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DATE/ 2017.05.01
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「働き方改革」の実践で重要なのは管理職の働き方

 あなたの会社ではノー残業デーを実施していますか? 実施している場合、その効果を実感できていますか?実は、ノー残業デーの前後の日は、かえってそのしわ寄せで残業時間が増えるというケースが少なくないそうです。こうした現状について、「一律にノー残業デーを取り入れても効果は薄い。大事なのはチーム、部署ごとの残業理由を分析して、個々に合った対策を取ること」と語るのは、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵氏。多くの企業でワーク・ライフバランスのコンサルティングを行っている経験から、「100社あれば100通りの働き改革があるはず」と断言します。

●最も重要なのは管理職自身のワーク・ライフバランス


 小室氏は働き方改革の実践において4つのポイントを挙げています。そのなかでもっとも重視しているのが、管理職自身のワーク・ライフバランスです。実際に、管理職の帰宅時間が遅い部署は部下の残業が多い傾向にあるため、管理職自身のワーク・ライフバランスを見直してほしいと、小室氏は言います。

 実は、地域社会で一番嫌われるのは、今まで地域でのコミュニケーションなど見向きもしなかったのに定年後に急に顔を出し、現役時代の仕事の話ばかりする人なのだそうです。「趣味や特技一本で自己紹介できるかっこいい定年後ライフのために、今から自己研鑚を積みましょう」というのが小室氏からの貴重なアドバイスです。

●管理職が要となる働き方改革マネジメント


 他の3つのポイントですが、1つは「時間制約を持たない部下はいないと認識すること」です。たとえば育児や障害を持つ親族がいるなど、誰にも事情はあると認識して、一部の人に甘えるような仕事の渡し方をしないということです。

 「仕事を捨てる・断る・ミニマムにする。この3つのリスクを管理者が引き受けること」も大事なポイントです。上から降ってくる仕事を部下に丸投げでは管理職失格です。部下を疲弊させないためにも、仕事の取捨選択を的確に行うことが肝要です。

 最後のポイントは「時間と場所の柔軟さを報酬として活用すること」。親の介護、子どもの学校の用事、自身の通院などで昼間の数時間が必要な場合、その前後は出社せずに在宅勤務でカバーするといった柔軟な対応があってもいいでしょう。「会議は全員対面で」とこだわらないことも重要です。

 いずれも、先に述べた管理職のワーク・ライフバランスに対する意識が基盤にあってこそのポイントということがよく分かりますね。

●働き方改革実践のユニークな方法あれこれ


 これらの4つのポイントに基づいて工夫された改革のための具体的な方法は、ネーミングを一見しただけでもかなり興味をそそられます。

 その一部をご紹介すると、たとえば「朝・夜メール」というものです。ブレークダウンした仕事内容を、朝、上司や同僚にメールで送り、一日の仕事を終えたあとその振り返りのためのメールを夜に送るというものです。この予定と実行のずれを振り返ってチェックしていくことで、内的要因に気づけるのが大きなメリットなのだとか。できなかったことは、ついつい「打ち合わせが長引いた」とか「急な仕事をふられた」などと外的要因のせいにしてしまいがちですが、実は自身の用意・知識の不足といった内的要因によるものだったということが案外多いのです。

 その他、「タイマー会議」はご想像の通りタイマーを使って会議時間に制約を設けるというものですが、話の長い人がいるとじりじりとタイマーがその人に寄っていくというルールが何とも実践的かつ効果的ですね。

●ストラップ一つで「残業」の意識づけが変わる


 そうしたなかでもインパクトが大きいのは「ストラップ残業許可」なるもの。これは、残業する際には上司に申請してストラップをかけなければいけないというものですが、そのために非常に面倒くさい申請書類を書かないといけないのだそうです。かつ、ようやくもらったストラップは、背中一面ほどの大きさで、しかも毛筆で「定時までに仕事を終えられなかったので残業しています」と黒々と書かれているというのですから、このストラップは、残業はよく働く社員の証ではなく、「カッコ悪いもの」という意識づけに効果てきめんなのです。

 ということで、皆さんも「100社あれば100通りの働き方改革のやり方がある」を合言葉に、ご自分の会社、チームにあった方法を見つけてみませんか。もちろん、ワーク・ライフバランスを実践している管理職がキーマンとなるのは、言うまでもありません。
(10MTV編集部)