キリスト教とは何か~愛と赦しといのち
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「神の国は近づいた」…では、それはどこにあるのか?
第2話へ進む
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
哲学と生き方
竹内修一(上智大学神学部教授/カトリック司祭(イエズス会))
キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意味すると言う。イエス・キリストという名前にはどんな秘密が隠されているのか、聖書をヒントに解説する。(全6話中第1話)
時間:11分11秒
収録日:2016年12月26日
追加日:2017年2月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●「イエス・キリスト」という名の意味


 初めまして。上智大学の竹内です。これから少しばかり、キリスト教について話をしたいと思います。2000年に及ぶ歴史があるキリスト教について、短時間で簡潔に話すのは難しいと思いますが、「キリスト教とは何か」ということを皆さんが問うたときに、考えるヒントになるようないくつかのことをお届けできればいいかと思います。

 まず考えてみたいのは、「キリスト教とは何か」という問いです。この問いかけを言い換えると、次のような問いにもなるかと思います。それは「イエスとは誰なのか」ということです。イエス・キリストという名称自体はお聞きになったことがあるかと思いますが、彼は確かに歴史的な人物でした。今から約2000年前、大体紀元前6年から4年くらいに生まれ、そして紀元後30年頃に亡くなったと言われています。たかだか三十数歳という短い生涯だったのですが、この歴史的な人物であるイエスが人々の中に入っていくとは、どういうことなのか。

 最初に、この「イエス・キリスト」という名称について確認しましょう。この「イエス」という名前は、ある意味ではとても平凡な名前だったようです。しかし、名前一つ一つには意味があります。「神は救い」や「神は救う」という意味が、この言葉の背後にはあるそうです。他方で、キリストとは何なのか。これは名前ではなく、ましてや家族名(ファミリーネーム)でもありません。もともとの意味は「油を注がれた者」という意味だと聞いています。

 「油を注がれる」とはどういうことか。当時の人々は、いろいろな役職に就く際、王様を含めて油を塗られました。その「油を注がれた者」というのが「キリスト」で(これはやがて「救い主」という意味になりますが)、ギリシャ語では「クリストス」と言いました。

 よく「イエス・(中黒)キリスト」という表記を見るかと思います。私はこの中黒にとても意味があると思います。どういうことかと言うと、この中黒は「イエスはキリストである」の「である」に当たるところなのです。「イエス」という固有名詞と、「キリスト」という深い意味を持った言葉を結び付けるのが中黒になります。「イエスはこの救い主である」、言わばこれは、一番短い信仰告白です。

 彼はユダヤ人でしたから、「イエスはユダヤ人である」という表記もできるし、「イエスは男性である」でもOKで...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮