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一種の共通規範を身に付けた「アングロ○○」が急増中

「アングロ・チャイニーズ」の台頭

白石隆
政策研究大学院大学 学長
情報・テキスト
今後の国際政治を語る上でのキーワードは、「アングロ・チャイニーズ」だ。母語と英語を巧みに使い分け、欧米のビジネスマインドを共有した、いわば「アングロ・サクソン化」した東南アジアに居る中国人のことであり、金融や政治世界の中心で活躍している。政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏が、ここ数十年で急速に台頭したアングロ・チャイニーズと、それに象徴される高度な人材育成の必要性を説く。
時間:10:31
収録日:2015/05/19
追加日:2015/07/16
今後の国際政治を語る上でのキーワードは、「アングロ・チャイニーズ」だ。母語と英語を巧みに使い分け、欧米のビジネスマインドを共有した、いわば「アングロ・サクソン化」した東南アジアに居る中国人のことであり、金融や政治世界の中心で活躍している。政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏が、ここ数十年で急速に台頭したアングロ・チャイニーズと、それに象徴される高度な人材育成の必要性を説く。
時間:10:31
収録日:2015/05/19
追加日:2015/07/16
≪全文≫

●国際的に活躍する「アングロ・チャイニーズ」


白石 これは国際政治の議論ですが、中国が台頭したことで、世界経済に占める中国のシェアは、1920年代の半ばごろのマーケットのプライスで見ても、アメリカと同じくらいの規模になってきたのではないかと皆、予感しているわけです。そのときの国際政治の議論の一つはヘジモニック・シフトという議論で、要するに覇権が移動するときには必ず戦争があって移動していくという議論です。しかし、おそらくそういう議論は短絡的な議論で、現在は、全く違うことが起こるのではないかと思います。最近の国際政治の議論は、全然信用していません。

 そうではなくて、今まさに神藏さんが言われた通り、中国の場合、私は「アングロ・チャイニーズ」が重要だと言っています。要するに東南アジアのチャイニーズは、中産階級から上がアングロ・チャイニーズで、だいたいバイリンガルかトリリンガルであり、彼らの多くは、アメリカやイギリス、オーストラリアで教育を受けています。人脈をどこでつくっているかというと、戦前には同じ姓を持っているとか、同じ出身地域であることがきっかけでしたが、今は関係ありません。アメリカのビジネス・スクールで一緒だったことがきっかけになったりします。

 そうやって、中国のメイン・ランドのチャイニーズも、タイのチャイニーズも、インドネシア人も日本人も、日本人はだいたい女性ですが、それらが一緒になって仕事をしています。そうした例がいくらでもあって、アングロ・ジャパニーズやアングロ・タイも居るわけですが、そういう一種の「アングロ○○」、基本的には最低でもバイリンガルかトリリンガルで、ビジネスのやり方にアメリカ的、アングロ・サクソン的なものが入った人たちがいま急速に増えていますよね。それが一種の共通規範のようなものを共有する中で、仮にアメリカの力が落ちていっても、そうした規範のようなものの上に新しい秩序ができていくのではないかなと思います。

 ただ先ほど申し上げたように、そういう人たちはアメリカだとまずビジネスの世界にいて、政府に入りそこで働いて、まだビジネスの世界に戻るという、かなりダイナミックな政治経済のシステムを持っています。それを持っていないところは、なかなか速度がついていっていないというイメージですね。


●アングロの存在感はグローバルな規模で拡大


白石 私がアングロと言っている人たちは明らかに増えています。講演でも時々言うのですが、私が東南アジアを最初に旅行したのは1972年です。40年以上前なのですが、その時にインドネシアを旅行すると、次のような感じでした。バンドゥンという西ジャワの町に行ったのですが、ジャカルタから西ジャワに向かう汽車の中で中国系のインドネシア人の老夫婦と知り合いになりました。その頃、私はインドネシア語がほとんどできなかったので英語で話をしていましたが、彼らが「うちに泊っていいよ」と言ってくれたので泊めてもらったのです。60代の夫婦でしたが、家に着くと、子どもはオランダ語で話しているのですね。当時はまだそういう時代でした。

 ところが1980年代に入り、私も30代の半ばくらいになって、向こうの同じ年の人たちと話をし始めて分かったのですが、彼らはバイリンガルで片言の英語を話す人たちでした。そして、いま考えてみると、私よりも一回り若い息子の世代は、バイリンガルでしかもアクセントのない英語を話す世代になっているのですね。そのくらい急速に変わっているのです。インドネシ...
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