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クローン文化財
「クローン文化財」は、東京藝術大学の宮廻正明名誉教授が命名した文化財の継承方法。宮廻教授は、国宝「法隆寺釈迦三尊像」をクローン技術によって復元し、2017年、クローン文化財だけを展示した展覧会「素心伝心」を開催、門外不出の文化財を寺から外出させることに成功している。クローン文化財と模倣やコピー作品の違いは、オリジナルの超越にある。現存しているものをそのまま再現するにとどまらず、3D技術を用いることにより欠損部分をつくられた当初の状態に戻すのである。実際につくられたときの状態により近いため、クローンが現存しているものを超越したとも言える。具体的に釈迦三尊像の再現では、実際の像の3D計測を行い、撮影できない部分については藝大が持つ仏像に関するデータや知見から類推を加えて補完した上で、プリンター出力し、鋳造の原型を造形している。造形については、富山県高岡市の伝統工芸高岡銅器振興協同組合の鋳物職人、同南砺市の伊波彫刻協同組合など、伝統技術を継承してきた職人の技が結集している。
「10MTVオピニオン」では、宮廻正明名誉教授自身がクローン文化財の持つデジタルとアナログの混在、観光資源としての重要性、今後の可能性など、クローン文化財をめぐる講義を展開している。