人工物の飽和
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
先進国の自動車保有台数は二人に1台からもう増えない?
人工物の飽和
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
地球規模の環境問題、人工物の飽和、豊さから生まれた新たな課題に遠からず世界が直面する。長期のGDP推移、自動車保有台数、セメント投入量など、様々な指標から現代を読み解く。
時間:11分11秒
収録日:2013年10月21日
追加日:2014年6月29日
 今日お話しするのは、私たちは人類史上非常に特殊な節目の時代を生きているということです。一つは「地球環境」、一つは「非常に豊かになったこと」、一つは「非常に長生きするようになったこと」。この三つが大きな特徴です。


●地球という生存の基盤に影響を与えるようになった人間の活動


 例えば、地球環境でいえば、産業革命以前280ppmだった二酸化炭素の濃度が、もうすぐ400ppmまで増えるというところまできています。それに応じて0.8℃当時よりも高くなっている。これは人間の活動が地球という生存の基盤そのものに影響を与えるくらい大きなものになってきたということです。これは一つの大きな人類史上の節目です。


●産業革命が引き起こした豊かさの格差


 もう一つは、この図を見て頂きましょう。この図は主要な国の一人当たりのGDPを、その時その時の世界平均のGDPで割った値です。ですから、千年前、みんなが1の近辺にいるというのは、どの国も豊かさにほとんど差が無かったということです。

 これは、実態はどういうことかというと、ほとんど産業というのは農業だったということです。ほとんど食べるためにみな活動していた。一人当たりの食べる量はそんなに変わりませんから、どの国も豊かさにそんなに差がなかった。

 それが急激に開きだす、豊かな国と豊かでない国が出てくるというのは、産業革命です。産業革命をやった国が生産性を非常に上げて、豊かになっていったわけです。この豊かになっていった国が先進国になっていったわけです。これはイギリスに始まり、当時のヨーロッパ、分身ともいえる北米、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、それに少し遅れて日本ですね。これらの国が産業革命をやることによって先進国になっていったわけです。

 一方、生産性の上がらない、昔のままであったほとんどの国が植民地あるいは植民地同然の状況になっていったわけです。アフリカはほとんど植民地ですし、南アメリカ大陸もそうです。アジアもほとんどの国が植民地あるいは植民地同様の状況となっていったわけです。

 この図で見て分かるように、一番先進国と植民地、途上国との間で、所得の開いた時というのは、この辺りが4で一番低い所が0.1くらいですから、40倍くらい一人当たりの豊かさの差ができていったわけです。


●近づきつつある産業革命の飽和


 一方で、ここ最近10...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(6)分別からの超越
ネガティブ・ケイパビリティとは?信じて待つことの意味
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ