驚異の味噌パワー
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驚異の味噌パワー
小泉武夫(農学博士/食文化評論者/東京農業大学名誉教授)
「健康にいい」と言われる味噌だが、本当にいいのか? どういいのか? 「発酵仮面」の名でも親しまれる食文化評論家で東京農業大学名誉教授・小泉武夫氏が、和食に欠かせない発酵食品の一つである味噌の驚異のパワーを徹底解説する。
時間:10分25秒
収録日:2016年2月4日
追加日:2016年5月30日
≪全文≫

●世界遺産「和食」を支える「味噌」


 皆さん、こんにちは。小泉武夫です。今日の発酵の話は、味噌の話です。味噌というのは、日本人は1日1回必ず食べなければなりません。それはなぜか。和食は世界遺産になりました。私も和食を世界遺産としてユネスコに登録する国の委員としてやってきましたから、和食が世界遺産になったことはとても喜ばしいことですが、そもそも和食は、基本の形を「一汁三菜」といって、一汁とはすなわちご飯と味噌汁、三菜とは三つのおかず。つまり、「和食」というものが成立するためには、ご飯と味噌汁と三つのおかずがなければなりません。さらに、その三つのおかずの中の一つは、指定されています。香の物です。「おこうこ」などと言いますが、つまり漬物です。

 ですから、和食とは何かといえば、ご飯と味噌汁と漬物、あと二つおかずがあれば和食は成立するのです。ということは、もうこの時点で、発酵食品が二つないと和食は成立しないわけです。なぜかというと、まず味噌汁の味噌が発酵食品ですし、漬物も発酵食品です。そうすると、味噌と漬物が必ずなければならない。ということは、味噌は、和食が成立するためには不可欠の調味料あるいは食べ物ということになります。

 さて、味噌はいつ頃からあったかというと、奈良時代には、もうすでにありました。非常に古いです。そもそもは中国からやってきたのではないかという説もありますが、とにかく奈良時代の古文書にもう味噌が出てきます。相当すごいです。味噌が出てくると何が素晴らしいかというと、冷蔵庫などなく食品の長期保存ができなかった当時、食べ物は置いておくと腐ってしまうものでしたが、味噌漬けにしておけば腐りません。そういう保存料としても素晴らしかったのです。


●大豆は肉と同等のスタミナ食


 もう一つ素晴らしいことに、何といっても、味噌はおいしいです。味噌はなぜおいしいのでしょうか。味噌を作るときには、麹を作って、その麹で味噌の成分を分解します。味噌の成分は、主としてタンパク質でできています。タンパク質が麹菌のタンパク質分解酵素で分解されれば、アミノ酸になります。アミノ酸は体の中に入ると活力源になります。スタミナ源です。ですから、大豆を食べていれば、つまり味噌汁を飲んでいれば、大変なスタミナ源になるわけです。これは当然のことです。

 日本人は、今から約100年前...

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