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ワークライフバランスの実践には管理職の意識改革が必要

経営戦略としての働き方改革(3)企業事例にみる改革成果

小室淑恵
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
情報・テキスト
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵氏が、「働き方改革」のためのマネジメント手法とチームでの具体的な取り組み方、そしてそれを実践した企業事例を紹介する。小室氏は、その事例から多くの企業が抱える根本的課題を指摘、抜本的解決方法に言及する。小室氏のメッセージから、「ワークとライフは時間を奪い合うものではなく相乗効果の関係にある」というワーク・ライフバランスの本質を、ぜひつかんでいただきたい。(全3話中第3話)
時間:18:59
収録日:2017/02/21
追加日:2017/03/27
≪全文≫

●時間の制約のない部下などいないと認識する


 今日は、働き方改革をするに当たって求められるマネジメントの手法や、具体的にチームで取り組むやり方についてお話ししていきます。

 まず、今後求められるマネジメントのポイントは大きく4点あります。1点目ですが、もうこれからは時間の制約を持たない部下はいないと思うことです。一瞬、目で見て「この人には事情がなさそうだな」と思う部下に労働時間を載せてしまうというような、一部の人材に甘えるマネジメントは「怠慢」ということになります。

 育児理由は分かりやすいですが、他にもご兄弟に障害を持っている方がいるとか持病がある、といった時間の制約の理由やライフがそれぞれありますので、一部の人材に甘えるマネジメントではなく、職場全体の仕事のやり方として属人化を排除し、見える化・共有化をして仕事のやり方を変えていくことが重要になります。


●仕事を「捨てる・断る・ミニマムにする」リスクを取る


 二点目ですが、社内資料作成などの仕事を「捨てる・断る・ミニマムにする」といったことを、管理職がリスクを取ってやっていくことが大事になるということです。上ばかり見ている管理職の方は、絶対にこういうことをやりません。上から降ってきた仕事を「はい、分かりました」と言って、全部下に投げるのです。このようにすれば、上からは覚えがめでたいのですが、下は疲弊していきます。

 それによって、チームのメンバーが離職したり、メンタル疾患になったり、メンバーの家庭内不和が起こっていたりします。こうしたリスクを考えると、管理職自身が仕事を取捨選択し、上司に対して仕事の期日を交渉したり、こうしたことをしていくことが本来、仕事の質を上げる上で重要ではないでしょうか。


●時間や場所の柔軟さを報酬として活用する


 そして、三点目ですが、時間や場所の柔軟さを、上手に報酬として活用することです。今まで「報酬」といえばお金でしたが、これからの報酬は時間や場所の柔軟さです。これからの社員はこれをとても必要とします。例えば、自分の親が介護の状態になったり、人工透析を必要とした場合、月に3回くらいは自分も通院につき合わなければならなくなります。たった2時間の中抜けで済む話なのですが、会社側が「一日の欠勤」という扱いにしてしまうと、月に3日ずつ欠勤するという状態になってしまいます。

 これを2時間ずつの中抜けにして、その前後を「在宅勤務でいい」というように時間や場所などを柔軟にしていけば、(月に3回で)6時間分は、例えばどこかで残業した分や出張した分と相殺できたり、あるいはその前後も直行・直退でお客さまの所に行けるようにすることで十分に成果を挙げることができるのです。

 そうした中で、マネジメントの方自身が「会議の時には必ず対面で来なさい」といったこだわりを捨ててウェブ会議をしたり、在宅で仕事をする者をきちんと認めたりというように、マネジメントの方が対面のこだわりを捨てていくということが重要になります。


●最も重要なのは管理職自身のワーク・ライフバランス実践


 そして四点目は、これが一番重要なのですが、管理職自身のワーク・ライフバランスを実践するということです。管理職の方は時間外手当てが付いていないので、「私は残業しても迷惑をかけていない」などと思う方が多いかもしれませんが、管理職の帰宅時間が遅いチームは部下の残業も多いという傾向が、非常に顕著に出ています。

 また、部下の中には「妻から10時までは帰ってくるなと言われているんです」と、逆門限を設定されているような、若干手遅れ気味のご家庭もあるかもしれませんが、そのままで定年を迎えてしまえば、当然定年後その妻と過ごす30年くらいの余命が待っていますので、それは人生全体で見ると少しもハッピーではありません。少し視野を広げて、人生全体の評価をするのは会社ではなく家族ですので、家族とどういう関係性を築くのかということに関して、管理職の方自身もぜひ、自らアクションを取っていっていただければと思います。

 定年後、地域社会で一番嫌われるのは、定年になって急に現れる方です。「あなた、(この地域に)住んでいましたか?」と言われてしまいますので、現役時代からしっかり地域社会に貢献して自分の役割を果たしたり、また、定年になっても「もと、どこどこで仕事をしていた」というような仕事の話ばかりをするのではなく、趣味や卓越した特技一本で自己紹介ができること(が大事です)。このようなかっこいい定年後を今から考えていくと、「時間外にやることがない」などということは、決してないはずです。ご自身のライフをしっかり持っていく、...
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