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寄付文化を育て地域から原発依存の構造を変えることが重要

トモダチ作戦を忘れるな(6)子孫のための国造りに向けて

概要・テキスト
トモダチ作戦公式ロゴ
トモダチ作戦への支援基金から未来のエネルギー政策にまで話が及んだ。元内閣総理大臣・小泉純一郎氏、東京大学第28代総長・小宮山宏氏、慶應義塾大学名誉教授・島田晴雄氏による鼎談の最終回。政府の取り組みが不十分なら、寄付文化を育て、地域から原発依存の構造を変えることが重要だ。子孫のための国造りにとって、今はとても重要な時期にある。(全6話中第6話)
≪全文≫

●政府と大企業が、理解を示さない


島田 私が小泉さんをすごいと思うのは、権力構造にしばられないところです。かつては総理大臣ですから、権力の中枢にいた人です。その人が今、一番権力が嫌っているところへ、ガーンと入りました。小泉さんは「トモダチ作戦を見ろ。兵士たちはあんなにやってくれた。20~30代の元気な兵士がボロボロになっても、最後に『俺は日本が好きだよ』と言ってくれた」と記者会見で話して涙を見せたそうですが、それはやはりインパクトがあります。

小泉 それを知っていながら、政府は何もできないというのです。日本のために救援活動をしてくれた人が病気で苦しんでいるのに、何もできないのです。それでは申し訳ないだろうということで今、活動をやっているのです。

島田 大企業は、最初こそ「いいですね」と言うのですが、結局皆、降りていってしまいます。

小泉 会社で相談してみるということですが、後になって「やっぱりやめてくれと言われたから、勘弁してくれ」と言われます。発起人になることはできないだというのです。だから、大企業とは関係のない人に発起人になってもらいました。


●日本でも寄付文化の醸成が必要だ


小宮山 寄付は、これからの基本です。2015年からギビング・ディッセンバー(寄付月間)というものをやっています。これは、日本に寄付文化を醸成させるための試みです。先進国は、基本的に政府に金がなくなります。税収が増えなくなり、他方で義務的な支出が増えてきます。大学もそうで、今の話ではないですが、入ってくるお金は減ってくるのです。それならば、どこで金を集めるかといえば、結局、個人の寄付しかないのではないでしょうか。

島田 そうだと思います。

小宮山 日本にはビル・ゲイツのような桁のお金をかせぐ人はいないけれども、1桁下ぐらいの金持ちは増えてきていますし、いわゆる金持ちという人も結構多い。この人たちが、例えば1パーセントずつ公共のために寄付してくれたら、全然違ってきます。そう考えて、2015年からギビング・ディッセンバーに取り組んでいるのです。

島田 それは大賛成です。日本が、欧米諸国だけではなく韓国などに比べてもすごく遅れているのは、行政のシステム上、寄付がとてもやりにくいことです。例えば、韓国の大学に行くと、財閥の名前を付けた建物がたくさんあるでしょう。あれは寄付によるもので...
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