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太陽電池の発電コストは2030年に1kWh 6円になる!

蓄電池はより安くなる~再生可能エネルギーの技術予測

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長
情報・テキスト
米国のテスラモーターズが10kWh蓄電池を約42万円で新発売するという。対する日本製品は、現状160万円台だ。株式会社三菱総合研究所理事長で科学技術振興機構低炭素社会戦略センター長・小宮山宏氏が、再生可能エネルギーの普及に向けて、この差の意味について考える。
時間:06:42
収録日:2015/05/13
追加日:2015/06/18
タグ:
≪全文≫

●160万円と42万円の差は何なのか


 再生可能エネルギーは重要ですから、ぜひ大きな産業に育てたいと考えていますが、そこで大事なのは、この先の技術予測です。以前、この「10MTV」で「中小水力発電が有望だ」という話をしました。現在、水力発電所は1kW当たり150万円から、高いものだと300万円、400万円という評価がされていますが、よく考えて技術を設計していけば、1kW当たり50万円くらいになるはずだと私たちは予測しています。それに対して、あるエンジニアの方が、1kW当たり60万円でつくれるモデルを具体的に提示してくれたことを、その講義でお伝えしました。

 今回は、蓄電池の世界も同じような状況になってきたという話です。2015年5月の初めに、米国のテスラモーターズ(以下、「テスラ」)が、だいたい1軒の家が1日に発電するくらいの量である10kWhの蓄電池を、8月に約42万円で新たに発売するというニュースが流れました。この意味について考えてみたいのです。Googleなどで少し調べれば出てきますが、現在、日本では10kWhの蓄電池が160万円から200万円程度で売られています。これには一部、補助金が付いたりしているのですが、この160万円と42万円の差は、いったい何なのでしょうか。


●42万円の蓄電池の想定利益率は52%


 私たちは、低炭素社会戦略センターを中心にして、蓄電池なども含めた再生可能エネルギーの技術予測、最終的なコスト変化などの予測を行っています。その予測によると、現状のプラント製造規模を10倍程度の1000万kWh規模に大きくして、非常に悪いはずの歩留りを上げていくなどの技術的に可能な話を積み上げていけば、18万2000円で販売できるはずだというのが、私たちの現状の予測です。それに対して、10kWhの蓄電池を160万円で売っているのが、今の日本です。

 テスラは電気自動車メーカーで、アメリカでベンチャーからスタートして、すでにかなり大きな企業になりつつあります。今回の蓄電池事業は、電気自動車の電池をつくる技術をベースに、パナソニックと共同で進めています。私もその中身を少し見てみましたが、やはりわれわれの想定通り、非常に巨大な工場をつくることを想定しています。彼らは、今回の蓄電池の利益率を、全てが予想通り動けば52パーセントと算出しているそうです。さまざまな問題が起こるでしょうから、最終的に利益率がそこまでいくかどうかは分かりませんが、それにしても、なぜテスラは42万円で販売でき、日本のメーカーは160万円なのか。これはとても重要な問題ではないでしょうか。


●10kWh5万円の製品も出てくるだろう


 太陽電池はだんだん安くなってきました。われわれの予測では、2030年には1kWh当たり6円になります。今、原子力発電の発電コストが10.1円、水力発電が11円(資源エネルギー庁調べ)と言われている中で、太陽電池の発電コストは2030年には6円になるのです。しかし、その話をすると、太陽電池は不安定だから、安定化のためには蓄電池が必要で、それが高いのだという議論になります。

 しかし、その蓄電池も安くなるはずだというのが、私たちの意見です。このままいけば、2030年までに、今回のテスラの製品をしのぐ10kWh10万円の製品が出るし、いずれ5万円のものが出てくるでしょう。1軒の家の1日分の発電量をためておくのに必要な蓄電池が、5万円になるのです。

 このように、技術というのは、現状を正しく評価した上で、将来の可能性を合理的に評価しなくてはなりません。われわれはその評価をずっと行ってきたのです。その結果として、太陽電池、中小水力発電、そして蓄電池の価格の推移が、ほぼ私たちの予測通りになってきていることを、今日はお話ししたかったのです。
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