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豊富な経験、米国初の女性大統領―でも最大の弱点は画像?

ヒラリー・クリントン氏出馬表明~2016米大統領選

曽根泰教
慶應義塾大学大学院教授(政策・メディア研究科)
情報・テキスト
ヒラリー・クリントン氏が2016年の米国大統領選への立候補を表明した。この背景には、幅広い中道リベラルの票を早めに取り込みたいクリントン陣営の思惑がある。経験豊富なクリントン氏は有利にも見えるが、実は彼女にも高齢という弱点がある。それをどうするか。政治学者・曽根泰教氏が、今回の立候補表明を徹底解説する。
時間:13:57
収録日:2015/04/16
追加日:2015/04/23
ヒラリー・クリントン氏が2016年の米国大統領選への立候補を表明した。この背景には、幅広い中道リベラルの票を早めに取り込みたいクリントン陣営の思惑がある。経験豊富なクリントン氏は有利にも見えるが、実は彼女にも高齢という弱点がある。それをどうするか。政治学者・曽根泰教氏が、今回の立候補表明を徹底解説する。
時間:13:57
収録日:2015/04/16
追加日:2015/04/23
≪全文≫

●ヒラリー・クリントンの武器となる豊富な経験


 ヒラリー・クリントン氏が、民主党候補として大統領に立候補することを発表しました。このヒラリー氏の立候補については、さまざまな解釈が可能です。

 一つは、なぜこんなに早い時期から、アメリカでは選挙が始まるのかということです。選挙は来年の初めではなく、来年の後半です。ですから来年11月の選挙まで1年半ぐらい選挙戦が戦われます。その理由の一つは、アメリカのプライマリー(予備選挙)などが、かなり前倒しになっているからです。もっとも、アイオワ州はコーカス(党員集会)から始まりますが。予定が前倒しになり、だんだん早め早めになっています。初戦を制するとプライマリーを制することができるので、早くから手を打つという傾向があるのです。

 ですが、この予備選挙というのが、非合理極まる制度なのです。例えば、アイオワ州のコーカスやニューハンプシャー州のプライマリーなどでは、かなりの数の候補者が脱落していきます。となると、これらはアメリカにとって必要な大統領が本当に選べる制度なのかという疑問は湧いてきます。

 とはいえアメリカの感覚で言えば、この大統領選挙というのは、4年に1度ある、一種のお祭りです。なおかつ政党政治とは言うけれども、アメリカでは大統領選挙をきっかけにして、政党らしきものが固まるのです。各州にはそれぞれの政党がありますが、全国規模の政党となると、大統領選挙において求心力を得るしかないということになります。

 では、なぜヒラリー氏が立候補したのか。これについてはいろいろな議論があります。一つは、ヒラリー氏の豊富な経験です。オバマ大統領は、日本で言われているほど駄目なわけではないのですが、彼に対する失望の背景に経験不足があったわけです。それに対して安心感ということで言うと、ヒラリー氏は良きにつけ悪しきにつけ経験があるため、有権者に安心感を持たせることができます。これまでのことを考えれば、この程度のことはしてくれるのではないか。経験不足によって判断ミスが起きるということもないのではないか。彼女はこのように思われています。

 ですがこれを裏返せば、ヒラリー氏は代わり映えのしない人ということですね。そのため、「代わり映えしない高齢の女性」というイメージを、どうやって払拭するかが、今度の選挙戦の一つの中心になるのです。そういう意味で、比較的中道で、庶民の感覚や目線というところへ有権者の関心を持っていくということが、立候補表明の一つの理由です。


●「初の女性大統領」として何をキャンペーンするか


 もう一つは、選挙そのものの特徴です。前回は黒人と女性でした。初の黒人大統領なのか、それとも初の女性大統領なのかという戦いだったわけです。少なくとも民主党のプライマリーではそうでした。今回、民主党はおそらく、初の女性大統領を全面的に売りに出します。

 その女性であることを、どのように訴えていくのかですが、これも極端なフェミニスト寄りの発言は避け、リベラルの中でも中道リベラル的な、もっと幅の広い主張をするでしょう。マイノリティ問題や人権問題といった、かなり広い範囲の中で女性を位置付けるのだろうと思います。どちらかと言うとアメリカは、選挙の時に社会争点が効いてくる国です。マイノリティや女性問題、同性婚、人種、あるいは所得、環境、地域などの問題について、アメリカは有権者の社会属性で投票傾向がかなり読める国なのです。ここが日本と違うところです。

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