全寮制国際高校ISAKの挑戦
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全寮制国際高校ISAKの挑戦(2)リーダーシップの育成
哲学と生き方
小林りん(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事 )
ユニセフ職員として働いたフィリピンが二つ目の「原体験」の舞台だと言うインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)代表理事・小林りん氏。そこでの教育の現状や圧倒的な格差、政治的腐敗を目の当たりにした小林氏は、これから必要なのは、この現実を変えていこうとするリーダーシップの育成だとの結論に至る。(2015年8月28日開催島田塾GBHS小林りん氏トークセッション「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢~グローバル化・多様化の進む社会における真のリーダーとは~」より、全5話中第2話目)
時間:7分45秒
収録日:2015年8月28日
追加日:2015年11月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●フィリピンのストリート・チルドレン


 この学校をなぜつくっているのかに関しての二つ目の原体験についてお話しします。一つ目の原体験として、前回お話ししたような体験があったので、前職ですが、私はフィリピンで、ユニセフ(国連児童基金)で働いていました。おそらくそれは、17歳の時から見たドリーム・ジョブだったと思います。

 「ストリート・チルドレン」という言葉を聞いたことがありますか。ありますね。では、フィリピンの人口が分かる人はいますか。フィリピンは海を挟んで日本のすぐ隣にある国ですね。中国の人口は皆さん知っていると思いますが、フィリピンの人口は、隣の国なのに意外と知りません。大体、1億人ぐらいです。

 その国で、ストリート・チルドレン、つまり路上で生まれて暮らしている子たちというのは、大体、何人ぐらいいるでしょうか。3択です。(1)5万人 (2)20万人 (3)50万人。試験をたくさんこなしている人は、一番数が多い選択肢に手を挙げていけば正解率が高くなると思って挙げてしまうのですが、答えは(2)の20万人です。同じ問題を大人の講演会でやると、ほとんどが(3)です。大人はそれまでたくさん試験をしているからですね。皆さんは直観に素直でいいことだと思います。


●教育は無償なのになぜ学校に行かないか


 その20万人のストリート・チルドレンのために、私たち国連の職員は何をしていたか。フィリピンは日本と一緒で、初等教育、つまり小学校は無償です。授業料がタダなのです。それなのに学校に行かない、小学校にさえ行かない子が何十万人といます。なぜだと思いますか。

 最初は、親がいないので、働かなければいけないから働いている。あるいは、家の中が忙しく、それから農業をやっている家も多いので、農作業の人手として手伝わざるを得ない。あるいは両親が、自分たちは教育を受けたことがないから、教育なんていらないと思っている。そんなことをする暇があったら一緒に働けといって、両親が教育の大事さを分かっていない。それもありますね。

 フィリピンは7000の島からできています。島が7000あり、その中にたくさんリモートのエリアに住んでいるのです。そうすると、学校まで歩いて3キロとか5キロという子たちは登下校中の危険もありますし、そもそもおなかがすいて行けない。いろいろな理由があります。
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