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「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味

自民党総裁選~その真の意味と今後の展望

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
自民党総裁選といえば、マスコミの政治部報道にとっては、まさに「お祭り」。どの派閥がどっちについた、誰が何票獲得しそうだ、裏でこんな政治家がこう動いた、などと夜討ち朝駆けで盛んに報道する。だが、そのような報道では見落とされてしまいがちな部分があるという。つまり、自民党総裁選こそ「実質競争」の場であり、それをきっかけに劇的な政策転換が行なわれる可能性があるということである。そこまで行かなくとも、どの政策が残り、どの政策が消えていくのかという方向性が決まっていく。そして、それが次の選挙の状況を変え、そして未来の政治の姿をも変えていくファクターになるというのだ。はたしてそれは、どのようなことか。
※インタビュアー:川上達史(テンミッツTV編集長)
時間:16:08
収録日:2021/10/04
追加日:2021/10/08
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≪全文≫

●総裁選=党の代表選が「実質競争」の場になっている


―― みなさま、こんにちは。本日は曽根泰教先生に自民党総裁選~その真の意味と今後の展望というテーマで講義をいただきたいと思います。曽根先生、どうぞよろしくお願いいたします。

曽根 はい、お願いいたします。

―― ちょうどこの令和3年9月29日に自民党の総裁選挙がありまして、いろいろなメディアでは、これまでの政治部的な報道といいますか、「どういう権力構造で」とか「どういう派閥構成で」とか、そういうような議論が多く報道されたわけです。しかし、実はこの総裁選というのは、政治の状況を決めるのに、いろいろな決定要因になっているということで、先生にお話をいただきたいと思います。そもそも、この自民党総裁選の意味は、どういうところにあったのでしょうか?

曽根 はい、今日お話ししたいのは、この総裁選はですね、「もう終わっちゃって、人が選ばれたからおしまい」ということではなくて、政治の全体のなかで、どこに位置づけたら良いのか。これは、まだ定説があるわけではありません。そしてそのときに、政策選択というのは、どうなされていたのか。あるいは、どの程度、選択されているのか。そして、この選挙によって、何が残って、何が消えたのか。そして最後に、今後の課題という、この4点をお話ししたいと思うんですね。

 「しょせん、この総裁選というのは自民党内の内輪の話じゃないか」という批判もあるのですが、それは正しくなくて、これは公の競争の場なんですね。公の競争の場なのだけれども、「実質競争」が総裁選に移る。つまり、「自民党内の競争」に移るわけです。

 なぜかといえば、本来は、総選挙や国会での首相指名が、権力争いであり、まさしく政権を取るという意味なのですが、そちらはほとんど勝負がついてしまっている。つまり自民党、あるいは自公(自民党と公明党)の過半数はまず間違いないだろうと、みんな思っているわけですね。そうすると、実質の競争は、自民党の総裁選の場に移るわけです。

 これがよくある「場の移動」という話です。私が前から唱えていることの1つなのですが、たとえば、公式の会議が「儀式」になってしまうと、実質の決定は、その前の段階、その前の打ち合わせなり、その前の予備会議、あるいはその前の段階の決定に場が移るという、その1つの例です。

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