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TPP、観光立国、雇用制度――各種改革にはツボがある!

アベノミクスで潮目は変わったか ~「改革のツボ」探り成果を~

伊藤元重
東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授
情報・テキスト
アベノミクスの成長戦略はうまくいくのか、それとも岩盤規制を前に失速してしまうのか。「改革にはツボがある」と伊藤元重氏。押せば経済がうまく動き出す改革のツボは、どこにあるのか?
時間:08:00
収録日:2014/03/14
追加日:2014/03/27
アベノミクスの成長戦略はうまくいくのか、それとも岩盤規制を前に失速してしまうのか。「改革にはツボがある」と伊藤元重氏。押せば経済がうまく動き出す改革のツボは、どこにあるのか?
時間:08:00
収録日:2014/03/14
追加日:2014/03/27
≪全文≫

●市場筋から、アベノミクスの失速に懸念?


今日は「アベノミクスで潮目は変わったのか」という話をさせていただきます。
2013年、大胆な金融緩和でデフレの脱却にめどを付け、世界的に非常に注目されたアベノミクスですが、ここにきて、この先本当にうまくいくのかどうかについての懸念が、特に市場関係者を通じて出てきているのだろうと思われます。
「岩盤のような規制を撤廃する」と言っても、やはり「岩盤」ですからそう簡単な話ではない。実際にいろいろな改革をしようとしても、当然各方面の抵抗勢力があるので、それに対する懸念があります。
一つ例として挙げると、TPPです。これはたいへん難しい決断のなか、交渉に参加すると出たわけですが、現実には日本の農業問題がネックになって、交渉はまとまらないままでいます。あるいは、労働市場改革についても非常に重要だとしていますが、これもやはり現実問題としては、労働市場改革は非常に大きな制度改革であるため、なかなか目に見えるような形での変化はできていません。
こうしたことから、「このままでいくとアベノミクスは失速するのではないか」と懸念する人は今後も増えていくのが事実だろうと思うのです。

●アベノミクスの二つの目的と改革の「ツボ」


そこで、まず一般論として申し上げますと、このアベノミクスには二つの大きな目的があるだろうと思います。一つはデフレからの脱却で、最初に申し上げたように既にもうかなりの成果を上げています。
ただ、もう一つの大きな目標があって、「そもそもなぜデフレになったのか」ということを考えると、例えば、高齢化が進むにもかかわらずなかなか需要が伸びない、財政問題に対する出口が見えないなど、経済全体としての低迷感が存在します。これらを、いわば取っ払っていくためには、やはり成長戦略が大事になってくるわけであり、これが現在問われているということになります。そうした意味で、当然マーケットも、安倍内閣が今後効果的な政策を出してくるかどうかを注目しているのです。
そこで今日は、今後のアベノミクスにおいて注目すべき点をいくつか申し上げたいと思います。何かと言うと、岩盤のような規制というものをマジックのように簡単に改革することは、現実的にはなかなか難しいわけです。改革を進めるには、とにかく粘り強くやっていくしかありません。ただ、どの時代にもやはり改革の「ツボ」のようなものはあるだろうと思われます。ここをうまく押してやると、経済は非常にうまく動くかもしれない。アベノミクスの今後の展開を見るには、そういうツボを探しながら、そこを押していくような改革が出てくるのではないだろうかということです。

●雇用制度のツボは女性・若者・高齢者・外国人


例えば、雇用制度を変えていくのは、日本にとって極めて重要な話です。終身雇用をはじめ、いろいろな旧来の労働市場の慣行を乱暴に改革しようと思うと、非常に難しいかもしれない。ただ、この雇用や労働市場にも、どうもツボがありそうです。それは何かと言うと、女性・若者・高齢者・外国人なのです。
この女性と若者と高齢者と外国人の雇用は、それぞれにいろいろな課題を持っています。このような個々の問題ならば、もう少し短い期間で目に見える形の成果を上げることができるかもしれないと、内閣はかなり真剣に考え始めてきています。
一番わかりやすいのは、女性だろうと思います。女性にもっと活躍してもらうということは、長い目で見れば、あ非常に大きな成果が期待できます。もちろんその...
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