10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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TPP交渉は世界潮流-グローバルな経済連携に期待

TPPの本質はグローバル化~日本経済の活力に

伊藤元重
東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授
情報・テキスト
安倍内閣が難易度の高いTPP交渉参加の表明をした第一の狙いとは?TPPの意義とその見通しを経済学の第一人者 伊藤元重が解説する。
時間:07:39
収録日:2014/01/28
追加日:2014/02/24

●TPP交渉ではアメリカの出方に注目

TPPは交渉相手があるものだけに、アメリカがどういう形で出てくるのかということが、非常に大きなポイントだろうと思います。アメリカの国内も、なかなか今、政治が難しい問題で、特に下院で共和党が非常に大きな力を持っていて、ことごとく大統領とぶつかっています。昔だったらそうは言っても、下院の比較的穏健派というか、リーダーのような人たちが最後にまとめるという動きがあったのですが、今はやはり、いわゆるティーパーティーをされているような人たちがとにかく選挙に負けないものですから、自分たちのその意思を非常に強く通すということで、まとまるものもまとまりにくくなっていて、そこが非常に今、気にはなっているのです。
ただ、もともとTPPのような、アメリカがアジアで広げて、開いていって、出ていくというのは、共和党自身が非常にサポートする考え方であるわけですから、オバマ政権がしくじらなければ、アメリカのいわば国内をまとめるということで、TPP交渉は妥結する方向に行くという面はあるのだろうと思っています。
ただ、日本の国内にもやはり農業の問題があったりして、最後にそこで本当に折り合えるような柔軟な対応をとれるかどうかということですから、これはもう少し様子を見なければいけないのかなと思います。

●安倍総理の大きな決断-農民票を押し切ってのTPP交渉参加

しかし、今の日本にとってのTPPとは何なのだろうかということを考えると、もう少し距離を置いて見る必要があると思います。私は最近よくいろいろなところで申し上げるのですが、安倍内閣が発足したときに、「安倍さんはいつTPP交渉に参加するのだろうか」というようないうことをみなで議論していて、大方の議論は、「やはり7月の参議院選挙のあとだろう」と言っていたのです。私もそう思っていました。なぜなら、その前の野田政権でも、菅内閣でも、おそらくTPP交渉を真剣に考えていたのでしょうけれど、結局、農民の票というか、農民票を背後に抱えた農業関係の政治家の方々の反対を押し切ってやるということがうまくいかなかったわけです。
それは自民党でも多分変わらないと思うのです。自民党でも農民票はあるわけで。その大方の予想をある意味で裏切ってというか、予想をくつがえして、2月の終わりだったか3月初めか忘れましたけれど、その頃に訪米したときに、安倍総理がTPP交渉参加すると決めたというのは、やはりある意味で驚きなのです。
実は2013年の年末にテレビのWBSという番組で、安倍総理が出てきてお話されるというときに、たまたま私もその場でコメンテーターとしていて、横で見ていたのですが、小谷真生子さんが安倍総理に、「2013年で一番難しい決断は何だったのですか」と聞いたら、二つおっしゃいました。
一つは、もちろん9月に消費税を5から8に上げるという決断をしたとき。それからもう一つが、TPP交渉参加を3月の段階で表明したとき、ということをおっしゃった。そういう意味で言うと、そのTPP交渉に参加するというのはかなり大きな決断だったのです。

●安倍内閣の第一の目的は経済活性化-TPPはそのための手段

私はこれをどう解釈しているかと言うと、結局今の安倍内閣にとって、経済を元気にするということが1丁目1番地で、ここが揺らいだらやはり内閣にとって非常に支持基盤が弱くなるのではないか、そういう気持ちを強く持っているのだろうと思います。
経済を元気にするということを考えたら、これはグローバル化から背を向けるわ...
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