/26
黄巾の乱…張角が掲げた16文字のスローガンの意味
「三国志」の世界とその魅力(2)董卓と二袁
早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏による広大な三国志の世界観を基礎から学ぶシリーズ講話。第2回目は黄巾の乱による後漢末期の混乱から、董卓、二袁といった人物が台頭し、勢力地図が次々と塗りかえられていくさまを、地図...
収録日:2017/11/10
追加日:2018/02/01
赤壁の戦いに敗北した曹操の立て直しに見る革新性
「三国志」の世界とその魅力(3)曹操の革新性(後編)
赤壁の戦いで敗れた曹操だが、この敗戦からの立て直しにこそ、彼の革新性の本質を見ることができると早稲田大学文学学術院教授の渡邉義浩氏は語る。中国統一を阻む最大の壁「儒教王国・漢」に、曹操はどのような策をもって向か...
収録日:2017/11/10
追加日:2018/02/15
敵将・曹操からさえも高く評価された関羽の「義」とは
関羽の「義」と現代中国の関係(1)武と義
1800年も前のことなのに、いまだに「誰がいちばん?」とランキングの対象になる三国志時代の英雄たち。日本では、吉川英治の『三国志』の影響で、曹操と諸葛亮に肩入れする人が多い。しかし、本国の中国では、曹操は「奸絶」、...
収録日:2018/03/15
追加日:2018/07/30
日本宗教の特徴…水と油の「神と仏」をつなぐ本地垂迹説
宗教で読み解く世界(5)日本の不思議と世界のゆくえ
日本にもともとあった神道と後から入ってきた仏教は、いわば水と油のような関係にある。そこで日本は時代により、神道と仏教を同じとみなす本地垂迹説と、神仏を分離する廃仏毀釈という、全く正反対の立場を取ることになる。そ...
収録日:2019/01/21
追加日:2019/06/16
「儒教・仏教・道教・禅・神道」の違いと基本的な考え方
人生に活かす東洋思想(3)「儒・仏・道・禅・神道」
日本では、「儒教・仏教・道教・禅・仏教、神道」という思想が育まれ、現在でも根強く息づいている。田口佳史氏は日本にはこれらの教えがあるがゆえに、何か困ったことが起きてもなんらかの教えが導いてくれるのだと言う。それ...
収録日:2019/06/14
追加日:2019/08/31
天に向かう読書に没入、そして「ただ突き進め」!
読書と人生(4)読書だけが運命を知っている
いい人生を送った人とは、自分の運命だけに体当たりした人である。だが、自分の人生は誰にもわからない。だからこそ、読書をし、過去の偉い人もそうしてきたと知ることで、「自分もやるぞ!」という勇気を得るのである。そのた...
収録日:2019/05/14
追加日:2019/09/06
ギリシア神話の基礎に不死の神と人間の死という対比がある
「ホメロス叙事詩」を読むために(2)神々と人間ーその1
ホメロスの世界を学ぶには、彼らが信仰し礼拝していたギリシアの神々を知ることが必要だ。ゼウスをはじめとする神々は人々にとってリアルな存在だったが、彼らが「不死」の存在である点は人間との大きな違いとして明記したい。...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/09/06
建武の新政と千種忠顕、文観、阿野廉子らは本当に悪か?
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(3)2つの評価が交差する「建武の新政」
元の記述に足利政権が改訂の筆を入れたために、複雑な物語となった『太平記』。具体的に、どのような人物についてどのような描き方をされているのだろうか。それを読み取ることで、さらに『太平記』の物語の特長が浮かび上がり...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/15
空海と最澄の関係に大きな影響を与えた「密教」の位置づけ
【入門】日本仏教の名僧・名著~空海編(1)空海と最澄
弘法大師としても知られる空海は、どんな人物だったのだろう。伝教大師とも呼ばれる最澄と対比すると、分かりやすい。二人は同時期に遣唐使として中国へ渡るが、当時の最澄は天皇の帰依篤い貴賓待遇、空海は無名の自費留学生に...
収録日:2020/08/20
追加日:2021/03/04
『古事記』と『日本書紀』の大きな違い…その神話と構造
世界神話の中の古事記・日本書紀(2)『古事記』と『日本書紀』の違い
人間と神との距離感が非常に近い日本神話。その日本神話の代表的なものが『古事記』『日本書紀』であるが、この2作は全く性質が異なるものだと鎌田東二氏は言う。『古事記』と『日本書紀』は、どのような点がどのように異なるの...
収録日:2020/10/05
追加日:2021/04/07
「愛」こそが宇宙の根源、それを認識するのが人類の役目
脱人間論(3)なぜ大宗教家たちは「愛」を語るのか
「愛」を認識する力を持っていることが、人間が他の動物と違うところであり、世界中の宗教家が語っているのも「愛を認識せよ」ということである。宇宙のシステムは、寿命がきた星が爆発して星雲となり、やがてそこからまた新し...
収録日:2021/03/18
追加日:2021/05/07
困難なときにこそ立ち返るべき聖徳太子の理想と古典の知恵
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(6)古典に蓄積された知
聖徳太子への憧れは政治にも生かされたが、旅などを通じてその徳に触れ、自分を磨くチャンスも与えてくれる。このような「古典」を知っておくことは、人生を生きていく上で大きな力となる。日本社会全体が困難に当たっている現...
収録日:2021/06/04
追加日:2021/08/20
結局、主流派と異端派の何が違うか…経済学史の大きな示唆
本当によくわかる経済学史(16)現代の経済学のコンセンサス
1970年後にスタグフレーションに陥ったことにより、ケインズ的な政策よりもフリードマンの金融政策が受け入れられていくことになる。柿埜氏は「実態と理論が合っているからこそ、主流派は主流たり得る」ことを強調し、異端派と...
収録日:2022/06/08
追加日:2023/03/22
日蓮が『開目抄』に記した「我日本の柱とならむ」の誓い
【入門】日本仏教の名僧・名著~日蓮編(3)『開目抄』と法華経への強い思い
『開目抄』もまた佐渡で執筆された日蓮の重要な著作である。そこでは、どのような法難に遭っても法華経を捨てないという強い決意が述べられている。さらに、「我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ...
収録日:2020/09/30
追加日:2022/12/18
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
日本人の中には、そもそもカトリックとプロテスタントの「一番の違い」がどこかも、よくわからない人が多い。さらに「誰が救われて、誰が救われないのかは、予め神様が決めている」という、プロテスタント(特にカルヴァン派)...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/13
「なあなあ」と自粛警察…大和魂と漢才の対から見えるもの
もののあはれと日本の道徳・倫理(4)「なあなあ」の日本ともののあわれ
日本は「なあなあ」でいい――本居宣長は、人それぞれにある切実な「あはれ」に共感し、不道徳な思いをある程度許容することが日本的な道徳であると説いたが、今回取り上げる考え方がこの「なあなあ」である。表立ったルールでは...
収録日:2023/08/04
追加日:2024/02/08
アウトサイダーな乞食僧だった空海、なぜ密教の頂点へ?
空海と詩(1)空海の半生と詩的感性で開く密教世界
真言宗の開祖にして日本三筆のひとりである空海を「詩人」として理解していくのが、本講義の要訣である。鎌田東二氏によると、密教は詩的な感覚をフルに活用した宗教であり、詩が分からなければ密教は分からないという。最初は...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/02
“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは
空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』
“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
空海の「宇宙・密教ミュージカル」が築いた日本文化の土台
空海と詩(7)空海と密教ミュージカル
『三教指帰』を世界最高の卒業論文と評価する鎌田氏は、立身出世の儒教も神仙思想の道教を拒否して、諸行無常・諸法無我の仏教を選ぶ空海には宇宙が投影しているという。そして、空海は、否定するのではなく、どんどんと止揚(...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/12/14
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
大学院を中退して禅の道に進み、アメリカ東海岸で18年間禅堂を開いた藤田一照師に、禅と仏教の心について話を聞いていく。アメリカの禅にはすでに百年近い歴史があり、最初に鈴木大拙が伝えたといわれている。その後、一時はカ...
収録日:2024/08/09
追加日:2025/01/13