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ROV
「ROV(Remotely Operated Vehicle)」は、遠隔操作で動く無人探査機の総称。主に深海を調査するシステムの駆動する装置部分を指す。「ロブ」「アールオーブイ」などと呼ばれるが、正式名称ではなく、各開発メーカーで異なる名称が使われている。
通常のROVは、深海調査船からケーブルがついた装置を海底に下ろし、そこから撮影や探査、種々の作業を行なう。深海での救助活動や機雷掃海などの軍事目的で1960年代にアメリカで開発され、その後、海底の油田やガス田の調査・開発を支援する民間企業でも使用されるようになった。日本でも1960年代から開発が始まってい...
IoT
IoTとは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」と訳されている。パソコンやスマホ、プリンタ等のIT関連機器に限らず、すべての「モノ」、たとえば家電製品や自動車といった機械等がインターネットにつながり、人々の生活やビジネスをより便利にするために作用することを言う。「10MTVオピニオン」では、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長であり、TRONというコンピュータの機械への組込みシステム研究の第一人者である坂村健氏が、IoTの本質から未来像まで縦横無尽に語っている。坂村氏によれば、IoTとは単に「モノをインターネットにつなぐ」とい...
アイデンティティ
同一性、身元などを意味し、また、独自性、主体性を意味する言葉として日常会話でもしばしば使用される。その他、社会的トピックスにおいて地域や組織、コミュニティへの帰属意識、性同一性、企業文化構築のための戦略を論じる場合にも「アイデンティティ」はしばしば取り上げられる。「10MTVオピニオン」では、政治学者の立ち場からコロンビア大学名誉教授ジェラルド・カーティス氏が、トランプ政治を論じつつ、アメリカが抱えるアイデンティティ・クライシス、アイデンティティ・ポリティクス(人種やジェンダーなどアイデンティティにより社会的不公正をこうむって...
吾妻鏡
『吾妻鏡』は鎌倉時代に成立した全52巻に及ぶ歴史書の大著。編纂統括者は北条貞顕とする説が有力だが、著者は不詳である。鎌倉幕府の正史ではないが、編年形式をとった日本初の本格的将軍年代記として意味を持ち、後世にもさまざまな影響を与えた。前半は源氏三代、後半は北条得宗家の歴史を記述しており、その内容は「源氏に厳しく北条に甘い」という特徴を持つ。「10MTVオピニオン」では、歴史家であり無類の読書家でもある山内昌之氏が、『吾妻鏡』の魅力をあますところなく紹介。源氏と北条に対する記述の相違点については、北条家が野心ではなく、より良い治世の...
ASEAN
「ASEAN(アセアン)」は、東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations)の略称。1967年8月8日、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国により、地域協力機構として結成された。84年にブルネイ、95年にベトナム、97年にミャンマーとラオス、99年にカンボジアが加わり、東南アジアのすべての国が加盟する「ASEAN10」が実現した。公式会議は3年ごと、外相会議や経済閣僚会議は毎年開催されている。
97年のアジア通貨危機以降、中国とインドの台頭により、ASEANの埋没が懸念され、よりいっそうの統合強化が目指された。...
アベノミクス
2012年に誕生した第二次安倍晋三内閣が掲げた経済政策である「アベノミクス」。その内容は、大胆な「金融政策」、機動的な「財政政策」民間投資を喚起する「成長戦略」を「3本の矢」から構成され、デフレからの脱却と更なる経済成長を目指すとした。自民党総裁選で再選した2015年には、以降3年間を「アベノミクスの第2ステージ」と位置付け、「一億総活躍社会」を目指すと発表、新「3本の矢」として「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」を挙げた。「10MTVオピニオン」では、公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、第...
アラブの春
「アラブの春」とは、2010年チュニジアで勃発した反体制運動(ジャスミン革命)に端を発するアラブ世界における一連の反独裁運動の総称。この大規模反政府運動は2012年にかけて続いた。結果的にはチュニジア政権、エジプトのムバラク政権、リビアのカダフィ政権が崩壊し、シリアやイエメン、ヨルダン、モロッコ、サウジアラビアなど広くアラブ全域を混乱に陥れた。各地での独裁体制に対する自由化・民主化要求が、ソーシャルメディアを介して大衆に広まっていったことも、従来の反政府運動とは違う動きとして注目された。一時は民衆の蜂起を促した「アラブの春」だが...
アンチエイジング
「アンチエイジング(anti-aging)」は、加齢による身体の機能的な衰え(老化)を可能な限り小さくすることをいう。国民人口の4人に1人が65歳となる2020年を目前に控え、予防医学の一種としてアンチエイジングへの注目と期待は高まる一方である。
老化の詳しいメカニズムは未解明な部分も多いが、遺伝子の変異、細胞機能の低下、酸化ストレスの増加、免疫力の低下、ホルモンレベルの低下、炎症の慢性化などが共通要因として考えられている。中年期以降になると、認知症、骨粗鬆症、皮膚老化、更年期障害、老眼、難聴、歯消失などの老年病のリスクが高まってくる。...
安保法(安全保障関連法)
2015年9月に成立した「平和安全法制整備法案」と新たに設定された「国際平和支援法」から構成される。平和安全法制整備法案は、自衛隊法の改正、重要影響事態安全確保法、船舶検査活動法の改正、国際平和協力法の改正等を含み、国際平和支援法は、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案」を新しく制定するもの。「集団自衛権の容認」「自衛隊の活動範囲、使用武器の拡大」「有事の際の自衛隊派遣までの国会議論の時間短縮」などが盛り込まれている。法案制定の最初の契機は、1991年の湾岸戦争である。日...
イスラム教
イスラム教とは、仏教、キリスト教と並ぶ世界三大宗教の一つ。ユダヤ教、キリスト教と同じ流れをくむが、AD600年頃メッカ近郊で神の啓示を受けたムハンマドが、預言者として絶対唯一の神アッラーの言葉、教えを伝え、イスラム教を確立していった。経典はムハンマドが聞いた神の言葉をまとめた「コーラン」を第一とし、ついでムハンマド自身の言葉や行動について記した「ハディース」が重んじられている。偶像崇拝の禁止、飲食に関する種々の制限、女性のヒジャーブ着用の義務など厳しい戒律も特徴である。信徒は「ムスリム」と呼ばれ、アラビア半島から北アフリカ、東...
イスラム国(ISIL)
2014年にシリアとイラクを横断する形でイスラム法に基づくカリフ国家の樹立を宣言したイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」。中東だけにとどまらず、世界各国に広がった同組織によるテロ行為は国際社会を震撼させた。その出現は21世紀に入り、イデオロギー、社会、政治、地政学など、さまざま領域において変革を遂げた中東世界で、最も印象的な出来事の一つだといえる。
「10MTVオピニオン」では、日本における中東・イスラム史研究の第一人者、山内昌之氏が、イスラム教の本質を紐解きながら、なぜイスラム国は生まれたのか、アメリカ、ロシアなどの大国との関係...
一神教
一神教は、一つの神を信ずる信仰を説く宗教形態を指す。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つがその典型例とされる。一神のみを崇拝すると言っても、崇拝の仕方や神の観念の相違によって、さらに唯一神教、拝一神教、交替一神教などに分類される。狭義の一神教は唯一神教であり、外に向かって教えを広めようとする宣教の傾向を持つため、冒頭に挙げた例のように世界宗教化することが多い。一神教の神は主に砂漠で生まれ、民族を率いる必要性があったため、一般に抽象的で男性原理を有する神とされ、全知全能にして万物の創造主と考えられた。
「10MTVオピニオ...
一帯一路
一帯一路は、中国が形成を目指す経済・外交圏構想。略称はOBOR(One Belt, One Road)。2013年に習近平国家主席が提唱し、2014年11月に中国で開催された「アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議」にて広く各国にアピールされた。陸路で中央アジアを経て欧州に続く「シルクロード経済ベルト」が「一帯」で、南シナ海からインド洋を通り欧州へ向かう「21世紀の海上シルクロード」を「一路」と呼ぶ。圏内にふくまれる国は約70か国。中国政府は、この構想を資金面で支える政府系投資ファンド「シルクロード基金」を2014年に設立、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設...
遺伝子
遺伝子とは、染色体上の固定位置に占める遺伝情報の単位のこと。生物の細胞の中に染色体の重要成分となるDNAがあり、DNA(デオキシリボ核酸)の中の遺伝情報を持つ領域を遺伝子と言う。いわば、遺伝子とはDNAという媒体に記録された遺伝に関わるデータのようなもの。また、生物にとって必要な全情報をワンセットとしてゲノムと言う。DNAの二重らせん構造が解かれてそれぞれの分子の鎖に新たな分子鎖がつながれることで、遺伝情報は複製されるしくみとなっている。近年、遺伝子研究が進む中でクローン技術や遺伝子組み換えによる植物・動物の品種開発が行われると同時...
イノベーション(技術革新)
一般的には経済発展の一因としての技術革新を意味する場合が多いが、本来は、新しいアイデア、技術等によって新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらすこと、幅広い変革を指す。「10MTVオピニオン」では、IoTの本質やIoT、AIの可能性や課題、ディープラーニングについて等、技術革新の側面からの多彩な講義はもとより、人材育成と企業のイノベーションの関連や拡大するシニア市場における可能性など、社会構造の変革という側面からもテーマを掘り下げている。経済、財政の観点からも、イノベーションを通して生産性、国内外の投資に関する問題を取り上げ、イ...
異文化
異文化とは自身が所属する文化とは異なる文化を指す。「自分とは異なる」とみなす単位は、民族や地域といった大きなスケールから家族のようなごく小さなスケールまであり、明確な基準があるわけではないが、人種や言語、宗教、風俗の違いをもって異文化を意味するのが一般的。国際社会、国際経済において既存の境界を越えたグローバリゼーションが説かれる今、なおのこと異文化への関心、理解の必要性は高まっている。「10MTVオピニオン」では、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏、首都大学東京理事長・島田晴雄氏らが、グローバル化社会を担う次...
移民問題
「移民」とは、元来、命の安全、信仰の自由、生活の向上などを目的に、他国に人々が移り住む現象のことを指す。労働力が不足している国(多くの場合は先進国)が安定した収入をめざす開発途上国の人々を受け入れるケースは多々あり、「自由の国アメリカ」は「移民の国」として発展を遂げてきたと言っても過言ではない。しかし、21世紀の移民・難民問題は、その数の増加とともにさまざまな議論を招いている。他国からの移民の増加で自国民が労働機会を奪われたことによる深刻な経済格差、増大するテロの脅威などが原因である。2016年、イギリスはEU離脱を決断したが、E...
医療費
医療費とは、国民一人が一年間に支払った保健及び医療に関する費用のことで、社会保障料と自己負担の合計となる。自己負担費は年齢、所得によって割合が変わる。厚生労働省発表の平成27 年度国民医療費の概況によれば、総額で42 兆3,644億円、前年度に比べ3.8 %増、国内総生産(GDP)に対する比率は7.96%である。超高齢化社会である日本の医療費は年々増加傾向にあり、その約3分の1が国と地方の公費で賄われているため、財政赤字の大きな要因となっている。この日本の屋台骨を揺るがせかねない医療費問題については「10MTVオピニオン」でも多くの講師陣が、テーマとし...
インフラ
インフラは、インフラストラクチャー(infrastructure)の略で、「下支えするもの」「下部構造」を指す言葉。社会的経済基盤と社会的生産基盤とを形成するものの総称として使われる。狭義には、道路・河川・鉄道・港湾・空港などをはじめ、電力などのエネルギー施設、電信・電話などの通信施設、上下水道・灌漑・排水施設などを指す。学校、博物館などの教育・文化施設、保健・医療・福祉等の施設、公営住宅や国土保全・都市計画関係の施設も加えると、一般的な経済活動の基礎条件を構成する広義のインフラストラクチャーとなる。社会資本とも同義。
とくに最近...
インフレ
インフレとは、貨幣の購買力が長期的に低下し、物価が継続的もしくは加速度的に上昇する状態のことを指す。現実に市中に出回る通貨の量が膨張することを意味するマネタリー・インフレーションと、物価レベルの上昇を指すプライス・インフレーション(いわゆるインフレ)とは、本来は区別されるが、一般的には物価上昇状態を指して使われることが多い。その典型例としては、好景気で商品、サービスの需要が増加し供給都のバランスが崩れた時、物価上昇により調整をとることが挙げられる。経済の観点からは、成長下での緩やかなインフレが望ましいとされる。日本中央銀...
宇宙ビジネス
宇宙ビジネスは、主に「輸送」「射場」「衛星」の三つに分けられる。輸送ビジネスは、ロケット開発から宇宙輸送ビジネスまで。イーロン・マスク氏が率いる宇宙輸送のスペースXは国際的ミッションに関わるまでに成長しているし、打上代行は日本でもポッキーロケットでニュースになった。射場ビジネスの「射場」とは、ロケットを発射する施設のこと。
ケネディ宇宙センターやジョンソン宇宙センターは人気の観光地となり、宇宙科学の教育啓蒙を行っている。
衛星ビジネスは、気象衛星から受け取る天気予報により台風の進路がかなり事前に把握できるようになり、放送衛...
うつ病
「心の風邪」とも言われるうつ病は気分障害の1つであり、現在、医療機関を受診している日本国内の患者は100万人を上回り、その数は増え続けている。21世紀に入り自殺率が3万人を超えるレベルで推移していることからも、うつ病は大きな社会問題と言えるだろう。「10MTVオピニオン」では、長年うつ病治療の最前線に立ってきたひもろぎGROUP理事長であり東邦大学薬学部客員教授の渡部芳德氏の講義を多数収録。渡部芳德氏は、うつ病対策として、治療の現場の重大な問題はまず「多剤併用」にあると指摘。その改善方法として、患者自身が不安症状のスケールを作ってデータ化...
AIIB
AIIB(Asian Instructure Investment Bank)アジアインフラ投資銀行は、中華人民共和国が2015年12月25日に発足したアジア向け国際開発金融機関。アジア太平洋地域のインフラ整備や各国間の連携強化で経済発展を支援することを目的に設立され、中国がその主導権を握っている。加盟国は創設時の57ヶ国から徐々に拡大、2017年3月にはアジア開発銀行(ADB)を上回る70ケ国・地域に達した。イギリス、ドイツ、フランス等ヨーロッパ主要国に加え、中東や南米、アフリカの新興国、及びロシア等が参加しているが、2017年時点でアメリカ及び日本は参加を見送っている。「10MTV...
AI人材育成
AI(人工知能)に関わる研究者やデータサイエンティストなど、AIに造詣の深い人材を「AI人材」と呼ぶ。2017年12月、中国のネットサービス大手テンセントの研究機関であるテンセント・リサーチ・インスティテュートが「グローバルAI人材白書」を発表した。それによると、AI研究や開発に携わっている人は、30万人。世界中の企業は100万人のAI人材を必要とするところ、70万人の不足を抱えているのだという。AI人材の育成に力を入れているのはアメリカと中国だが、日本でも2025年間でにAIの基礎知識を持つ人材を年間25万人育てるという目標が、2019年6月に打ち出された。A...
SDGs
SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)とは、人類と地球の繁栄を見据えた国連の開発目標であり、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)で構成されている。2001年のMDGs(ミレニアム開発目標)に続くものとして2015年国連サミットで採択され、2016年から2030年までの国際目標とされている。17の目標は、あらゆる場所、あらゆる形態の貧困をなくすことから、グローバル・パートナーシップの活性化に至るまで、人と地球の健全な在り方の実現を目指す内容となっており、それぞれに具体的なターゲットが設定されている。各国はSDGs達成に...
江戸時代
「江戸時代」は日本史上、徳川将軍家が幕府を開いて日本を統治していた時代を指す。慶長8(1603)年から慶応3(1867)年にいたる265年間で、徳川時代とも言われる。安土桃山時代とあわせて「近世」と分類されることが多い。幕藩制により兵農分離がなされ、士・農工商・賎民の身分編成を基本とする支配体制がしかれた。また、国際的な孤立を目標とした鎖国制(1641~1854年)が、幕府の長期にわたる集権的権力維持に役立った。同時に、政治・経済・文化・思想の多くの面で、世界史上でもまれな発展を見せる時代となった。近代的な意味でいう首都は江戸(東京)だった...
FTA
「FTA」は、自由貿易協定(Free Trade Agreement)の略称。2カ国以上の国や地域が、特定の国や地域とのあいだでかかる関税や企業への規制を取り払い、物やサービスの流通を自由に行なえるようにする取り決めのこと。関税や輸入割当など、貿易制限的な措置を一定の期間内に撤廃・削減する協定である。
FTAには、自由貿易の促進拡大によるスケールメリット、協定国間における投資拡大効果や国内経済の活性化などの経済的メリットが期待されるほか、協定国間の地域紛争や政治的軋轢を軽減し、地域間で信頼関係を熟成する政治的メリットが数えられる。しかし、一方で...
LGBT
LGBTとは、L:レズビアン(女性同性愛者)、G:ゲイ(男性同性愛者)、B:バイセクシュアル(両性愛者)、T:トランスジェンダー(性同一性障害)の頭文字であり、性的少数者を指す総称の一つ。日本では、性的マイノリティをタブー視する傾向が強いが、2003年性同一性障害特例法成立、2015年東京都渋谷区で同性婚に準じる「パートナーシップ証明」発行に関する条例案が成立など、LGBTに関する認識、関心は高まりつつあると言える。「10MTVオピニオン」では、弱者の人権擁護活動を行う国際 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗氏が、日本の学校におけるLGBT生徒...
エルドアン
2014年のトルコ大統領選挙に立候補して当選したレジェップ・タイップ・エルドアン大統領。民主主義国家の範と目されていたトルコだったが、エルドアン大統領による強硬外交は近隣諸国との対立を深めることとなり、首相時代から展開してきた隣国との問題ゼロ外交は破綻した。また、2016年7月に発生した一部のトルコ国防軍による武装蜂起は、一般市民や警察官に多数の犠牲者を出しながら最終的には鎮圧されてたが、このクーデターの失敗はさまざまな面で変革や波及効果を生んだ。トルコが長年の敵ロシアと歩み寄っているのはなぜなのか、トルコはシリア問題に対してどの...
OECD
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)経済協力開発機構とは、欧米諸国を中心に国際経済全般の協議を行う国際機関。第二次世界大戦後、疲弊した欧州経済再建のために、アメリカがマーシャル・プランを発表。その受け入れ機関として1948年にOEEC欧州経済協力機構が設立された。欧州16ヶ国で発足後、経済復興に伴い1961年にさらに西側欧州諸国、北米2ヶ国が加盟してOECDに発展。その後、アジアにも拡大され、日本は1964年に加盟した。2018年時点で加盟35ヶ国。パリに本部を置き、経済成長、貿易自由化、途上国支援を三大目的として意見及び情...
欧米諸国
「欧米諸国」は、ヨーロッパ州(欧州)とアメリカ州(米州。北アメリカ州と南アメリカ州)の3大州を指す言葉。狭義では、ヨーロッパの先進国及びアメリカ合衆国とカナダを合わせた集団をいう。歴史的には、オリエントの対義語であるオクシデントを「西洋」と訳し、キリスト教文明に根ざしたヨーロッパ諸国及び北アメリカを指し、ほぼ同じ意味で使われる。
近年、欧米諸国という呼び方が西洋よりも好まれるようになったのは、それぞれの国内における民族の多様化が進み、とくにアメリカではアジア系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人などの呼び方がポピュラーにな...
王陽明
王陽明(1472~1529)は、中国明代の儒学者、思想家であり儒学の一派、陽明学を提唱した。もともとは明の官学であった朱子学を学び、科挙合格後、官僚の道を歩みながら勉学を続けていた。その後、宦官との対立で僻地に左遷され、思索を重ねるにつれ朱子学に批判的姿勢を持つようになり、新学説である陽明学を打ち立てた。著書『伝習録』等に書かれている陽明学の思想の根本は「心即理」(「性」・「情」をあわせた心そのものが「理」であるという倫理実践原理)、「致良知」(誰もが先天的にもつ良知に従えばその行動は善である)、「知行合一」(「知・認識」と「行...
沖縄問題
第二次世界大戦後、米軍の直接統治下にあった沖縄が日本に返還されたのが1972年。以降、沖縄をめぐる問題は国内外で物議を醸してきた。とりわけ、ニュースを賑わせているのは、普天間基地の辺野古移設問題だ。これは、1995年の沖縄米兵少女暴行事件に端を発した問題で、2017年現在、沖縄県と国の対立は、法廷闘争に発展しながら続いている。この沖縄問題を考えるとき、アメリカの世界戦略と沖縄の歴史的役割を理解する必要がある、と公立大学法人首都大学東京理事長、島田晴雄氏は語る。「10MTVオピニオン」では、島田氏による沖縄問題の発端とその背景、これまでの経...
オバマケア
オバマケアとは、アメリカの第44代大統領バラク・オバマ氏が大統領就任後成立させた医療保険制度改革の通称。医療費が高額なアメリカでは民間の医療保険を利用するしかなく、中・低所得者の保険未加入が問題視されていたため、その問題解決としてオバマケアではより安価な公的保険加入を義務づけた。これは日本の国民健康保険のような公的保険とは異なり、民間の安く購入しやすい保険提供を推進し加入を促すものである。2010年成立後2014年から実施がスタートしたが、2017年に共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に就任することで、時流は一時、オバマケア見直しか...
オンライン診療
「オンライン診療」は、スマートフォンやパソコンなどのビデオ通話機能を使い、医師と患者がインターネットを介して診察を行うシステム。ICT(情報通信技術)を活用した新しい医療の形態として、高齢人口増に伴う医師不足の切り札と目されている。かつては「遠隔診療」と呼ばれてへき地や離島を対象としていたが、2015年8月に厚生労働省から用途を特に限定しない通達が出され、2018年4月には保険適用も開始された。オンライン診療のメリットは、病院に出かける手間や待ち時間を省けること。米国では、遠隔医療を提供するネットワークが200ほどあり、3500か所の施設を...
核合意
核合意とは、イランの核兵器開発に関して、EU並びに米英仏独中露の主要6ヶ国とイランの間で合意をみた一連の「包括的共同行動計画」のこと。2002年のイランのウラン濃縮施設発覚を機に、イランの核開発の制約を目的とした枠組みが協議されてきた。2015年合意が成立し、イランは今後15年間は高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを生産しないこと、貯蔵濃縮ウランの削減、遠心分離機の数を10年間限定などが取り決められた。また、その見返りとして、イランは金融制裁や原油取引制限などによる経済制裁を解除されることとなった。制限下ながらイランが核開発を続行できるこ...
格差
格差とは同類、同グループに生じる差・違いのことで、近年日本及び世界で格差社会の問題が深刻化している。その様相は経済不平等による貧富の差、情報技術の利用の可否による情報格差、健康格差及び医療格差、十分な教育を受ける上での格差、世代間格差等多種多様を極めており、多くの社会問題を生んでいる。従来、格差は国別、人種や社会的階級等明らかな出自の違いから生じるとされるものがほとんどだったが、近年の傾向として同質同レベルと思われる層において圧倒的格差が生じることが多い。トランプ大統領は「プア・ホワイトと称される従来の中間白人層から転落...
革命防衛隊
イスラム革命防衛隊、またの名をイラン革命防衛隊はイランの軍隊組織の一つ。イスラム共和国体制の維持、安全保障のために、イラン・イスラム革命を契機に、正規の軍事組織であるイラン・イスラム共和国軍とは別途設けられた精鋭部隊である。徐々に規模を拡大し、現在では大規模な弾道ミサイル部隊も保有している。また、密輸や義勇兵部隊による宗教宣伝など、正規国軍とは異なった方法による戦闘活動を行っている。アサド政権支援のために革命防衛隊がシリアに軍事介入していることはイラン政府も認めており、また、2017年に入ってからのテロ行為の報復として、シリ...
仮想通貨
仮想通貨は、法定通貨のように特定の国家や中央銀行による価値の保証がなく、紙幣や貨幣のような実態も持たない通貨。デジタル通貨、暗号通貨とも呼ばれる。電子マネーやソーシャルゲームとともに21世紀に入って発展し、インターネット上でやり取りされている。不正防止のために高度な暗号技術を用い、ネット上の複数コンピュータで記録を共有・相互監視するブロックチェーンで管理されている。
代表的な仮想通貨は、ビットコイン、リップル、イーサリアムなど。世界の仮想通貨は2017年10月現在で1千種類以上あるとされている。ウェブ上の専門取引所等で法定通貨...
課題先進国
「課題先進国」とは、世界に先駆けて多くの課題を抱え、その解決に向かおうとしている国を指す。東京大学第28代総長で三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏が、明治維新から第二次世界大戦敗戦、そして戦後復興という日本の劇的な歴史的背景に、研究者として過ごしたアメリカでの経験等を交え導きだした、日本にとっての重要キーワードである。「10MTVオピニオン」では、『「課題先進国」日本』(中央公論新社)の著書を持つ小宮山氏が、課題先進国に関する多数のレクチャーを展開。エネルギー、環境、少子高齢化、いずれの問題も日本が世界に先んじて経験している課題で...
カトリック
ギリシア語の「普遍的、世界的、全体的」を意味するkatholikosを語源とするキリスト教の概念の一つ。ローマ教皇を首長とする「ローマカトリック教会」と同義ではなく、プロテスタントもギリシア正教もカトリックの概念を擁するが、一般的には世界で12億人以上の信徒を持つ最大教派ローマカトリック教会をもって「カトリック」と称することが多い。キリスト教には多くの諸派があるが、概念としてのカトリックに対する違いというよりも、ローマカトリック教会と袂を分かつ各教派の林立と考えた方がよい。「10MTVオピニオン」では、上智大学神学部教授でカトリック司祭(...
鎌倉時代
「鎌倉時代」は、日本史の時代区分の一つ。かつては源頼朝が平氏政権を倒し、征夷大将軍となった1192(建久3)年が始まりとされていた。現在では守護・地頭を設置した1185(文治1)年から、北条高時が滅びる1333(元弘3=正慶2)年までの約150年間の武家政権時代を指す説が主流。鎌倉幕府の成立当時は幕府と朝廷が対立・拮抗していたが、承久の乱(1221年)以後は武家が公家を圧倒する。承久の乱は源氏の正流が3代で絶えたのに乗じて、後鳥羽上皇らが朝権回復をはかり失敗したもの。以後、幕府は全国に地頭を設け、北条氏の執権政治が確立、武家法『御成敗式目』が制...
鎌倉幕府
鎌倉幕府とは源頼朝が樹立した、組織だった中央集権体制として日本初の武家政権である。成立は頼朝が平氏打倒のため挙兵した1180年、主だった政治機関を設置した1183年、征夷大将軍となった1192年と諸説あるが、近年では守護・地頭を置いて全国政権となった1185年設立説が最も有力である。源家将軍3代の後、北条氏が実権を握り執権政治を実行。東国を基盤に封建体制を整備し、承久の乱(1221年)で公家勢力を鎮圧した後は北条泰時が御成敗式目を制定。堅実な政権運営を行い2度の元寇もよく退けたが恩賞の少なさ等から御家人の不満が高まり、1333年後醍醐天皇によって...
カリフ
カリフ(caliph)は「代行者」「後継者」を意味するアラビア語のハリーファ(khalifa)のなまったもの。ムハンマドの後継者の意味で、イスラム教団の最高指導者を指す。661年に第4代目カリフ・アリーが暗殺され、イスラム世界はスンニ派とシーア派に分裂した(正統カリフ時代の終焉)。スンニ派とシーア派はそれ以来続いているが、カリフの権威に従うのは次第にスンニ派のみとなった。16世紀初頭より、オスマン帝国では世襲によるスルタンがカリフを兼ね、1923年のトルコ革命によりオスマン帝国が解体するまで、カリフ制は存続した。2014年、イラク・シリア両国にま...
岸信介
岸信介(きし のぶすけ。1896~1987)は、日本の政治家、官僚。山口県出身。佐藤家の出で父方の実家を継ぐ。東京帝国大学法学部を卒業後、農商務省に入省。満州国実業部次長を経て1940(昭和15)年商工次官。1941年、東条内閣の商工相となり戦時経済体制を推進。戦後A級戦犯として逮捕されたが1948年に釈放され、親米派・保守党内タカ派として日本再建連盟を結成、政界に復帰する。1957年、第56代内閣総理大臣就任。1960年には国民的反対運動の中で新日米安保条約批准を強行。直後に総辞職。後継者福田赳夫などを通じて影響力を行使し続けて「昭和の妖怪」と呼ばれる...
北朝鮮の核問題
北朝鮮は2016年までに4回の核実験を強行しており、弾道ミサイルの発射とともに、日本の安全に対して重大な脅威を及ぼしている。2019年版「防衛白書」では、北朝鮮の核兵器開発が「小型化・弾頭化をすでに実現しているとみられる」と初めて記されることが閣議で了承され、弾道ミサイルへの核搭載の危機感が示された。2018年4月、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による南北首脳会談では「朝鮮半島の完全な非核化を南北の共同目標とし、積極的に努力をする」とした板門店宣言が行われ、6月の米朝首脳会談においても「北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化...
北朝鮮問題
北朝鮮問題は、2017年の北朝鮮による核実験やミサイル実験を伴ったアメリカと日本への一連の威嚇行動から発した問題。「2017年北朝鮮危機」とも呼ばれる。近年急速に核兵器能力を伸ばした北朝鮮は、数回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功し、アメリカの領土や同盟国の韓国と日本を攻撃すると脅した。これに対して米国は、テロ支援国家への再指定、国連安保理での連続的な経済制裁強化決議をはじめ、史上初のICBM迎撃実験、韓国との戦術核兵器再配備や軍事的選択肢の協議など、外交・軍事両面で最大限の圧力による対応を方針とするなど緊張を高めている。米...
キャッシュレス化
キャッシュレス化とは、現金を介さず種々の金銭的やり取りを行うこと。広義には小切手や口座振替といった形式も含まれるが、現状、クレジットカードや電子マネー等による電子決済を意味することが多い。また、近年では仮想通貨もキャッシュレス化の一潮流として注目されている。キャッシュレス化のメリットは、現金介在によるコストや付帯業務の削減、現金を携帯しないことによる利便性、利用履歴による管理のしやすさ等がある。一方、デメリットとしては、カード等の使える店舗が制限されている、決済手数料がかかる、スキミングやハッキングのリスクなどが挙げられ...
教育改革
「教育改革」とは、教育に関する諸問題解決のために制度、内容や方法に改変をかけること。日本では明治期の学制公布、教育勅語発布により近代的学校制度を確立し、第二次世界大戦後にはアメリカの指令により学制改革を行った。その後も種々の改革提案がなされ、現在、文部科学省は、2020年実施に向けて教育改革を推進している。その内容は、新学習指導要領を小学校から全面実施、センター試験を大学入試共通テストに変更、プログラミング教育の実施などの案が盛り込まれているが、基本方針は、知識を得ることよりも得た知識を活用する力を育てることにあると言えよう...
共産主義
共産主義とは、私有財産制を廃止し全財産を社会で共有することで、平等な社会を作ることをめざす思想や運動を指す。「万人の幸福で健全な生活」を理想に、先駆けとして原始キリスト教、プラトン『国家論』、トマス・モア『ユートピア』、カンパネラ『太陽の都』等の思想がある。一切の階級をなくして利益や消費状態に差をつけず、社会主義を一層進化させた思想とされる。19世紀後半、マルクス、エンゲルスらが『共産党宣言』を発表、思想を体系化し、その後唯物史観に支えられたマルクス主義が主な潮流となった。1917年ソビエト連邦が成立、マルクス・レーニン主義を...
競争戦略
競争戦略とは、個々の市場分野において競争相手に対して優位性を獲得するためのマーケティングの基本となる事業方針、戦略のこと。「競争対抗」と「競争回避」の2つに大別され、競争対抗としては相手より低コスト方針をとる「コスト・リーダーシップ」、独自性を打ちだす「差別化戦略」、特定の顧客層や地域にフォーカスする「集中戦略」などがある。競争回避としては、競争相手の得意分野から意図的にずらしたところで価格設定、広告展開を行うなどの手法がとられる。「10MTVオピニオン」では、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授・楠木建氏が「ストーリー」をキ...
共和制
共和制とは、人民が統治上の最高決定権を持つ政治体制のこと。近代までは君主制国家が多く、1776年アメリカ独立革命を機に多くの国が民主共和制を採用した。近代以前の共和制として歴史に大きな足跡を残したのが、王政から帝政に移行する間のローマ共和制時代(BC509~BC27)。この間、ローマは一都市国家から地中海全域を支配下に置く巨大国家に成長し、大帝国への基礎を築いた。「10MTVオピニオン」ではローマ共和制について、古代ローマ史を専門とする早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏がシリーズ講話を提供。共和制時代の第一回三頭政治からオクタウィ...
キリスト教
キリスト教は、ナザレのイエスを救済者キリストと信じ、イエスの行動と教えを中心に神の愛と罪の赦しを説く一神教。教義自体は第二神殿時代のユダヤ教にルーツを持ち、旧約・新約両聖書に基づいて個人と社会の再生を促す。1世紀のパレスチナで発生し、4世紀末にはローマ帝国の国教となって、主に西方世界に広まった。
現在は世界各国に多くの信徒を持ち、仏教・イスラム教とともに三大宗教の一つである。東方正教会、ローマ・カトリック教会、プロテスタント諸教会などに大別される。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、預言者アブラハムを祖とすることから「...
金融緩和
金融緩和とは、中央銀行が景気底上げのためにとる金融政策のこと。金利引き下げのほか、国債の買い上げなどで市中に出回る通貨量を増やす政策を量的金融緩和政策という。低金利や量的緩和で通貨供給量が増すことで、賃上げによる購買意欲、企業投資、金融機関の資金運用や融資が活性化し、景気回復に結びつくことを期待して行なわれる。リーマンショック後、世界的に金融緩和政策が実施されたが、欧米では景気拡大による物価上昇率の目標達成を理由に、2017年後半から緩和縮小を始めた。日本は、長引く不況とデフレ打開のために通常の量的緩和に加え、金融資産の買い...
議院内閣制
議院内閣制とは、政府(内閣)が議会(あるいは下院)の信任によって存立する政治制度。アメリカを筆頭に多くの国で見られる大統領制、大日本帝国憲法下の日本に見られた超然内閣制などと同様に、議会と政府との関係から見た政治形態の一つ。スイスのように議会が政府の機能を完全に支配する議会統治制も広い意味では、議院内閣制のうちに含まれる。イギリスで生まれた政治制度であり、1215年成立したマグナ・カルタで全ての実権を握っていた国王が司法、立法、行政の権限を失うことで、議会の存在こそが中心となる現在のような議院内閣制が生まれた。「10MTVオピニオ...
ギリシャ危機
ギリシャ危機とは、2009年の政権交代をきっかけに始まった一連のギリシャの経済危機を指す。2009年政権交代でGDP比4%程度とされていた財政赤字が実際には13%を超え、旧政権が財政赤字を隠ぺいしていたことが明らかになった。このことで、ギリシャ国債は暴落し、各国の平均株価も下落するなど、世界的に影響を与えた。その後、2012年財政緊縮を掲げる第1党が連立政権を樹立し、事態はひとまず沈静化に向かった。しかし、2012~2014年にかけてギリシャはEU、IMFからの借り入れを繰り返した挙句、返済の免除や期限の延長を持ちだし、財政再建案にも返答をしぶったため、...
クリミア
クリミアは、黒海の北岸にある半島一帯の地域を指す。古代よりギリシア、ローマ、オスマントルコ等多くの民族の支配を受け、1783年にロシア帝国に併合。19世紀半ばにクリミア戦争の主戦場となった後、ロシア内戦を経て1921年ソ連邦下の自治共和国となり、第二次世界大戦ではナチス・ドイツの占領下に置かれる。1954年ウクライナ・ソビエト社会主義共和国に移管、1991年ソ連崩壊に伴いウクライナに属する自治共和国となったが2014年にクリミア危機が勃発。以来、ロシアとウクライナ間でクリミアの帰属をめぐって係争状態が続いているが、日本を含め国際社会の多くはロ...
クルド人
クルド人は、世界最大の「国を持たない民族」と呼ばれている。少数民族に分類されるが、その数は2500万から3000万人にのぼる。クルディスタン(クルド人の国)と呼ばれる山岳部が彼らの故郷で、中世から近世にかけては強大なオスマン帝国の一部として、伝統的な暮らしを営んでいた。彼らが「国」を失うのは、第一次世界大戦後のサイクス・ピコ協定に基づいて、イギリス・フランス・ロシアによって引かれた恣意的な国境線により、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアに分断されたことが原因である。近年のシリア紛争を受けて難民となり、ドイツやフランス、ス...
クローン文化財
「クローン文化財」は、東京藝術大学の宮廻正明名誉教授が命名した文化財の継承方法。宮廻教授は、国宝「法隆寺釈迦三尊像」をクローン技術によって復元し、2017年、クローン文化財だけを展示した展覧会「素心伝心」を開催、門外不出の文化財を寺から外出させることに成功している。クローン文化財と模倣やコピー作品の違いは、オリジナルの超越にある。現存しているものをそのまま再現するにとどまらず、3D技術を用いることにより欠損部分をつくられた当初の状態に戻すのである。実際につくられたときの状態により近いため、クローンが現存しているものを超越したと...
黒田バズーカ
2013年3月、第31代日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏が行った思いきった金融緩和政策の俗称。その大胆さ、市場に与えた衝撃の大きさなどからバズーカ砲にたとえられる。第一弾の「黒田バズーカ」は日銀総裁就任直後の2013年4月。長期国債の買い入れの他、2%の物価安定を目標とし、量的・質的金融緩和に踏みきった。第2弾2014年10月の追加金融緩和政策ではさらなる金融市場調節、国債買い入れを行い、グローバル市場における株価上昇、円安進行などを招いた。しかし、日本国内ではデフレ脱却の兆しが見られず、2016年1月、第3弾としてマイナス金利導入が発表された。...
グローバリゼーション
グローバリゼーションとは、人、モノを中心とする社会的、経済的関係が国民国家の枠組みを越えて地球規模に拡大し、世界の産業、文化、経済市場の統合が進むことでさまざまな変化が生じる現象のこと。歴史的には、ヨーロッパ諸国が植民地を求めて世界に進出し始めた大航海時代がその起源といえる。この世界規模の海外進出がヨーロッパに政治及び経済体制の変化をもたらし、また物流の変革が産業革命につながったからである。第二次世界大戦後、西側諸国で現代のグローバリゼーションが始まり、それは90年代のドイツ再統一、ソ連崩壊に象徴されるボーダーレス現象を...
グローバル企業
「多国籍企業」が、国連の国際連合貿易開発会議により「2ケ国以上の国において資産を統括する企業」「2ケ国以上に拠点を有する企業」と定義されているのに対して、「グローバル企業」の明確な定義はない。総じて、「国やマーケットの違いを超えて、世界中で自社の強みを生かした商品、サービスによるビジネス展開をする企業」「世界の国々、地域での経営が調和をもって運営され、統一された経営戦略をもつ企業」を指すと言える。「10MTVオピニオン」では、企業コンサルタントとして豊富な経験を持つエム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役・大上二三...
経済成長
「経済成長」(Economic growth)は、国民経済の規模が年々拡大していくプロセスのこと。具体的には国民総生産(GNP)や国内総生産(GDP)、実質国民所得(NI)などが指標となる。経済成長にはいくつかの理論があるが、1.技術革新、2.資本蓄積、3.資金供給、4.人口増加、5.内外市場の拡大などが、その要因として数えられる。
戦後の日本経済は、経済復興期(1945~54)、発展期(1955~64)、第二の経済発展期(1965~70)、変動期(1971~74)、低成長期(1975~84)、国際協調と不均衡の時期(1985~89)、バブル崩壊と低成長の時期(1990~99)、中成長持続と...
権威主義
「権威主義」(authoritarianism)は、権威を絶対的なものとして重視し、それを拠り所に判断や行動をとる考え方。特徴的には、1. 判断の根拠の外在性(権力者は恭順の対象として、つねに自己の外部に存在する) 2. パーソナリティーの統合の不在 3. サド・マゾヒズム(自分より上位には服従し、下位には支配と攻撃の態度をとる) 4. ステレオタイプ(社会を単純なタテの上下関係で捉え、社会現象を善悪・優劣などの両極化でとらえる)があげられる。
権威主義の社会的態度は、政治的には民主主義に反対する意味において「非民主的」であり、心理的には合理主...
健康寿命
「健康寿命」(Health expectancy)は、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間の長さを示す言葉。厚生労働省の調べでは、2016年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳。平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年で、前回に調査された2013年と比べて男性0.18年、女性0.05年改善している。
健康寿命は、日本においては年々延びており、2001年の統計では男性69.4歳、女性72.65歳だったのが、男性では3歳近く女性でも2歳近く延びを示している。厚生労働省では、食生活の改善などが寄与していると分析しており、高齢者の社会参加の場が広...
憲法改正
憲法改正(改憲)とは、成文憲法の条文を所定の手続きをふんで修正、追加または削除することを指す。憲法96条1項で、衆議院と参議院の総議員の 3分の2以上の賛成による国会発議を要すること、さらに国民投票もしくは国会の定める選挙の際行なわれる投票において過半数の賛成が必要であると定めている。安倍晋三首相はもとより憲法改正に熱心な姿勢を示しており、2017年5月には「憲法9条の1項と2項は残した上で、自衛隊の存在を明記する条文を加える考え」であることを明言。その後も改憲議論を進めることに意欲を示しているが、野党はこれに反発している。「10MTVオピ...
元号
元号とは、特定の年代に付けられる称号であり、年号と同義。古くは、中国・漢の時代から一般的に使用されるようになり、為政者(皇帝)の交代や治世方針の変更時に改元された。日本では645年の大化1年が元号の始まりであり、明治維新を契機に天皇一代に一元号とする「一世一元の制」を採用。現在、日本は世界中で元号を用いる唯一の国となっている。明治以降、先の天皇崩御及び新天皇の皇位継承によって改元されるのが通例であった。しかし、平成28年(2016年)、今上天皇が「高齢により象徴天皇としての務めを果たすことが困難」とお言葉を発表し、明治以降、初の生...
原油安
2003年頃から上昇し始め、2008年7月にはピークを迎えた原油価格は2014年6月頃から下落。その傾向は2017年石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国の間で協調減産の延長合意に至ったにもかかわらず、終息を見せていない。「10MTVオピニオン」では、公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が「逆オイルショック」とも言える原油安の背景を詳しく解説。島田氏はその背景の2大要因はアメリカのシェール革命と新興国の経済成長鈍化にあると見ている。アメリカのシェールガス生産の本格化、BRICsと言われる新興国での石油需要も軒並み低下したことから、原油価格が...
孔子
孔子(紀元前551年ごろ~前479年)は、中国・春秋時代の思想家、哲学者。貧しい家に育ち、魯に仕えて大司寇となったが権力者と衝突して56歳から十余年間、門人とともに諸国を歴遊して諸侯に徳の道を説いて回った。しかし用いられることなく、晩年は魯で弟子の教育と『春秋』その他の著述に専念したと伝えられる。
孔子の思想は、中国古代の伝説的君主である堯や舜、文王、武王、周公旦らを理想とする古来の思想を大成したものである。為政者の徳によって民衆を教化する徳治主義を根幹とし、周の遺制である礼楽制度による周への復古を説いた。「仁(人間愛)」や...
構造改革
構造改革は、社会が直面している問題を改善するために、政治・社会制度や産業構造などを調整したり、抜本的に転換していくこと。
日本では小泉純一郎政権(2001~2006年)が「小さな政府」「官から民へ」「中央から地方へ」などの理念と「聖域なき構造改革」などのスローガンを掲げて、郵政民営化・三位一体改革・医療制度改革などの新自由主義的な施策を断行した。また、安倍晋三首相が第2次安倍内閣以降推進している「アベノミクス」(2012~)においても、構造改革は成長戦略とともに「第3の矢」として注力されている。
「10MTVオピニオン」では、経済学者...
講孟余話
『講孟余話』とは、江戸時代末期、吉田松陰が儒教の経書の一つである『孟子』を読み、その注釈や所感、意見等をまとめたもの。松陰の獄中、あるいは出獄後の幽閉期間の講義をまとめてある。音読、さらには筆記を重ねて孟子の思想に迫った松陰は、本書の序文で孟子におもねることを戒めている。この点からも本書が単なる経書の注釈書ではなく、孟子を通して松陰の思想を語ったものであることがよく分かる。「10MTVオピニオン」では、東洋哲学に造詣の深い東京大学東洋文化研究所教授・中島隆博氏が、『講孟余話』から読み取れる松陰の思想の中核たるものを解説。松陰の...
顧客満足度
「顧客満足度」(customer satisfaction)は、製品やサービスのパフォーマンスに対して、顧客が期待する水準を満たしているかどうかを示す概念。満足度が高い顧客は繰り返し購入したり、他人に推奨する可能性が高い。
供給者よりも消費者を重視する傾向は1980年代アメリカで広まり、第三者機関による大規模な調査が実施されている。ミシガン大学が発表する顧客満足度指数(ACSI)は、株価などの相場にも影響を与えている。日本では日本能率協会が初めて顧客満足度を経営に生かしたCS経営を提唱。各企業はCS調査を独自実施しても、公表することはあまりなかったが...
国際通貨基金(IMF)
国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)は、国際金融並びに為替相場の安定化を目的として1945(昭和20)年12月に設立された国際連合の専門機関である。1944年7月、米国ニュー・ハンプシャー州のブレトン・ウッズにおいて開催された連合国国際通貨金融会議において調印されたIMF協定に基づくもので、日本は1952年8月13日に加盟している。2016年現在で加盟国は189か国にのぼる。IMFの主な目的は、加盟国の為替政策の監視(サーベイランス)や、国際収支が著しく悪化した加盟国に対して融資を実施することなどを通じて、(1)国際貿易の促進、(2)加盟国の高...
国防
国防とは、外敵の侵略に対して国家を防衛するためにとる軍事的国家活動のことで、自国及び同盟国との連携による防衛活動を指す。18世紀後半、国民国家の成立とともに生まれた概念で、侵略行為としては武力行使による直接侵略と第二次世界大戦後の東西冷戦から始まった間接侵略がある。国防はこの双方の侵略に対する軍事的・非軍事的手段による予防及び排除であり、侵略を受けて国防行為をとることは国際法でも認められている権利である。現代において、国防の内容は軍事的なものがからさらに拡大し、経済、社会、思想分野にも及ぶものとなっているが、一般的には安全...
国連(国際連合)
国際連合(United Nations)とは、第二次世界大戦を防げなかった国際連盟への反省から、1945年10月、51ヶ国の加盟国により設立された国際機関。チャーチル、スターリン、ルーズベルトらの提案をもとに起草された国連憲章に基づき、国際平和と安全の維持、平等と民族自決の原則に基づく諸国間の友好関係の発展の育成、経済・社会・文化・人道的問題の解決などに関する国際協力の実現を主な活動目的とする。本部はニューヨーク、2017年時点での加盟国は193ヶ国。日本は1956年に80番目の国として参加した。主要機関は、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理...
国家財政
国民の健全な生活維持のために中央政府が行う財政活動を国家財政と言い、その会計は一般会計(国の基本活動に関わる会計)と特別会計(国の特定事業や資金運用のための別枠会計)から成る。歳入の内訳は租税・印紙収入、公債金、その他(貨幣発行益等)、歳出の内訳は地方交付税交付金、社会保障関係費、公共事業関係費、国債費等。この収入と支出管理をセットにして「財政」と定義する。日本の財政は巨額の赤字による危機的状況と言われて久しいが、一つの要因として少子高齢化を背景とした医療保険や年金などの社会保険、福祉等の社会保障給付費の増大が挙げられ...
雇用
「雇用」(employment)は人をやとい入れることだが、使用・従属関係が賃金労働に一般化される資本主義のもとでは、自営業主および家族従業者を除く被用関係を意味するのが普通である。今日の雇用契約のほとんどすべてが労働契約として労働基準法など労働法の適用を受け、民法の雇用の規定(労務者はもっぱら使用者の指揮に従って労務を給付し、報酬を得る)が適用されるのは,家事使用人などのわずかな範囲に限られている。
日本の雇用者率は、1955(昭和30)年においては43.5%にすぎなかったが、高度成長を経て急速に上昇、2008(平成20)年には87.0%に達し...
コンプライアンス
コンプライアンス(compliance)とは、一般的には法律や社会規範を守ることを指し、「法令遵守」と訳される。近年では、コーポレートガバナンスの基本理念の一つとして、企業が社会的規範やルールを守って活動すること、またその概念を意味するのが通例である。1990年代後半から、企業の法令違反を原因とする不祥事が相次いだことを背景に、法律の厳罰化、規制強化の意識が高まり、多くの企業がCSR(corporate social responsibility 企業の社会的責任履行)と共に非常に重視するようになった。商法、独占禁止法、不正競争防止法なといった企業活動に直接関係する法律...
サービスイノベーション
サービスイノベーションとは、サービス産業における生産性の向上と、真の顧客満足を実現するサービスの革新を意味する。元来、サービスとは生産と消費が同時に起きる、財として蓄積しにくい、可視化しにくいという特性を持つ。有効で持続可能なサービスイノベーションを行うには、こうした特性を理解することが重要である。「10MTVオピニオン」では、産業戦略研究所代表村上輝康氏の「サービソロジー」という新しい概念に支えられたサービスイノベーションについてのシリーズ講義を提供している。サービソロジーでは、サービスに対して科学的・学術的アプローチを行い...
再生可能エネルギー
日本のエネルギー源はこれまで石油・石炭等の化石燃料をメインとしてきた。これらは有限の資源であるため、枯渇しない資源として改めて注目されているのが、太陽光、太陽熱、水力、風力、バイオマス、地熱などのエネルギーであり、これらは比較的短期間に再生可能であることから「再生可能エネルギー」と称される。再生可能エネルギーは発電時、熱利用時にほとんど二酸化炭素を排出しないため、地球環境保護の観点からも大きなメリットを有していると言える。エネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存してきた日本にとって、安定供給の得られる再生可能エネルギ...
鎖国
「鎖国」は、外国との通商・交通を禁止または極端に制限することを言う。代表例は、江戸幕府が幕藩体制強化・維持のために行なった対外封鎖政策。寛永16(1639)年、オランダ人を長崎出島に強制移住させた時点ではじまり、嘉永6年、アメリカのペリー艦隊が江戸湾に到着し、開港を迫った(いわゆる「黒船」来航)年に終了する。その間、禁止条項を定める鎖国令が何度も出され、日本人の海外往来禁止、キリスト教の禁制、オランダ・中国との貿易、朝鮮・琉球との通信関係を除く他の外国人の日本渡航禁止が厳しく取り締まられた。
鎖国に対する評価は、その間にヨー...
産業革命
産業革命とは、18世紀半ばから19世紀にかけて起こった技術革新、動力源開発による産業の変革を指す。その変革の影響は産業における工業化から広く、交通インフラ、経済、市民生活にまで及んだ。初期のイギリスから始まった軽工業中心の時期を第一次産業革命、その後の電気や石油による重化学工業への移行期を第二次、原子力エネルギー利用が始まった現代を第三次産業革命と呼ぶこともある。「10MTVオピニオン」では、東京大学大学院教授・鈴木真二氏が「空の産業革命」としてドローン開発の歴史やさらなる実用化について、東大名誉教授・伊藤元重氏、九州工業大学社会...
三国志
『三国志』とは、3世紀中国の魏・呉・蜀を中心に群雄が割拠した三国時代を記述した歴史書で、著者は西晋の陳寿である。『三国志』は、西晋の正史として魏の正統性を基軸としているため、後に裴松之(ハイショウシ)が注釈を加えている。いずれにしても魏を興した曹操(ソウソウ)や西晋の礎を築いた司馬氏については好意的に記されているという特徴がある。また、これとは別に明代に羅漢中(ラカンチュウ)らにより書かれた三国の攻防をもとにした小説『三国志演義』があり、こちらは多くの英雄に焦点をあて、時に史実の枠を超えて描かれたフィクションである。日本で...
三頭政治
三頭政治は、共和政ローマ末期に現れた、三人の実力者による寡頭政治体制を指す。第1回三頭政治はガイウス・ユリウス・カエサル、グナエウス・ポンペイウス、マルクス・リキニウス・クラッススによって成立した非公式な政治同盟(BC60~53年)。第2回三頭政治は、カエサル暗殺後の動乱の中、いずれもカエサル派のガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス、マルクス・アントニウス、マルクス・アエミリウス・レピドゥスの三者によって「国家再建三人委員会」として公式な役職として成立している(BC43~46年)。
後年、ソビエト連邦では複数の共同指導者...
財政危機
財政危機は、財政破綻の差し迫った危機的な状況を言う。一般的には、国の財政状況が悪化し、国の信用が下がることで引き起こされる。国の信用が下がると、その国が発行する国債の価格が暴落することで金利が上昇する。この時点で政府機能は停止し、民間企業の生産・投資もできなくなるため、経済活動は休止する。また、海外への資金流出が進むため、自国通貨が暴落し、対外債務の支払いが困難な状況に陥る。
財政危機に陥った国は緊縮財政によって財政破綻を回避しようとする。具体的には増税、資産売却、公共投資や公共サービスの削減などである。日本では、終...
財政健全化
財政健全化とは財政の歳入と歳出のバランスをとり改善すること。国債発行の積み重ね等により、巨額の赤字を抱え財政破綻の危機にさらされている日本財政にとっては積年の、そして早急に策をとらなければならない課題である。主に歳出削減と歳入増加の2手法がある。歳出削減策としては、公務員数削減等による経費削減、公共事業費削減等があり、特に医療、年金問題を含む社会保障費削減は超高齢化社会にある日本にとって最重要課題である。歳入増加策としては、消費税、所得税、法人税等の増税で応じるのが主である。しかし、景気回復の遅速を考慮して消費増税は数度の...
財政破綻
財政破綻とは、国や地方自治体の資金収支計画が行き詰まり、行政や公共政策における資金調達・管理等の経済活動が正常にできなくなる状態を指す。企業の倒産、破産に相当する状態。財政運営の悪化、巨額の公的債務残高、プライマリーバランスの悪化等が長期に渡ると財政はひっ迫し、資金繰りの行き詰まりを呼び起こし破綻に至る。現在、日本の財政は多額の赤字にあえぐ危機に瀕しており、財政破綻の可能性を示唆する議論も少なくないが、財政再建がうまく行われているとは程遠い状態である。財政破綻が現実となった場合、超円安、金利の急騰、金融機関の経営危機によ...
自然エネルギー
自然エネルギーは、「水力、風力、地熱、太陽光、バイオマス、波力」といった発電可能なエネルギーをいう。利用してもその量が減少しないという特徴を持ち、「再生可能エネルギー」とも呼ばれる。石油や石炭などの化石燃料も自然由来であるが、使用すると元に戻らず、限りがあるため、「枯渇性エネルギー」と呼ばれる。「10MTVオピニオン」ではエネルギー学者で認定NPO環境エネルギー政策研究所所長である飯田哲也氏が、世界中で加速する「自然エネルギー100%」のトレンドを解説。主に北欧諸国が先導するエネルギー分野の構造変化をレクチャーする。世界の水資源研究...
自然災害
自然災害とは、自然環境の急激な変動により人命や社会的生活が脅かされる現象のことを指す。人為的災害に対して天災とも言われ、日本では被災者生活再建支援法により「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害」と定義されている。日本は豊かな森林を有し四季の変化にも富む気候風土に恵まれているが、時に「災害立国」と称されるほど自然災害の多い国であることも事実である。「10MTVオピニオン」では、自然災害の対策にはまずそのメカニズムから知ることが肝要という観点から、火山、地震、台風、地球温暖化などのテ...
司馬遷
司馬遷(BC145頃~BC86頃)は、中国・前漢時代の歴史家。司馬氏は周代の記録係であり、父司馬談の跡を継いで天文・暦法や典籍・歴史を司る官職「太史令」に任官する。暦法の改革に参加し、太初暦を採用。BC99年、匈奴の捕虜となった李陵を弁護したため、武帝の怒りにふれ宮刑に処せられる。絶望と屈辱の中、彼は父の遺志を継いで『史記』を完成させることを目標とする。BC97年に出獄後は執筆に専念し、BC91年頃、紀伝体を用いた二千数百年間の歴史書『史記』が完成した。『史記』を貫く思想は「天道是か非か」の問いだと言われる。古代中国において「超越的な存在の意...
資本主義
資本主義とは、生産手段を私的所有し、経済的利益追求を目的に生産活動等を行う経済体系のこと。基本的な中心概念として、私的所有、資本の蓄積、労働力の商品化、価格体系、競争市場等を持つ。資本主義経済は18世紀後半のイギリス産業革命を機に成立。自由競争による利益追求を目指す経済活動を行うことで、社会全体も利益を得るという考えの下、工場や機械、土地といった生産手段を所有できる階級が生産手段を持たない者の労働力をもって財・サービスを作り出し、労働者は対価として賃金を得るという体系が確立した。イギリスの経済学者アダム=スミスらにより、国...
社会課題
社会問題は、環境問題や少子高齢化社会、貧困など、一般に広くその存在が知れ渡っている未解決の普遍的な問題・懸案事項をいう。「社会課題」は、社会問題の中でも解決に向けて何らかの動きが始まっているものを指している。
従来、社会課題の解決は政府等公的機関の責任とされ、多くの資金と資源が投入されてきた。21世紀に入り、グラミン銀行の創設者であるムハマド・ユヌス氏とグラミン・ファミリー、女性自立プログラムのジョージ財団などの社会起業家が輩出し、「社会課題はイノベーションの母」ととらえる風潮が始まる。日本国内でも、21世紀の課題解決は、...
社会主義
社会主義とは、資本主義が生みだす経済的・社会的矛盾を解消するために、私有財産の廃止や財産の共有・共同管理、計画生産及び平等分配を実施し、すべての人民にとって平等で調和のとれた社会をめざす思想及び運動。19世紀半ばマルクス、エンゲルスによる科学的社会主義が主潮流となり、労働者階級を含めた経済的平等と権利を旗印に、世界的に社会主義運動が波及する。第一次世界大戦後のロシア革命で世界最初の社会主義国家ソ連が誕生し、一時は資本主義大国アメリカをはじめとする西側諸国との東西冷戦で世界を二分したが、1991年のソ連崩壊とともにソ連型社会主義...
社会保障制度
社会保障制度は、個人的リスクである病気・けが・出産・障害・死亡・老化・失業などの生活上の問題について貧困を予防し、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会が所得移転によって所得を保障し、医療や介護などの社会的サービス(Social benefits)を給付する制度を指す。具体的には「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」などを総称したものとなる。
わが国の社会保障制度は国民の生活を守るセーフティネット機能を持ち、生活を生涯にわたって支えることで基本的な安心を与える役割を果たしてきたが、少子高齢化の進行をは...
習近平
習近平(1953~)は、2013年より中華人民共和国の第7代国家主席、第4代中央軍事委員会主席。また、同時に中国共産党の中央委員会総書記、中央軍事委員会主席として中国の最高指導者の地位にある。近年、中国の実質成長率は鈍化傾向にあるものの、習氏は「成長より質・効率重視の新時代」をアピール。国家主席就任以来、独自の経済・外交圏構想「一帯一路」政策を提唱し経済政策、インフラ、投資・貿易、金融、人的交流の各分野の活性化を図っている。外交面では愛国主義的政策を貫き、国内においては官僚の腐敗を厳しく取り締まるなど、確固たる地位を築いている。元...
終身雇用
「終身雇用」は、企業などが、正規に採用した労働者を、特別な場合以外は解雇しないで定年まで雇用することをいう。年功序列型賃金などと併せて、日本的雇用関係の特徴とされる。
終身雇用の慣行は、明治期から大正期にかけて、激しい労働移動による非効率を避ける手段として、大企業が労働者の定着化を進めたことがそもそもの発端と言われる。1960(昭和35)年以降、日本の経済が順調に発展したこと、整理解雇の4要件が1970年代に確立されたことから、多くの大企業や公的機関に普及した。とはいえ対象は基幹的労働者である正社員に限定されており、パートタイマ...
蒋介石
蒋介石(1887~1975)は、中華民国初代総統であり、国民革命軍・中華民国国軍の軍人。奉化県(現中国浙江省寧波市)に生まれ、軍人として教育を受ける。辛亥革命に参加し、中華民国を建国した孫文に認められ、国民党右派の代表的存在として台頭。その後、孫文の後継者として北伐を開始する。当初は中国共産党を警戒し、日本との戦いには消極的だったが、国民革命軍を率いた南京入城以来、方針を転換。1937年の盧溝橋事件を機に徹底した抗日作戦を推し進めた。日中戦争終結後は国共内戦に向かい1948年に中華民国初代総統に就任するも、翌年、毛沢東率いる中国共産党に...
奨学金
「奨学金」(scholarship)は、もともとは能力のある学生に対して、学費を贈与することで進学を促した制度。現在の奨学金には、返済の必要のない「給付型」と、返済しなければならない「貸与型」があるが、貸与型の実態は「学生ローン」(student loan)であると言われる。かつては「貸与型」の多くが無利子だったが、有利子奨学金を借りる学生の人数が無利子より多くなったのは2003(平成15)年。家計の悪化と学費の高騰の二つが相まって、多くの学生が奨学金に頼らざるをえなくなっている。さらに、2004年に日本育英会から日本学生支援機構に引き継がれた時点で奨...
少子高齢化
世界の先進国が抱える人口問題の中で最も重要視されているのが少子高齢化である。中でも日本は、2016年の人口動態統計によれば、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は1.44、65歳以上の高齢者は総人口の27.3%とまぎれもない世界でもトップクラスの少子高齢化大国である。少子高齢化が引き起こす問題は多岐にわたる。たとえば、生産年齢人口の減少に伴う国力、経済力の低下。また、高齢者が増加し若者世代が増えないということは、年金、医療など社会保障制度の破綻を招きかねない。「10MTVオピニオン」では、日本の将来を左右するこの大テーマ...
聖徳太子
日本人なら誰もが学校の歴史の授業でその名前を知ることになる飛鳥時代の人物「聖徳太子」。同時に複数の人の話を聞きながら、その話をすべて理解し的確な返答をしたという故事や、遣隋使を派遣して中国の文化・技術・制度を学び、「冠位十二階」や「十七条憲法」を制定、天皇を中心とした中央集権国家体制の確立したことはよく知られている。また、仏教を日本に広めることに注力したことでも有名で、世界最古の木造建築として有名な法隆寺も聖徳太子が建立したと言われる寺院の一つである。「10MTVオピニオン」では法隆寺管長である大野玄妙氏が、十七条憲法にある言...
消費者
消費者とは商品やサービスを最終的に選択・購入し利用する主体を指す。生活する人全般を指す「生活者」、得意客という意味を含む「顧客」、商品の使用・利用者である「ユーザー」とは厳密には区別するが、同義的に用いられることも多い。生産者の対義語。産業革命の進展とともに消費者問題が発生し、日本では戦後の高度経済成長期の頃から目立ち始めた。一連の消費者の権利は消費者保護基本法の制定、消費者センターの開設等により保護されているが、資本主義社会における消費者問題は実に多種多様であり、また時代とともに複雑化していると言える。「10MTVオピニオン...
消費増税
「消費増税」は、消費税率が上がること。消費税率の8%から10%への引き上げは、当初2015年10月に行なわれる予定だったが、経済情勢を理由に二度にわたる先送りがなされてきた。安倍内閣は、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げについて、予定どおり行なうと表明している。
増税が延期されたのは、1.選挙への影響、2.景気回復への期待があったためだが、一方で社会保障等の負担増からこれ以上は延期できないという危機感もある。税負担に対する価格転嫁ができない場合は主に小売店などの利益が圧迫されると懸念されるが、経済産業省では「転嫁対策調...
食文化
食文化は、食にまつわる文化のこと。食材、調理法といった食品に関わるものから、食器、マナー、外食産業などにいたる多くの物事のあり方がふくまれる。民族や国家、宗教、風俗などにより、それぞれ固有で多様な食文化が世界には存在する。また、麺類のように交易などを通じて、文化圏を越えて食文化が伝播する場合もある。現代社会においては、グローバリズムの進展に伴い、諸地域の食文化が均一化の方向に向かっていることが懸念されている。特に欧米企業を主体としたファストフード、インスタント食品やスナック菓子などの流通に対して、郷土料理の見直し、地産地...
植民地
植民地は、本来は国土を離れた移住者が新たな地域で本国政府の管轄のもと形成する独立した社会を意味する。古代ローマ期より侵略によって獲得した海外領土を指すようになり、16世紀のヨーロッパ列強による「大航海時代」以降、本国に対する政治的従属関係の意味合いが濃厚となった。イギリスからの入植型植民地であったアメリカ合衆国の独立(1783年)を皮切りに、南・中央アメリカ大陸の植民地のほとんどがスペイン、ポルトガルから独立したため、ヨーロッパ諸国は照準をアジア、アフリカ地域に転換。侵略型の植民地政策を進めていくが、二度の世界大戦で列強も植民...
シリア内戦
シリアのアサド大統領の独裁政治体制に対して、2011年ごろから始まったアラブ世界における民主化運動「アラブの春」によって生じた人民たちの反抗として始まった「シリア内戦」。しかし、この「内戦」という言葉は、現在のシリアの状況を補足するには完全なものではない。歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏は「内戦」を「国民が二つ以上の陣営に分かれて戦う」と定義し、アサド政権が持ちこたえている理由として、外国勢力による介入と援助を挙げ、シリアの状況は「内戦」に当てはまらないとしている。人口2200万人のうち400万人が国外難民となり欧州に押し寄せ...
シリア問題
中東諸国で起こった民主化運動「アラブの春」に端を発し、アサド政権に反抗する運動が始まったシリア。この「内戦」により発生した400万人の難民は欧州にまで流れ込み、欧州各国でも社会の混乱が生じた。また、国際社会のシリアをめぐる「不一致」も大きな問題となっている。アメリカや欧州はアサド政権の独裁こそが「アラブの春」以降の混乱をきたした原因だとして責任を追及しているが、イスラム国(IS)が出現して以来、アサド政権とISを同時に打倒するシナリオは描けていない。一方、ロシアは国際的な脅威であるISと戦うには、アサド体制を受け入れることも辞さない...
シンギュラリティ(技術的特異点)
「シンギュラリティ」は人工知能(AI)研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏が提唱した概念で、日本語では「技術的特異点」と呼ばれ、AIが人間の能力を超える時点を指す。2016年にはGoogle傘下の英Google DeepMind社が開発した囲碁AI「アルファ碁」が囲碁の世界的なトッププレイヤーとの対決で4勝1敗と勝ち越し、「シンギュラリティ」の到来を予感させた。しかし、計算能力であれば、既に人間の能力を超えており、部分的な能力でAIが人間を凌駕したことは、今さら驚くことではない。問題はAIによって、技術革新への対応の遅れが、どんどん目立つようになってい...
信仰
「信仰」(faith)は、神仏など、経験や知識を超えた存在を信頼し、自己をゆだねる自覚的な態度をいう。多くは宗教的概念、神仏や教義などを信じることに対して用いられる。キリスト教ではパウロが、信仰を希望や愛とともに神に対する三つの徳の一つとして位置づけ、「信仰とは望んでいる事柄を確信することであり、まだ見ぬものを確認することである」と述べた。仏教では、発菩提心とも信心ともいうが、他力本願を唱えるものと地力救済を主張するものがあるように、信仰の形式は同一の宗教内部でも異なる場合がある。信仰の歴史を知ることは、異文化理解に不可欠で...
真珠湾
1941(昭和16年)12月8日未明の日本軍による米軍基地攻撃、「真珠湾攻撃」をもって太平洋戦争が始まった。当時、開戦を回避するための日米交渉が数ヶ月前より約50回にわたり行われていたが、合意の道筋は見えていなかった。日本軍は12月1日の御前会議で開戦を決定。宣戦布告と同時に攻撃を行うことで、勝利から早めの講和条約に持ち込む狙いを持っていた。しかし、日本大使館からワシントンへの最後通告が手違いで遅れたため、結果として真珠湾攻撃は「日本軍のだまし討ち」となり、アメリカ人の国民感情を刺激すると同時に、アメリカに参戦のきっかけを与えることと...
GHQ
GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)とは、第二次世界大戦後ポツダム宣言執行のために、1945年から1952年まで日本を占領し統治にあたった連合国軍機関のこと。連合国の政策決定機関である極東委員会の下の位置付けだったが、アメリカの太平洋陸軍総司令官ダグラス・マッカーサーが最高司令官として就任し、事実上はほぼアメリカ単独の組織となった。GHQは 戦犯追及、言論統制、非軍事化など強い権限を持ちながら、日本の民主化改革を推進。民主的憲法制定の働きかけを行い、1947年日本国憲法が施行された。GHQによる占領統治が続くなか、世界情勢は米ソを中心とする...
G7
G7とは、アメリカ、・イギリス・ドイツ・フランス・日本・カナダ・イタリアの先進7ヶ国のこと。国際経済・金融を中心とする国際的ルール作りと政策協調の推進を目的とする先進国首脳会議(サミット)を行う。G5にイタリア、カナダが加わり、さらにロシアの参加で1998年よりG8となったが、ロシアはクリミア併合に伴い資格停止となり現在G7に戻っている。日本では1979年、1986年、1993年に東京、2000年に九州・沖縄、2008年に北海道洞爺湖、2016年に伊勢志摩でサミットを開催。1999年よりG7にEU、ロシア、新興11ヶ国が加わったG20が開催されているが、自由、民主主義、...
GDP
GDP(国内総生産)は一定期間内に国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計を指し、これを名目GDP、ここから物価変動の影響を取り除いたものを実質GDPと呼ぶ。一国の国内における経済活動の規模や動向を示す指標として用いられ、GDPの伸び率が経済成長率に値するとされるが、経済の成長率を測る際には物価変動を反映した実質GDPを重視するのが一般的である。日本は戦後の高度経済成長期に実質GDPにおいて3~5パーセントの高い水準を維持。一時は7パーセントを越したが1991年のリーマンショックで一転。1~2パーセント、時にマイナス成長を記録した。一方...
地震
「地震」(earthquake)には、(1)地球内部のある領域(震源域)に急激な運動が起こり、そこから地震波が発生する現象、(2)地震波による大地の振動、の二つの意味がある。学術的に(2)は「地震動」と呼ばれるが、一般には区別しない。また、地球内部で起こる急激な運動のほとんどは断層運動と言われる。地殻や上部マントルに蓄積された歪みエネルギーが限度を超えると岩石が破壊され、弾性振動となって放出されて起こる。地震そのものの規模をマグニチュード、その土地における震動の強さを震度で表す。
世界の地震多発地域は地震帯に集中して分布しており、日...
持続可能性(サステイナビリティ)
持続可能性(サスティナビリティ)とは、広く一般にはシステムやプロセスが持続できることをいう。将来世代にとっても、また現世代内においても、すべての人が人間らしい生活を営むために公平な状態を保てることを指す。サステイナビリティー。環境面では、生態系を破壊せず生物資源を長期的に維持できる利用条件を満たすこと、その他、経済、福祉、政治、文化等の水準が長期的に維持可能であることをいう。たとえば、「10MTVオピニオン」では、東京大学生産技術研究所教授・沖大幹氏が持続可能な社会、すなわち自然共生型・低炭素型・循環型社会を実現するには、食料・...
自動運転
自動運転とは、人工知能による画像認識、深層学習を応用し、レーダーやGPS、カメラなどで運転に必要な状況認識をして、自律的に車を運転する技術のこと。自動運転技術のレベルは0~5の5段階で定義されており、レベル0はドライバー自身が全ての操作を行うため実質的な自動運転はレベル1以上に該当する。レベル1、2がステアリング操作、加減速をサポートする運転支援、レベル3~5が全ての操作の自動化を前提とする自動運転となる。世界各国で自動運転技術の開発にしのぎをけずっており、日本では複数のメーカーが2020年までの完全自動運転車発売を発表している。現状で...
重職心得箇条
『重職心得箇条』とは、江戸時代の著名な儒学者・佐藤一斎が、臣下としての心得を記した書で、聖徳太子の十七条憲法の形式にのっとり十七箇条から成っている。佐藤一斎は本書の冒頭で「重職」について述べているが、これは「重大事の担当者」ということ。重責に就いたからこその覚悟を決めた人、国の非常時を引き受ける人が政治の要となるとみなし、この書を著した。人材育成、非常時と平時双方の心構え、部下の使い方、実績に結びつく仕事の仕方やその場しのぎではない指示の出し方など、その内容は多岐にわたり、上に立つ者とそれを支える者のための心得が記されて...
儒家思想
儒家思想は、東周春秋時代に孔子によって体系化された。老荘思想とともに中国古典思想を代表するものとされる。『論語』『大学』『中庸』『孟子』及び『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』の四書五経をもって経書とする。仁・義・礼・智・信を説き、親と子、君主と臣下などの関係の範とすべきものを示していることから、日本の精神風土にも受け入れやすく、古くから学問として儒教の素養を積むことが重視された。「10MTVオピニオン」では、中国古典思想に精通する田口佳史氏が、儒家思想が「人間を救済できるのは人間だけである」という理念に基づいて発展してき...
儒教
儒教とは、孔子を始祖とする中国の中心的思想、哲学体系の総称であり、仏教、道教とともに並び称される。徳による王道政治を説き、漢代に国家教学と位置づけられ発展した。教典は、春秋時代に『易経』・『書経』・『詩経』・『礼記』・『春秋』の五経が集成され、その後、宋代に『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書が加わった。仁、義、礼、智、信の五つの徳を説く儒教は、天子を政の頂点におく国家体系に合う思想として尊重され、日本にも4~5世紀頃に渡来して独自の発展を遂げた。さまざまな流派を生みつつも中国思想、学問体系の基軸を成してきた儒教だが、中...
自由貿易
自由貿易とは、関税等による国家の干渉を排除し、生産者や商人が自由に行う国際商品取引、及びその考え方をいう。保護貿易に対立する概念。イギリスの産業革命後、重商主義に基づく保護貿易に対抗して、イギリスのアダム・スミス、デヴィッド・リカード、フランスのフランソワ・ケネーらが唱えた。産業資本家の要請による工業品の輸出拡大を背景に自由貿易運動が起こり、19世紀半ば穀物法、航海法が撤廃。イギリスをはじめ各国で、海外市場進出が推進されるが、このことがかえって市場争いや資源獲得競争を引き起こし、保護関税の導入等により自由貿易は衰退する。...
貞観政要
『貞観政要(じょうがんせいよう)』は、中国史上有数の名君と称えられる唐の太宗(李世民)が臣下と行なった政治論議を分類・編集した書。「貞観」は太宗の治世した年号(627-649)で、後年「貞観の治」と呼ばれるように社会は安定し、経済は繁栄をみた。編纂したのは唐代の呉兢(ごきょう)。全十巻は「君道篇」「政体篇」「求諫篇」「納諫篇」などに分かれ、古くから中国では帝王学、とりわけ長期政権のための教科書とされてきた。日本にも平安時代には伝来し、時折天皇への進講が行なわれている。鎌倉時代の北条政子が日本語訳させたこと、徳川家康がこの書物を愛...
人口オーナス
「人口オーナス」は、人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する状態をいう。オーナス(onus)は、「負荷、負担」を表す語で、反対語は「支給品、賞与」などを表すボーナス(bonus)になる。人口オーナスと人口ボーナスを対比させる見方は、ハーバード大学デービッド・ブルーム教授が提唱したものとされている。先進国の高齢化が進むなか、15~64歳の生産年齢人口が減少し、それ以外の従属人口(0~14歳の幼年人口と65歳以上の老年人口の合計)が増加する時期を「人口オーナス期」と呼び、新興国の「人口ボーナス期」と対照して語られる。日本は1990年代なかば...
人口減少
「人口減少」及び「人口減少社会」(Population decline)は、21世紀の日本が直面している状況であり、社会において出生数よりも死亡数の方が多く継続して人口が減少していく時期を指す。日本は2000年代後半から2010年代以降、その局面に入ったとされる。国勢調査を担当する総務省統計局では、2011(平成23)年を「人口が継続して減少する社会の始まりの年」と位置付けている。
人口推計では、2015年の人口1億2千数百万人が、2065年には8千8百万人台になるとされている。人口減少の原因は、出生率低下、移民転入の少なさ、長期景気低迷によるものである。また、...
人工知能(AI)
近年、人工知能(AI)の進化は目覚ましい。なかでも注目されているのは、「ディープラーニング」という技術だ。この技術により人工知能「アルファ碁」が囲碁のトッププロ棋士に勝利したことは記憶に新しい。「ディープラーニング」は簡単にいえば「認識ができる技術」のことだ。この画像認識の精度は飛躍的に向上し、コンピューターに「運動の習熟」「言葉の意味理解」をもたらした。東京大学大学院特任准教授・松尾豊氏は、「今こそ日本の製造業は明確な計画を持ち、AIの未来に先行投資すべきだ」と語る。「10MTVオピニオン」では、人工知能の進化「ディープラーニン...
人口ボーナス
人口ボーナスとは、労働力増加率が人口増加率よりも高くなることで、経済成長が後押しされることを指す。一般には、人口ボーナス期にある国は、都市化、工業化による所得増、消費の活性化による経済成長率の上昇が見込まれると言われる。また、社会保障関連の負担が軽減する一方で税収が増え財政負担が減少することにより、資金の余裕が生まれ、経済的な国際競争力、内需拡大といった効果も期待できる。日本は1960年代の高度成長期に人口ボーナス期を迎え、90年代半ばで終わりを告げた。なお、これに対して人口構成の変化が経済成長にマイナスの影響を与える状態を、...
人生100年時代
「人生100年時代」は、英国ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏が自著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、池村千秋訳、東洋経済新報社)中で提言した言葉。グラットン氏は、寿命が延びて100歳を超えるようになれば、これまでの80歳程度のライフコースを見直す必要があると語っている。
「人づくり革命」を掲げる安倍政権は、2017年9月に「人生100年時代構想会議」を設置。新しい経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインにかかる検討に着手している。第1回...
成果主義
「成果主義」は、仕事の成果に応じて給与や昇格などを決定する人事方針をいう。勤続年数や年齢を基準とする年功主義と対比される考え方で、欧米の企業では早くから用いられていたが、日本ではバブル経済が崩壊した1990年代半ばから採用する企業が増えた。
成果主義のメリットは働き手のやる気を引き出すことだが、評価の公平さや成果が出るまでの過程についての判断が使用者側と従業員で食い違うこと、中長期的な人材育成、組織の連帯感やモチベーション低下など、さまざまなデメリットも数えられている。業績連動報酬や、1年間の給与・賞与額を成果で決める年俸...
聖書
聖書とは、キリスト教、ユダヤ教の教典、正典であり、“bible”はラテン語の「本」を意味する言葉から派生している。イエス・キリストが出現する前の預言者と神との契約について記しているのが旧約聖書であり、創世記、ノアの箱舟、バベルの塔などの物語を含んだイスラエル民族の歴史と物語が中心となっている。新約聖書はイエス・キリストの生涯と言葉を使徒たちが記した福音書、初代教会の歴史、使徒パウロらによる書簡集等より成る。BC3世紀に旧約聖書がヘブライ語からギリシャ語に翻訳されて以来、各国語に訳され読み継がれてきた。なお、ユダヤ教は新約聖書を教典...
成長戦略
成長戦略とは、元来経営学用語の一つで、企業や組織がその成長を目指して経営、運営するための方針、対策を示すことを指す。国家そのものを成長させる場合にも用いられ、近年では2012年誕生の安倍内閣による経済政策「アベノミクス」の3本の矢である「財政出動」「金融緩和」とともに語られることが多い。日本政府は2017年6月に、「革新的技術を活かして新たな需要の創出と生産性革命をもたらすとともに、一人一人のニーズに合わせたサービス提供によって社会課題を解決するために“ソサエティー5.0”を実現する」と掲げ、「未来投資戦略」を発表。その中で、これまでの...
積極的平和主義
元々は、戦争のない状態を平和とする「消極的平和主義」と対になる概念で、戦争がなく、かつ貧困、抑圧、差別、環境破壊等による構造的暴力も排除された状態を指す。ノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥングが提唱した。この原義に対して、日本では第二次安倍内閣が掲げた国家安全保障の基本理念を指すのが一般的であり、自国の安全のみならず地域と国際社会の平和・安定・繁栄の確保のために、能動的、積極的に寄与していく姿勢を示す概念とされる。1990~91年の湾岸戦争で、日本の軍事的支援を伴わない財政支援は国際的評価をほぼ得られなかった。これをきっかけ...
セルロースナノファイバー
ナノファイバーとはナノテクノロジーにより製造される次世代型素材で、「直径1~100nm(ナノメートル)、長さが直径の100倍以上の繊維状物質」と定義され、中でも「セルロースナノファイバー」は樹木などの植物に含まれる非常に細い繊維のこと。また、セルロースナノファイバーは植物繊維に由来することから、生産・廃棄に関する環境負荷が小さく、しかも軽量である。他にも、鉄鋼の5倍以上の強度であること、ガラスの50分の1の低線熱膨張性に加え、比表面積が大きく、においの除去に適するなどが特性として挙げられる。こうした特性を活かして、家電製品、住宅建材、...
尖閣問題
尖閣問題とは、東シナ海の南西部に位置する魚釣島、久場島、北小島等で構成される尖閣諸島を巡る問題で、日本の実効支配に対して、中華人民共和国及び中華民国が1971年よりそれぞれ領有権を主張している。日本政府は、「尖閣諸島は明治政府が現地調査の上、清(中国)の支配下にないことを確認済。サンフランシスコ平和条約でも日本が放棄した領土には含まれておらず、1972年の沖縄返還と共に日本に戻った」と主張。これに対して、中国は「明朝より中国の領土であったものを、日清戦争で日本が不当に奪ったもの。サンフランシスコ条約に中国は関与しておらず、その決...
戦後70年談話
太平洋戦争終戦を経て、日本は戦後50年を機に10年の節目毎に内閣総理大臣が談話を発表してきた。その都度、日本が戦争及び戦後をどのように語るかが注目されており、とりわけ中国、韓国は日本が両国に対する行為をどのように述べ、謝罪するかに焦点を当てている。1995年の戦後50年談話では村山富市首相が、日本の植民地支配と侵略がアジア諸国に与えた損害と苦痛を反省し、「心からのお詫び」を表明。2005年戦後60年談話でも小泉純一郎首相は村山談話の路線をほぼ踏襲し、植民地支配、侵略、痛切な反省、心からのお詫びの気持ちといった、いわば4つのキーワードが盛り...
戦後復興
日本で「戦後復興」という場合は、第二次世界大戦後のアメリカによる占領期から脱し、高度成長が始まる頃を指す。一般的には朝鮮戦争と重なる1950年頃から1954年を本格的な戦後復興期とし、この間、日本は「奇跡の復興」と呼ばれるめざましい経済発展を遂げ世界から注目された。戦敗国だけでなく戦勝国でさえ大きな打撃を受けた国が少なくなかった中、日本がめざましい復興を遂げることができた要因としては、直接占領を免れたこと、東西冷戦という国際情勢の中でソ連の脅威の防波堤となりアジアの経済発展モデルの役割を持てたこと、世界有数の工業力と技術力を持っ...
戦後レジーム
戦後レジーム(戦後体制)とは、第二次世界大戦後に確立したヤルタ・ポツダム体制による世界秩序の制度を指す。フランス革命時に旧体制を指した「アンシャン・レジーム」を踏まえた安倍晋三首相の造語である。ヤルタ体制は1945年の米英ソによる首脳会談・ヤルタ会談に始まる米ソ二大国の利害調整を中心とした国際レジームであり、東西冷戦を生むこととなった。ポツダム体制は、太平洋戦争終結後、GHQ占領下で定められた日本国憲法をはじめとする法制度を意味し、日本で戦後レジームが語られる時はポツダム体制を話題にすることが多い。歴代首相の中では、中曽根康弘、...
前立腺がん
現在、前立腺がんの罹患者が先進国で急増しており、日本もその例外ではない。原因として考えられるのは、食生活の変化である。脂肪が前立腺がんの一番のリスクであり、摂取量の多さが前立腺がん発症に直結している。今までアジアでは比較的前立腺がんが少なかったのは、発症を抑制する効果のある大豆を多く食べる食習慣にあるのではないか、と考えられている。治療法は摘除手術が主流で医療技術は日々進歩しているが、なかでもアメリカで開発された内視鏡手術ロボット「ダヴィンチ」は正確性、安全性、技術伝承性の全てを実現するイノベーティブな先端医療機器として...
太平洋戦争
太平洋戦争(1941年12月~1945年8月)は、第二次世界大戦の局面の一つで、アメリカ・イギリスを中心とする連合国と日本の間で戦われた戦争をさす。欧米支配からアジアを解放し、大東亜共栄圏を築くことを名目とした日本軍による真珠湾(米ハワイ)への奇襲攻撃が始まり。日本軍は開戦半年で東南アジア全域を占領するが、1942年のミッドウェー海戦以来、形成は逆転。国内への大規模な空襲、広島・長崎への原爆投下を経て、1945年8月無条件降伏などを求める「ポツダム宣言」を受諾して終わった。厚生労働省によると、1937年に始まった日中戦争以降で約230万人の日本の軍...
多神教
多神教は、複数の神々を同時に認め、崇拝や信仰対象とする宗教形態。日本の神道、インド、古代オリエント、古代ギリシア・ローマの宗教などにその例が見られる。万物に精霊が宿るとするアニミズムも一種の多神教と言えるが、一般には自然現象の人格化や人間生活の投影(祖霊や物神など)によってさまざまな個性や姿形を付与された神々に対する信仰である。一神教が砂漠の宗教であるのに対して多神教は農耕社会に多くみられ,配偶神や親子神のように地上的・現世的な性格を多分にもっている。
「10MTVオピニオン」では、古代ローマ史を専門とする早稲田大学国際教...
第一次世界大戦
第一次世界大戦(1914~1918年)は、帝国主義国家が二つの陣営に分かれて戦った、人類史上最初の世界大戦である。背景となったのは、バルカン半島をめぐる三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)と三国協商(イギリス・フランス・ロシア)の対立。総力戦という戦争の性格や飛行機、潜水艦、毒ガスなど新しい武器が出現したことで、戦争の形態が一変した。戦闘はほとんどヨーロッパのドイツの東西で展開されたが、他にトルコの周辺の西アジア、ドイツ勢力圏の及んだアフリカ、中国でのドイツ権益に対する日本の攻撃など、地球的規模で戦争が広がった。1917年5月の...
第二次世界大戦
第二次世界大戦とは、1939年から45年にかけて日独伊三国同盟を中心とする枢軸国と、英米及び中華民国、ソビエト連邦(当時)から成る連合国軍との間で行なわれた歴史的大戦。
ヴェルサイユ体制に対するドイツの不満が増強、関連して独伊を中心にファシズムが台頭し、さらにアメリカの孤立・不干渉を基本とするモンロー主義の変化、共産主義の脅威や世界恐慌等、複数の要因が重なったことを背景に、世界各所で戦闘状態となり、未曽有の死傷者を出した。恐慌に見舞われた日本は政治的、経済的危機に陥り、「持たざる国」の宿命を背負ってアジア諸国に侵出。1941年12月...
ダイバーシティ
ダイバーシティ(diversity)は、英語で「多様性」を表す表現。多国籍業の発展に伴い、主に労働における「人材の多様さ」の概念などとして用いられる場合が増えた。多様な属性の違いを活かし、個々の能力を最大限引き出すことにより、付加価値を生み出し続ける企業を目指す経営戦略は「ダイバーシティ経営」と呼ばれる。成長戦略としてのダイバーシティに企業として最初に着目したのは、175か国で多様な事業を行うGE(ジェネラルエレクトリック)社。「10MTVオピニオン」では、同社に25年間在籍した藤森義明氏(株式会社LIXILグループ前取締役代表執行役社長兼CEO)が...
WHO
「WHO」は、World Health Organization(世界保健機関)。1948年に設立された国際連合の専門機関の一つ。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として、世界中で病気の撲滅のための研究、適正な医療・医薬品の普及、健康の促進、病気の予防などの推進活動を行なっている。多国間協力の推進や災害時緊急対策の策定、感染症対策などのほか、都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させることもWHOの活動内容に入る。本部はジュネーブにあり、2017年8月現在、WHOの加盟国は194カ国・地域。日本は1951年に正式加盟している。
WHOは、4月7日...
WTO(世界貿易機構)
WTO(World Trade Organization)/世界貿易機構とは、自由貿易促進を主な目的として1995年に設立された国際機関。常設事務局はスイス・ジュネーブ、加盟国は2017年時点で164ヶ国。WTO協定に基づく貿易に関する種々の国際ルールを定め、世界の多角的貿易体制の中核を担っている。各国が保護主義的貿易政策をとったことが第二次世界大戦の一因となったという反省から、1948年に前身となるGATT体制が発足。自由貿易促進による世界経済の成長に貢献する中で、さらなる貿易ルールの拡充を目指して、ウルグアイ・ラウンド交渉が行われ、WTO設立合意となった。WTO協定によ...
団塊の世代(団塊世代)
「団塊の世代」は、日本において第二次世界大戦直後の第一次ベビーブーム(1947~1949年)に生まれた世代を指す言葉。堺屋太一氏の1976年の小説『団塊の世代』から広まった。およそ810万人という人口規模の大きさから、日本社会への影響力の強さが指摘されてきた。厚生労働省による定義でも「団塊世代」が用いられている。
団塊の世代は1970年代から80年代にかけて日本社会の中流社会化を決定づけ、核家族やニューファミリーとして郊外のニュータウン建設に拍車をかけた。2000年以降は中流社会の崩壊、格差社会の誕生を印象づける世代となっている。また2007年の定...
男性ホルモン
男性ホルモン(アンドロゲン。雄性ホルモンとも)は、雄の副生殖器の発育及び機能を促進し、声変わりや体毛の増加など、第二次性徴を発現させる物質の総称である。テストステロンとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)に分けられる。テストステロンは一般に30歳頃から減少しはじめ、性欲減退や集中力・記憶力の低下、不眠や内臓脂肪の増加などに関わる「男性更年期障害(LOH症候群)」の原因になっていることが近年の研究で明らかにされた。「10MTVオピニオン」では、日本におけるLOH症候群の第一人者である順天堂大学医学部教授の堀江重郎氏が「男性医学とテストス...
地球温暖化
地球温暖化は、南極や北極の氷が溶け出したり、ヨーロッパアルプスの氷河が溶けるなど、地球的な規模での気温上昇による気候変化を指す言葉。原因は、石油・石炭など化石燃料の燃焼と、焼畑耕作などによる二酸化炭素やメタン、フロンなどの温室効果ガスの放出、森林破壊、砂漠化などとされる。この原理自体は19世紀末より指摘されていたが、1950年代後半から開始された大気中の二酸化炭素濃度測定、1970年代以降の全地球的温度上昇傾向観測で問題が指摘され、1988年11月より「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」により、科学的知見、影響予測、対応策の検討がな...
地方創生
地方創生は、2014年9月3日の第2次安倍改造内閣発足時に政策として発表された新しい用語。地方に雇用を生むことで東京への一極集中を是正し、日本の人口減少を食い止めるための一連の取り組みが行なわれている。1988~89年の竹下内閣時代、全国3059自治体に1億円ずつ配った「ふるさと創生事業」は、そのグランドデザインとも反面教師とも目されている。具体的政策として、全国すべての自治体が将来人口の推計を出し、人口減少を克服し雇用を創出するための総合戦略を練っている。従来の自治体や識者主導体制ではなく、地域の「産官学金労言」に広く協力を求める点を特...
中国巨大テック企業(BATH)
中国巨大テック企業であるBATHとは中国のIT業界をリードする通信会社、バイドゥ(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)、ファーウェイ(HUAWEI)の総称。いずれも中国の経済特区深センを拠点としている。成長著しいBATHは、アメリカのGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)と並び称されることも多い。売上げ、利益額ともにGAFAがBATHに圧倒的に勝っている(2018年度比較)が、今後、経済成長が鈍化しているとはいえ人口14億を抱える中国市場を制しているBATHが、GAFAを猛追するという見方も多い。バイドゥがグーグルのような検索エン...
中東情勢
中東とは、地域的にはイスラム教信仰国の多いインド以西のアフガニスタンを除く西アジアとアフリカ北東部をさし、アラブ首長国連邦、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、パレスチナ自治政府の管轄地域などを含む。原油産出国も多く、アジアとヨーロッパの交差点となる地政学上重要な地域であり、かつ歴史的に長い宗教対立を抱えている等、常に種々の国際的軋轢の火種となってきた。中東情勢の複雑さは、国家、民族、宗教間の争いのみならず、米露の政治的介入による代理戦争状態にも深く根差している。イラン・イラク戦争、パレスチナ自治...
長期気候変動
「異常気象」は、長期的な気候変化の傾向と、年ごとの激しい気候変動の2つの影響が重なったときに発生する。このうち、長期的気候変動による影響の最たるものが地球温暖化であり、この問題は人類が抱える最大課題の1つとして、2015年のパリ協定、2019年の気候行動サミットなどでたびたび議論されてきた。東京大学先端科学技術研究センター副所長の中村尚氏によると、長期的気候変動を観測すると、地球温暖化には加速期と減速期のあることが判明。さらに減速期には夏は温暖化傾向に、冬は寒冷化傾向になる、すなわち季節性が拡大することも分かってきた。このような気...
朝貢
朝貢は、中国の東アジアにおける前近代的な貿易関係を指す言葉。諸外国の君長が中国皇帝の徳を慕い、貢物を持ってやってくることを「朝貢」と呼び、その見返りに皇帝が回賜を与え国王に任命することを「冊封」と呼ぶ。古来、中華思想(華夷思想)を持つ中国では、夷狄(周辺諸外国)に対する貿易は、中国が与える恩恵と考えられたからだ。周辺諸国からの朝貢・冊封関係は漢代初期から始まり、3世紀に邪馬台国女王卑弥呼が魏王朝から親魏倭王に封ぜられ金印を受けたのも、この体制への編入を意味する。6世紀以降、日本(倭国)は離脱したが、朝貢が貿易にまで拡大し...
長州藩
長州藩は、江戸時代に周防国と長門国を領有した外様の大藩。通常、長府、徳山、清末、岩国の4支藩を含めて長州藩と呼ばれる。藩主は代々毛利氏で、藩祖は元就(もとなり)。現在の山口県であり、萩藩、山口藩、毛利藩と呼ばれることもある。幕末には尊王攘夷運動の拠点となり、蛤御門の変、第1次長州征伐を経て、第2次長州征伐に勝利、薩摩藩と連合して明治維新を主導した。明治新政府に、木戸孝允、伊藤博文、井上馨、山県有朋、大村益次郎らの人材を輩出。また、萩城下に置かれた吉田松陰の松下村塾には、藩校で学べない下士の子弟を中心とする俊才が集まり、尊攘派...
TPP(環太平洋経済連携協定)
太平洋を囲む国々がモノとカネの行き来を活発にして、自由な経済圏を作ろうとする取り組みであるTPP(環太平洋経済連携協定/環太平洋パートナーシップ協定)。2016年には参加12カ国が協定文書に署名し、日本でも国会で承認され、関連法も成立したが、以前からTPPに否定的な発言を繰り返していたアメリカのトランプ大統領は2017年の大統領就任直後、正式にTPP離脱に関する大統領令に署名した。アメリカの離脱により、現在休眠状態のTPPだが、アメリカを除いた11カ国での「TPPイレブン」という新しい動きも出てきている。「10MTVオピニオン」では東京大学名誉教授で学...
低炭素社会
低炭素社会は、二酸化炭素やメタンなどの温暖化ガスを極力排出しない社会のこと。石油などの化石燃料に過度に頼らずに自然エネルギーを活用し、大量生産・大量消費社会を脱して循環型社会に変貌することを意味する。2007年に行なわれたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告を受け、日本では2008(平成20)年に「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定された。主な目標は太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの活用促進。たとえば太陽光発電については2020年までに2008年の10倍、2030年までに40倍に増やすという数値目標が示された。2009...
定年
定年とは、ある一定の年齢に達したらその仕事を退職、退任すること。多くの企業、組織は定年年齢に達すると自動的に雇用関係が終了する仕組み(定年退職)をもっており、企業の約8割が「60歳定年」としているのが日本の現状である。しかし、少子高齢化の急速な進行で年金制度の将来を危ぶまれるなか、高齢者の再雇用問題は切実さを増している。また、「人生100年」が珍しくなくなった今、定年前と定年後(いわゆる老後)の生活はほぼ同じ年数となっている。金銭面のみならず、健康面でも精神面でも生き生きと充実した人生をいかに送ることができるか、が多くの日本人...
テストステロン
男性の成長に大きく関わるため、一般に「男性ホルモン」と呼ばれている「テストステロン」。このホルモンは医学的な面だけでなく、社会的な面にも作用することがわかっている。一般的に、この値は20代をピークに下がっていくものだが、この値が高い人は、新しいことにチャレンジする意欲が高くなる、社会的に公平・公正な考え方を持ちやすくなる、嘘をつきにくいといった傾向があることがわかっている。また、最近の研究では、このホルモンを減らさないことが認知症予防や治療につながるのではないかとも期待されている。「10MTVオピニオン」では、順天堂大学医学部大...
哲学
「哲学」(philosophy)は、ギリシア語で「知を愛する」を意味するフィロソフィアが語源。「まだ持っていない知」を愛し、憧れの念を持つことをいう。「古代ギリシアでは学問一般を意味し、近代における諸科学の分化・独立によって、新カント派・論理実証主義・現象学など諸科学の基礎づけを目ざす学問、生の哲学、実存主義など世界・人生の根本原理を追及する学問となる。認識論・倫理学・存在論などを部門として含む」(広辞苑第五版)とあるように、前近代では科学も含む学問の総称だった。日本では、江戸後期から明治初期にかけて、西洋流の学問一般を「窮理学...
テロ対策
テロは英語の「テロリズム(Terrorism)」を略した和製英語で、政治的目的を達成するために暴力および暴力による脅迫を用いることを指している。世界におけるテロの発生件数は2001年9月の米国同時多発テロ事件以来、上昇し続け、2014年のISIL(イラク・レバントのイスラム国)樹立宣言を経て、急激な増加を見せている。日本にとってもテロは対岸の火事ではなく、外務省は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内のテロ対策強化を重要なテーマと目している。「10MTVオピニオン」では、中東事情に詳しい歴史家・山内昌之氏が「テロ抑止の3つの処方箋」...
天皇
天皇は、日本歴代の君主の称号。初代の天皇は『古事記』や『日本書紀』で神武天皇とされてきたが、応神天皇、崇神天皇説も浮上している。7~10世紀の律令制は、天皇を中心とした政治機構として国家の礎を築いた。しかし12世紀末の鎌倉幕府成立以来、天皇の統治権は有名無実となっていく。17世紀初頭の織豊政権と江戸幕府により、朝廷は事実上幕府の支配下に入るが、江戸後期になると神道、国学、水戸学、儒教などの興隆とともに尊王論が盛んになる。1868年の明治維新により王政復古が実現し、天皇の「現人神」としての地位が大日本国帝国憲法と「皇室典範」により確立...
デジタルディスラプション
「デジタルディスラプション(digital disruption)」は、アメリカのアナリストであるジェイムズ・マキヴェイ氏が自著『DIGITAL DISRUPTION(デジタル・ディスラプション)破壊的イノベーションの次世代戦略』(ジェイムズ・マキヴェイ著、プレシ南日子訳、実業之日本社)の中で使用した語。日本語では「デジタルテクノロジーによる破壊的創造(イノベーション)」と訳されることが多い。著書の中では、「消費者の欲求を第一に考え、無料のツールを活用・提供し、シンプルな方法で、迅速に商品・サービス・仕組みに創造的破壊を起こすこと。次世代の破壊的イノベー...
デフレ
デフレ(デフレーション)とは、インフレとは逆に継続的に物価が下がり、経済全体が縮小する状態のことを指す。消費者にとって物価が下がるのは歓迎できることと考えられがちだが、一方で給与・賃金が上がらない、企業投資も低迷する等不況を招く場合もあり、長期のデフレ状態は経済全体としては望ましくないと言える。日本では、バブル崩壊後に「失われた20年」と言われる長期の低成長時代に突入し、その間の政府の経済政策はデフレ脱却
を一に目指すものだった。日銀の大規模金融緩和が何度も実施されたが、物価とともに賃金が下がれば消費は落ち込む。さらに景気...
東京裁判
「東京裁判」は極東国際軍事裁判の略称。第二次世界大戦で日本が降伏した後の1946年5月3日から1948年11月12日にかけて、東京・市ヶ谷の旧陸軍省参謀本部で行われた。被告人は東条英機元首相をはじめとする日本の指導者28名。「平和に対する罪(A級犯罪)」で有罪になった被告人は23名、通常の戦争犯罪(B級犯罪)で有罪になった被告人は7名。病死した2名と病気により免訴された1名を除く25名が有罪判決を受け、うち7名が死刑となった。この裁判では、判事11名全員が戦勝国(アメリカ・イギリス・オランダ・フランス・ソ連・中華民国・オーストラリア・ニュージーラン...
鄧小平
鄧小平(とう しょうへい、中国語読みはドンシャオピン。1904-1997)は、中華人民共和国の政治家である。フランス留学中に中国共産党に入党、帰国後は革命運動と長征に参加し、1945年に党中央委員となる。1965年からの文化大革命では劉少奇とともに「党内の資本主義の道を歩むひと握りの実権派」と批判されて失脚するが、1973年副総理として復活。周恩来首相の死後に起こった第一次天安門事件では弾圧の責任者として再び失脚する。その後も多くの政争をくぐり抜け、1983年国家軍事委員会主席として中国の事実上の最高実力者となる。1989年には第二次天安門事件が勃発...
東洋思想
元来は「東洋思想」を語る場合、広くエジプト、バビロニア、中国、インドの思想を指すが、日本においては、日本の思想、そこに大きな影響を及ぼした中国、インドの思想をもって「東洋思想」とする場合が多い。一般的に西洋思想が科学技術の発達に伴う合理主義的精神に依っているのに対して、東洋思想は地域ごとにさまざまな発展を見せながらも、ある種の非合理主義が通底していると言える。代表的なものとしてはバラモン教やインド及び中国の仏教思想、諸子百家の思想、儒教、道教の思想、朱子学、陽明学の思想、日本における国学、儒学などの思想がある。「10MTVオピ...
トモダチ作戦
「トモダチ作戦(Operation Tomodachi)」は、2011(平成23)年3月11日に起こった東日本大震災に際して、米軍が行なった災害救援活動の作戦名。陸・海・空軍と海兵隊が連携し、人員2万人以上、艦船約20隻、航空機約160機を投入。自衛隊と連携して空港・港湾・学校などの復旧、救援物資の提供・輸送、行方不明者の捜索などを行なった。2012年12月、トモダチ作戦に従事した米原子力空母「ロナルド・レーガン」の乗組員8名が、原発事故に関する正確な情報を得られずに被曝したとして、東京電力を提訴。作戦参加者の健康被害を聞いた小泉純一郎元首相により「トモダチ支援...
道徳
道徳とは、人々が自分の価値観に基づいて善悪を判断し、正しい行為を成すための基準、規範とするその総体。人それぞれの良心、価値観に依るところが大きいが、道徳観には共通性や一致が見られる場合が多い。外から強制的に働きかける法律とは異なり、自発的な正しい行為へと人を促す内面的な原理。「10MTVオピニオン」では、この広大で深遠なテーマに、さまざまな分野のスペシャリストの講義をもってアプローチしている。東京大学大学院工学系研究科教授で『道徳のメカニズム』の著者である鄭雄一氏は、「なぜ殺人はいけないのか」というシンプルにして難解な問いをも...
同盟国
同盟とは、国家、団体、個人が利害・目的・思想を同じくする時、協力する約束を取り結ぶことで、同盟国は同盟条約を締結した当事国をさす。かつて日本は日英同盟、日独伊三国軍事同盟などを締結してきたが、現在は日米安全保障条約をもってアメリカを唯一の同盟国とし、また、トランプ大統領も日本を「アジアにおける重要な同盟国」と明言。日米両国は堅牢な同盟関係にあると言える。「10MTVオピニオン」では、多彩な講師陣が日米同盟のみならず、世界各国で見られる同盟関係とその背景、政治的指導者の思惑などについて、分析、解説をしている。たとえば、コロンビア...
独裁者
「独裁者」(dictator)は、絶対的権力を行使する支配者。独裁の語源は、古代ローマ共和政のもと、外敵の侵入や疫病の流行、政治的混乱などの国家的非常事態が発生したときに、短期に限り絶対的な権限を付与された「ディクタトル(執政官・独裁官)」に由来する。独裁は大衆の政治的自由が抑圧された状態ではあるが、「専制」とは異なり、被支配者である大衆の政治参加と積極的支持に基づく点が特色である。
日本では前近代的な僭主政や暴政も独裁と同一視するが、ヨーロッパでは区別され、個人的独裁と制度的独裁が存在する。マルクス主義においては、プロレタ...
読書
読書は、本を読むこと。声を出して読み上げる音読、声を出さない黙読がある。活版印刷が普及する以前、本は音読されることが多く、また写本が原則であったため、蔵書を持てるのは少数の王侯貴族や学者、または修道院・寺院や図書館に限られていた。19世紀後半、輪転印刷機が発明されたことにより、印刷物の大量生産時代が始まる。世界的に読書人口が増えたのは20世紀以降、教育の普及により識字率が向上し、大衆が読者層の基盤を支え、それにつれて出版点数が増加するようになってからのことである。
日本では江戸時代に全国に設置された藩校や寺小屋が、音読・...
ドナルド・トランプ
2016年アメリカ大統領選挙で、大方の予想に反して、民主党のヒラリー・クリントン氏を破り、第45代アメリカ合衆国大統領に就任した共和党のドナルド・トランプ氏。「不動産王」として莫大な富を築いた実業家でもあるトランプ氏は、その過激な発言がメディアを騒がす一方で、「アメリカファースト」を旗印に人心を引きつけた。トランプ氏の勝利に端を発した「トランプ現象」と呼ばれるポピュリズムの潮流は欧州にも波及し、各国でポピュリズムを台頭させた一因となっている。このトランプ氏勝利の衝撃は世界にどのように影響を与えたのか?「10MTVオピニオン」では、い...
ドローン
ドローンとは、無人航空機の総称であり、語源はミツバチの雄(drone)。そのプロペラの回る音が蜂の羽音に似ていることからこの名がついた。2017年の改正航空法では「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船そのた政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により、飛行させることができるもの(中略)をいう」と定義されている。ドローンは用途、大きさ、形状において、軍用の大型機から商用の中~小型機までさまざまある。2010年代前半から急速に普及し用途開発が進むなか、法整備の必要性...
ナショナリズム
ナショナリズムとは、自身が所属する民族や国家に対して、統一、独立、発展などを求める形で世俗的忠誠心を示す感情や思想、それらに関連する運動などを指す。民族主義、国民主義、国家主義、国粋主義等の訳語が用いられるが、そもそも民族、国家というものが歴史上多様な変遷をたどって形成されてきたため、ナショナリズムという概念は非常に多義的なものである。歴史的には、アメリカ独立、フランス革命をきっかけに重要概念としてヨーロッパ全土に広まり、20世紀に入ってアジア、アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。民族の団結、国家独立等を促す...
ナノテクノロジー
ナノ(nano)は10億分の1を意味する言葉。ナノテクノロジー(nanotechnology)は、原子や分子の配列をナノメートル(nm, 10億分の1m、100万分の1mm)スケールで操作、制御することで、現存する物質とは異なる構造、性質の物質を作り出す技術をいう。対象範囲は極めて広く、半導体素子を新たなアプローチで製造することや、ナノ素材と呼ばれるナノスケールの新素材開発までが含まれる。2000年1月、クリントン米大統領(当時)が、ナノテクノロジーを国家の戦略的研究開発分野と位置づけて以来、日・米・欧・アジアにおいて国家主導によるナノテクノロジー研究開発が推...
ナノマシン
ナノマシンとは、元来ナノメートル(0.000000001メートル)レベル、すなわちウイルスサイズの機械装置を指す概念だが、より広く、目に見えない微生物サイズレベルの機械装置を指すことが多い。また、ナノメートルサイズの領域で行なう制御技術をナノテクノロジーと呼ぶ。最初にナノマシンの発想をしたのはアメリカの物理学者リチャード・ファインマン(1918~1988)であり、以来、人々は極小サイズのマシンの有効活用を目指してその開発作業に力を注いできた。当初、SF小説や映画のなかで語られ、実用化が困難だったナノマシンだが、近年医療分野での研究、開発、及び実...
日英同盟
日英同盟は、1902年に日本とイギリス両国間で締結された攻守同盟条約。ロシアの南下を牽制することを主目的とした。朝鮮・中国における日本の、中国における英国の利益擁護のために双方がとる行動を承認するとともに、締約国の一方が2か国以上と交戦する場合、他方は参戦の義務を負うものとされた。1904年の日露戦争勃発の際、イギリスは表面的には中立を装いつつ、諜報活動やロシア海軍へのサボタージュ等で日本を大いに助けた。1905年と1911年に改定される。日本は第三次日英同盟に基づいて、連合国の一員として第一次世界大戦に参戦した。一次大戦終了後、ヨーロッ...
日米安保条約
日米安全保障条約とは、日本とアメリカの安全保障のため締結された条約。1951年に締結、1952年発効の旧安保条約を1960年に実質的に改定し、現行の安保条約となった。旧条約では日本が米軍駐留を希望する形だったが、新条約では二国間で日本及び極東の平和と安定に協力することを規定している。以降、非核三原則に準じ、また、集団的自衛権を前提とするものの必要最小限の防衛力しか持たない日本は、安保条約を基軸に日米同盟ともいえる安保体制に事実上依存する形となる。2010年の世論調査では、「安保条約が日本の平和と安全に役立っている」とし、「安保条約及び自...
日米同盟
日米同盟は外交安全保障の基軸となる重要なテーマであり、たびたび議論になるテーマでもある。
2017年、北朝鮮の核、ミサイル開発問題がアメリカを巻き込んで東アジアを揺るがす中、日本の安全保障が問われている。日米同盟についての専門家の見方もさまざまだ。政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏は、大統領選挙では日本の安全保障政策を批判していたトランプ氏だが、大統領就任後は批判をすることもなく、安全保障政策については軍人に任せており、国防長官、国土安全保障長官のコメントからも日米の安全保障関係は非常に良好であるとみ...
日露関係
日本とロシアは関係正常化に向け、2016年12月15日に山口県で、2017年4月27日にはモスクワで日露首脳会談を行っている。日本側の狙いは択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の元島民の墓参拡大も含めた北方四島の領土問題解決に向けての足固めにあるのに対して、ロシア側の関心は経済協力の一点に向いている。このため、北方領土での共同経済活動の具体化へ向けた優先事業のリスト化などで、安倍・プーチン両首脳は合意しているものの、大きな進展は見られないままとなっている。ロシアにとっては、極東における最大の脅威はもはや日本ではなく中国であること、北朝鮮問題...
日露戦争
日露戦争とは、1904年~1905年、ロシアと日本が衝突した帝国主義戦争。ロシアにはシベリア鉄道の敷設などで満州・朝鮮等アジアへの勢力拡大を図り、国内の政治体制への不満を払拭しようとする目論見があった。対する日本は日英同盟によりイギリスの支援を得、ロシアとの全面対決に臨んだ。ロシア側はフランス、ドイツが支援したため、日露戦争は日本がヨーロッパ諸国と戦った最初の戦争ということになる。1905年、日本軍はバルチック艦隊を撃破。既に第一次ロシア革命が起きていたロシアは戦争継続が困難な状況に陥っており、日本も戦争の長期化を望んでいなかったた...
日韓関係
「日韓関係」は日本と韓国の国際関係を指す言葉。外務省によると、日本にとって韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国であり、日韓両国の連携と協力はアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。しかし、とくに21世紀に入ってからの日韓関係は、両国間の外交関係のみならず、北朝鮮や中国、アメリカなど、周辺諸国や同盟国との関係によって大きく影響を受けている。
2018年6月12日の米朝首脳会談が終わった今、日韓関係はさらに新しいフェーズに入っている。米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長話し合いをお膳立て...
日清戦争
日清戦争とは、1894年~1895年にかけて朝鮮の農民反乱をきっかけに起こった日本と中国・清朝との戦争。朝鮮では清が宗主国として多大な影響を及ぼす一方、日本が経済的進出を狙っていた。1894年に朝鮮国内で甲午農民戦争が起きると、自力での鎮圧を諦めた朝鮮政府は清に出兵を要請するが、天津条約を理由に日本軍も介入。農民戦争はひとまず収束するが、清との覇権争いのために開戦機会を狙っていた日本軍は1894年7月、奇襲攻撃をもって清との戦闘状態に突入する。以降、日本軍は連勝しながら戦地を朝鮮半島から中国本土へと進め、戦意を失った清と1895年に講和条約...
日中関係
1972年に田中角栄首相と周恩来首相の間で日中共同声明が調印され、国交が正常化した日本と中国。近年では、中国人観光客による家電製品、医薬品、化粧品などの「爆買い」が話題になる一方で、歴史認識問題、尖閣諸島領有問題など、日本と中国の政府間の関係は良好とは言えない。「10MTVオピニオン」では、中国の事情に詳しい作家の石川好氏が中国と関係を築いていくのはなぜ難しく、それは中国のどのような考え方に基づいているのかを解説、また、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之氏は「日中強調発展のための4つの前提条件」として、関係改善・民主導...
二・二六事件
「二・二六事件」は、1936(昭和11)年2月26日未明、国家改造を目指す皇道派青年将校22名が下士官・兵1400名余を率いて試みたクーデター事件。国家社会主義者・北一輝が『日本改造法案大綱』中で述べた「君側の奸」を除き、天皇親政(昭和維新)を実現するため、襲撃部隊は内大臣斎藤実、蔵相高橋是清、教育総監渡辺錠太郎らを殺害。東京・永田町の国会議事堂・首相官邸周辺を占領し、27日には東京市に戒厳令がしかれたが、「股肱の重臣」を殺傷された天皇は激怒、28日に反乱鎮定と原隊復帰の奉勅命令が降る。29日に反乱は終り、首謀者19人が銃殺。3月には統制派が事...
日本社会
厚生労働白書平成24年度版の第5章「国際比較からみた日本社会の特徴」には「GDPは先進諸国の平均水準であり、従属人口比率は世界で最も低く出生率も低い」と記されている。これらは現代日本社会が抱える諸問題に直結しており、主な社会問題としては少子高齢化、貧困格差、介護問題、働き方改革、生産労働人口の減少と移民受け入れ、教育現場でのいじめや児童に対する虐待問題などが挙げられる。もちろん、日本社会の特徴は問題点、課題点のみで語られるものではない。排他的とも表現される独自性を発揮する一方で、外国文化を適宜取り入れながら日本風にアレンジす...
日本文化
日本は、気候風土や民族の特性などを背景に、大陸からの文物、宗教などの影響も受けつつ、独自の文化を育んできた。日本は外来文化を取り入れながら旺盛な消化吸収力で異質なものを融合させる力に長けていると言える。明治維新、第二次世界大戦後など、欧米文化の波にもまれ、時に「保守的」「あいまい」などと批判されながらも、常に日本独自の文化形成の力は衰えることはなかった。現代では、日本の伝統文化だけでなくファッション、映像、音楽などさまざまな分野の日本文化が、世界で脚光を浴びている。「10MTVオピニオン」では、各スペシャリストが日本文化の特質...
熱水鉱床
熱水鉱床とは、地下の火成活動によってできた熱水溶液が岩石の割れ目に入り、沈殿したり母岩の一部と交代して生成した鉱床のこと。ここでは主に、さまざまな鉱物資源が溶けた高温高圧の海水が、海底で結晶になって堆積した「海底熱水鉱床」についてとりあげる。熱水鉱床から採取されるマンガン団塊、コバルトリッチクラスト、レアアース泥などは、高品質の海底資源として近年、大変に注目を集めている。特に、日本では沖縄の海底に豊富な鉱物資源が潜んでいることが判明し、期待されている。海洋資源が大きな可能性を持っていることは長く議論されてきたものの、「海...
年金
年金には、公的年金、私的年金があるが、一般に話題とされる場合、ある一定の年齢以上になると定期的に支給される公的な老齢年金を指すことがほとんどである。日本の公的年金は、20歳以上の日本国民が全員加入する国民年金(基礎年金)と企業などに勤める人が加入する厚生年金の二階建てとなっている。少子高齢化が急速に進む日本において、2025年には65歳以上の人1人を20歳から64歳の人1.8人が支えることになると推計されており、年金問題は常に日本の最も大きな課題の一つとなっている。それゆえ、「10MTVオピニオン」でも数多くの専門家による講師陣が、年金問題を...
ハイブリッド戦争
ハイブリッド戦争(hybrid war/warfare)は、情報操作や政治工作、経済的圧力などの非軍事的手段と軍事力を組み合わせることで、敵を撹乱させ、敵対する国家を不安定化させ、社会を麻痺させていく重層的な試みである。この言葉が注目を集めだしたのは、2014年にロシアがウクライナ領クリミア半島を占拠し、併合した事件からである。ウクライナの港湾施設等で展開された正体不明の集団によるデモがその起点で、次には携帯電話が通じなくなり、偽のSNSが流れるなどして、全土が大混乱に陥った。さらに大規模な停電が主要都市で起こり、デモ隊がロシアの民兵に変わり、重...
働き方改革
「働き方改革」は、2016年8月からスタートした安倍政権による経済対策の一つ。その主旨は、多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいくものと述べられている。安倍総理自身が議長となった「働き方改革実現会議」には労働界と産業界のトップと有識者が集まり、「同一労働同一賃金」など非正規雇用の処遇改善や「雇用型テレワーク」のガイドラインなど、喫緊の課題に対応するための議論を重ねている。また、総理と現場との意見交換会なども適宜行なわ...
原敬
原敬(1856~1921)は、盛岡出身の政治家。政治家としてのキャリアは外務次官、衆議院議員、逓信大臣、内務大臣、司法大臣、立憲政友会第3代総裁、および第19代内閣総理大臣(1918~1921)。政党政治を確立したほか、高等教育の充実、鉄道網や通信手段の整備・拡による地方の振興、選挙資格の拡大、外交方針の変更など、国内外に対して政治的手腕をふるったが、1921年東京駅にて右翼の一青年に暗殺される。「平民宰相」「暗殺」、この2点で語られることの多い原敬だが、「10MTVオピニオン」では、自由民主党衆議院議員・齊藤健氏(農林水産副大臣)が、「まれに見るス...
バブル崩壊
1980年代後半から株式や不動産等の資産価格が過度に高騰した時期をバブル景気、その景気後退から回復に転じるまでの状況をバブル崩壊と言う。一般に1986年12月から91年年2月をバブル景気、1991年3月から93年10月までをバブル崩壊とするが、金融破綻による銀行、証券会社の信用失墜、投機・投資意欲の減退、政策への不満などからくる経済成長鈍化は著しく、日本経済は91年以降、低成長期、いわゆる「失われた20年」に突入する。バブル崩壊がもたらした経済、金融、財政そして人心への影響は大きく、小泉純一郎及び続く安倍晋三内閣の第一の使命は構造改革、デフレ脱却...
非婚化
日本が抱える社会問題の一つとして少子化が挙げられるが、その最大の要因とされるのが非婚化・晩婚化である。日本の生涯未婚率は2015年の国勢調査で、男性で23.37%、女性で14.06%に上ったことが明らかとなり、結婚離れはまぎれもなく進んでいる。この傾向は当然、深刻な出生率低下という問題につながっている。今まで、第二次世界大戦後の「団塊の世代」を生んだ第一次ベビーブーム、この世代が親となった昭和46~49年頃の第二次ベビーブームがあった。ここで生まれた「団塊ジュニア」世代が結婚、出産年齢を迎えることで、21世紀に入ってから間もない時期の第三次...
ヒューマンエラー
ヒューマンエラー(human error)は、災害の原因となる人的ミスのこと。大きな災害の発端が、些細な人的ミスの重なりによって引き起こされることから、ヒューマンエラーの発生メカニズムの解析およびその防止策の重要性が見直されてきている。
エラーには、必要な仕事や手続きを遂行しないことが原因となった「オミッション・エラー」、必要な仕事や手続きの遅れが原因となった「コミッション・エラー」、仕事や手続きの順序の誤りが原因となったエラー、仕事や手続きの遂行の誤りが原因となったエラー、不必要なことを遂行したことが原因となったエラーの5種類...
ビジネスモデル
ビジネスモデル(Business Model)とは、企業が売り上げや利益を生み出す仕組みのこと。事業として何を行ない(経営資源)、ターゲットは誰で(顧客)、どのようにして利益を上げるのか(価値)、という“儲け”を生み出すための具体的なシステムを指す。
また、近年のITの発展に伴い、コンピュータやインターネットを組み合わせることで、既存のビジネスモデルを革新する可能性が広がっている。インターネット商店やネットオークションなどの電子取引では、極めて独創的なモデルを構築した場合に「ビジネスモデル特許」が認められ、日本でも2000年以降出願件数が...
ビッグデータ
ビッグデータは、インターネットの普及や、コンピュータの処理速度の向上などに伴って生成される、大容量のデジタルデータを指す。データ総量は数百テラ(1テラは約1兆)バイト以上とされており、2020年には40ゼタ(1ゼタは1兆の10億倍)になると予測されている。近年、ビッグデータを高速かつ簡単に分析できる技術が登場。単に大容量であるだけでなく、非定型でリアルタイム性が高いビッグデータ活用により、人工知能の機械学習が飛躍的に向上している。一方で、ビッグデータは膨大な個人情報を含んだデータの記録であり、その活用にあたってプライバシーを守る方法が...
平等
「平等」は、差別がなく、みながひとしなみであること。「平等主義」は、人は生まれながらに平等であり、政治的にも社会的にも平等に扱われなければならないとする主張をいう。古代では、ギリシアのプラトンが「法の下の平等」を説いている。また、釈迦がバラモン教のカーストを否定する主張を行ない、キリストがユダヤ民族の特権性を破棄する「新約」を掲げたことが、それぞれ後の仏教とキリスト教に続いている。
近代以降、人間が「自然的平等」のもとに生まれたとする観念は、17、18世紀のホッブズ、ロック、ルソーなど社会契約論者により主張された。財産平等...
5G
5G(5th Generation)とは第五世代移動通信システムの略称で、移動体通信や携帯端末などの無線通信に用いられる次世代型通信規格の1つ。携帯電話には第1世代から第4世代までがあり、世代ごとに音声通信、低速データ、高速データ、超高速データ通信による対応サービスを繰り広げてきた。5Gはその上をいく最新型システムとして注目されており、通信速度の高速化、大容量、多数端末との大量接続、低遅延などが特徴として挙げられる。
これらの条件を満たすことで、旧世代型通信システムやWiFiとの統合など通信方式の領域拡大や、本格的なIoT(モノのインターネット)の...
ファナック
ファナックは、日本の電気機器メーカー。社名のFANUCは「Fuji Automatic NUmerical Control」の頭文字。「富士通ファナック株式会社」として1972年に設立されているように、旧財閥系の古河グループに属している。本社、研究所、工場が富士山麓に位置する一風変わった環境と社風でも有名。
安川電機、ABBグループ(スイス)、クーカ(ドイツ)と並ぶ、産業用ロボットの世界4強メーカーの一つ。工作機械用CNC装置で世界首位、多関節ロボットで国内首位のシェアを占めている。強みを持つ産業分野は航空宇宙、自動車、コンシューマむけ製品の工程自動化。2011年にTOP...
ファミリービジネス
ファミリービジネスは、創業家一族が所有し、経営における実質的な支配権を行使する企業をいう。ファミリーによって所有・経営されている企業は、世界の企業数の約70%を占め、日本では95%の割合である。一般的にファミリービジネスというと中小企業のイメージがあるが、トヨタ自動車、竹中工務店、サントリーなどの上場企業や、出版・マスコミなど非上場企業の多くもファミリービジネスに該当する。特に地方におけるファミリービジネスには、100年以上続いてきた老舗が多く、雇用・生産などの経済活動にとどまらず、文化・スポーツ支援、政治など、さまざまな領域で...
フィンテック
フィンテック(Fintech)は、金融を表す「ファイナンス(finance)」と技術を表す「テクノロジー(technology)」を組み合わせた造語。ICT(情報通信技術)を駆使して、決済・送金・資産運用・ビッグデータ活用などのサービスや金融商品を、低コストで手軽かつ迅速に行なうことを指す。世界ではアメリカやイギリスがフィンテックの振興を意欲的に進め、日本でも2016年5月にはフィンテックを促進するための改正銀行法が成立した。その革新性は破壊的(disruptive)と言われるほどで、従来の金融システムや産業のあり方を揺るがしかねないことから、警戒の声も上がっ...
VR
「VR」は、Virtual Reality(バーチャルリアリティ)の略語。計算機によって作り上げられ、視覚・聴覚・運動感覚に訴える人工的な現実世界といった意味を持つ。人間が、その環境内で機械と対話できる環境シミュレータの側面も持つ。日本語では「仮想現実」「人工現実感」などと訳される。VRの始まりは、概念的には第二次世界大戦時の離着陸訓練用の体感マシンやフライト・シミュレーターである。1968年にアメリカのユタ大学がヘッド・マウンテッド・ディスプレー(HMD)を開発し、エレクトロニクス化の道を切り開く。その後、コンピュータによる映像操作、CG、音声...
武家
武家とは日本における軍事関連の官職の家系、家柄の総称。朝廷に仕える貴族や官吏の総称である公家と対で使われることも多い。平安末期、武家として初めて平清盛が太政大臣となり、以降、優秀な統率力を持つ武家の棟梁が組織的、政治的に台頭。源頼朝の鎌倉幕府以来、徳川将軍家による江戸幕府まで日本の中枢は武家政権が担うこととなった。御成敗式目、武家諸法度等に代表される武家法に則り、封建制に基づく治世を整えていったが、とりわけ豊臣秀吉の天下統一後、権力の頂点に座し幕藩体制を敷いた徳川幕府は、265年間に及ぶ圧倒的統治で天下泰平を実現し、後世「パ...
武士
「武士」は、平安時代中期から江戸時代に存在した、武力をもって地方を支配し、公権力に仕える者をさす。古くは合戦を業とするものが「つわもの(兵)」、貴族の警固にあたるものが「さぶらい(侍)」、武力をもって公に奉仕するものが「もののふ(武者)」と呼ばれていたが、「武士」ということばが浸透するにつれ、同一的に表現されるようになった。
初期の武士団は家父長制的血縁関係で結ばれ、首長は棟梁 (とうりょう) と呼ばれた。10世紀前半に発生した武士が12世紀末に独自の国家公権を生み出すまでに成長した経緯は解明されていないが、鎌倉時代の鎌倉幕府...
仏教
仏教は、紀元前5世紀頃の北インドで釈迦が開いた宗教。この世を苦の世界と見(苦諦)、苦の原因を妄執と因果関係だとする(集諦)。妄執を立てば苦しみから解放される(滅諦)ので、正しい観察と実践によってそこから脱出すること(道諦=八正道)を説いたのが仏陀の教義である。悟りを開いて仏陀となり、原始仏教の教団をつくった釈迦の死後約100年で教団は上座部と大衆部に分裂、細分化が進んで部派仏教を生む。紀元前後になると、部派仏教とは別の流れから大乗仏教が登場する。上座部仏教はスリランカや東南アジアに広がり、東アジアには大乗仏教が受容される。...
ブランド
ブランドとは、自社が提供する財やサービスを他社のそれと区別するための概念であり、区別する意図をもって設計された名称やシンボル、デザイン及びこれらの組み合わせの総称。財・サービス提供者の意思を具体的に表す商標を用いることが多い。広く一般的な商品、サービスを指すが、高級品、一流品をそのステータスとともに表す言葉として用いられることもある。「10MTVオピニオン」では、ブランド論、マーケティング論、消費行動論等に精通し、『ブランド戦略論』の著書をもつ中央大学大学院戦略経営研究科教授田中洋氏がシリーズ講義を展開。田中氏は、プラセボ効果...
BREXIT(ブレグジット)
「BREXIT」は、イギリスを意味する「Britain」と、「離脱」を意味する「Exit」による造語で、イギリスが欧州連合(EU)から脱退することを指す。2016年6月23日にイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票が実施され、離脱支持側が僅差で残留派を上回ったため、イギリスのEU離脱が決定した。イギリスの立場は、EUによる単一市場のメリットは認めるものの、シリア紛争の激化によって急増した難民の受け入れを継続しがたい点で葛藤が続いている。経済後退の元で移民が増加するとイギリス市民の仕事が奪われること、移民への福祉政策に税金が投入されることから、EUへの...
ブロックチェーン
ブロックチェーンは、仮想通貨ビットコインの基盤として開発された情報管理技術。複数のコンピュータにデータを分散して記録するため、「分散台帳」システムとも呼ばれる。複数の参加者が「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、チェーン(鎖)のように連結していくことでデータを保管していく。各ブロックには、タイムスタンプと、前のブロックへのリンクが含まれる。一度記録したブロック内のデータを遡って変更することができないため、自律的管理が可能である。データの改ざんが難しく、システム構築にかかるコストが低いという二つの特徴か...
プーチン
ウラジミール・ウラジミロヴィッチ・プーチン(1952-)は、ロシアの政治家。レニングラード(現サンクト・ペテルブルグ)生まれ。大学卒業後、旧ソ連国家保安委員会(KGB)入りし、冷戦時代の5年間は旧東ドイツの諜報活動に従事。ソ連崩壊後はサンクト・ペテルブルグ市副市長、ロシア連邦保安長官などを経て、1999年に首相に就任。「テロリストの殲滅」と「強いロシア」を唱えてチェチェン共和國への軍事介入を指導し、国内の指示を得る。同年12月、エリツィンより大統領代行に指名され、翌年の大統領選挙に当選、第2代ロシア連邦大統領に就任。2004年再選。2008年に...
プライマリーバランス
プライマリーバランス(Primary balance)は、国や自治体などの基礎的な財政収支を指す。一般会計では、借入金を除く税収などの歳入と過去の借入(国債発行)に対する元利払いを除く歳出の差のこと。このバランスが均衡していれば、借金に頼らない行政サービスが行なわれている。近年の日本は、プライマリーバランスのマイナス(赤字)が続き、先進国の中でも最も深刻な状態だと指摘されている。2010年のG20では、2020年度に黒字化する目標を国際公約として掲げたが、2017年度現在、黒字化の達成は困難とみなされている。プライマリーバランスの回復は、アベノミク...
プラザ合意
プラザ合意とは、1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで開かれたG5(アメリカ、日本、イギリス、フランス、西ドイツの先進5ヶ国)の蔵相・中央銀行総裁による会議での「為替レート安定化」に関する合意を指す。1980年代前半、レーガン政権下のアメリカは巨額の財政赤字や高金利等を背景に貿易収支悪化の一途をたどっていた。世界的な対外不均衡、アメリカ国内の保護貿易主義へ対抗すべく、他先進国はドル安路線で合意。とりわけアメリカの対日貿易赤字が大きかったため、実質的な円高ドル安へ誘導する内容となった。日本は輸出減退の対応策として財政拡張、金...
プラチナ構想ネットワーク
地球温暖化や高齢化などの課題を日本が再生・成長するためのチャンスと捉え、地域の持つ力(ネットワーク)で対応し、課題解決しようとする三菱総合研究所を主体とした取り組み。発起人代表は第28代東京大学総長で三菱総研理事長を務める小宮山宏氏である。プラチナ構想ネットワークでは、21世紀の日本が目指すべきビジョンを「エコロジー」「資源の心配がない」「老若男女の全員参加」「心もモノも豊か」「雇用のある社会」の五つを満たす「プラチナ社会」と策定、そのための運動論として「プラチナ構想ネットワーク」の組織化を推進している。また、理念の普及のた...
プラットフォーム
プラットフォームとは、広義としては基礎部分、基盤を意味する言葉。コンピューター分野ではハードウェア、オペレーティングシステムをさすが、近年では商品やサービス、情報を集めた場を提供するビジネスモデルが注目されている。「10MTVオピニオン」では、まずAI分野から東京大学大学院工学系研究科特任教授の松尾豊氏がディープラーニングの可能性とプラットフォームビジネス戦略について解説。機械が「目」による多様で精度の高い認識システムを持ち得たことで、将来的に広がるAIやロボットによるビジネスの可能性について論じている。また、プラットフォームビジ...
ヘリコプターマネー
ヘリコプターマネー(略して「ヘリマネ」とも)は、まるでヘリコプターから地上に現金をばらまくように、政府や中央銀行が国民に現金を支給していく政策をいう。余分の現金さえあれば、国民は市場を活発化させ、デフレがインフレに転じるというもの。提唱したのはアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンで、1969年の著書『貨幣の悪戯』中に比喩的に用いられた。具体的には、中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣発行などの手法をとる。政府が借金を負う「バラマキ政策」との違いは、政府側の負担がなく、市中のマネー量だけが増えていく点だが、インフレ危惧の...
ヘロドトス
ヘロドトス(BC485頃~BC420頃)は古代ギリシャの歴史家。ペルシャ戦争を題材とした人類最初の本格的歴史叙述とされる『歴史』を著した。この書ではギリシャのみならずオリエント世界についての歴史、地理についても書かれており、ローマの弁論家キケロがヘロドトスを「歴史の父」と賞賛したことはよく知られている。『歴史』の記述については、物語性も高く分かりやすい内容として評価されているものの、一般的には史実としての信ぴょう性を疑問視する見方もあり、後の古代アテナイの歴史家トゥキュディデスによって書かれた『戦史』を、より実証的な歴史書として評...
法隆寺
飛鳥時代の姿を今に伝える世界最古の木造建築。1993年に世界遺産に登録された。塔・金堂を中心とする西院伽藍と、夢殿を中心とした東院伽藍から成る。当初は、用明天皇が自らの病気平癒を目的に伽藍建立に着手したが、その完成前に崩御したため、その遺志を継いで推古天皇と聖徳太子が607年に仏像と寺を完成させたと伝えられている。その後、670年に火災により全焼するが、その後再建された。「誰が再建したのか」をはじめ、法隆寺、聖徳太子に関する謎は今なお多く残されているが、「10MTVオピニオン」では法隆寺管長・大野玄妙氏が「法隆寺は聖徳太子と共にある」と...
保護主義
保護主義は、外国との貿易において、自国の産業の保護や国際収支の改善などを目的に、自由貿易に反対する考え方。16~18世紀まで、欧州の国々は保護主義に基づく重商主義政策を伝統としてきたが、第二次大戦後は先進国を中心に自由貿易政策にシフトした。代表的な政策は、1. 関税をかける・高くする、2. 輸入数量の制限、3. 輸出国の補助金を受けた輸入品などに割増関税や付加税をかける、4. 輸出の際に補助金を交付、5. 国内産業に影響を与える産品の輸出国に対し、自主規制を求める 6. 為替を管理するなどがある。2016年に英国がEUから離脱を決め、翌年には米国に...
保守派
保守派、保守主義とは既存の伝統や習慣、制度、考え方を尊重、維持しようとする社会的、政治的立場や傾向を指す。対義語に革新、急進主義等があり、保守派を右派、革新派を左派と称することもある。日本の政党は、保守派代表を自由民主党、革新派の代表を共産党やかつての社会党とするのが一般的だが、国内外の社会情勢の変化、多様化に伴い、一概に保守・革新に二分はできない。欧州では中道右派、中道左派とされる政党も多数存在する。「10MTVオピニオン」では、日本ないしは世界における保守派及び革新派の動向や、それに伴う社会、経済、政治情勢に関する解説を...
ホロコースト
ホロコーストは、ギリシャ語で「火に焼かれたいけにえ」を意味する言葉で、17世紀末に「大虐殺、皆殺し」を意味するようになった。現在ではもっぱら、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺をあらわす言葉として知られている。ナチスによるユダヤ人迫害は1933年のヒトラー首相就任1か月後に始まり、戦争中に約600万人のユダヤ人が殺されたといわれる。ホロコーストは、ユダヤ史上でも、また人類の歴史上でも前例のない、もっとも残虐なできごとであるが、その背景には長年ヨーロッパ社会で培われていた反ユダヤ主義による偏見と憎悪の伝統があったとされる。1948年の...
貿易戦争
貿易戦争とは、貿易不均衡を理由に国家間で深刻な経済的対立状態に陥ることを指し、貿易摩擦とも言われる。第二次世界大戦敗戦後、経済復興に邁進した日本は、1970年代前半にかけて高度経済成長を遂げた。このため、1960年代より対米輸出額が徐々に増え、1980年代には自動車、電化製品などの輸出額が急増。対日貿易赤字に危機感を抱いたアメリカは、日本を不公正な貿易政策をとる国に制定するスーパー301条の成立、為替レート安定を名目に円高を強制したプラザ合意等を通して、一方的ともいえる通商政策を敢行した。「ジャパンバッシング」と称される一連の通商政策は...
ポツダム宣言
1945年、ナチス・ドイツの降伏後にベルリン郊外のポツダムにおいて、米英ソ3ヶ国の首脳が第二次世界大戦の戦後処理について話し合い(ポツダム会談)、その期間中の7月26日に米・トルーマン大統領、英・チャーチル首相、中華民国・蒋介石主席の共同声明としてポツダム宣言が発表された。(ソ連は日ソ中立条約が有効なため署名せず、後に追認)。全13項目から成るポツダム宣言は、日本に対し戦争終結に向けての具体的な条件を提示し、無条件降伏を勧告。日本政府はソ連の出方を見るため「静観」の判断を下し、鈴木寛太郎首相は「黙殺する」という声明を発表した。しか...
ポピュリズム
「ポピュリズム」(populism)は、1892年に結成されたアメリカの自民党(通称ポピュリスト党)を通じて広まった言葉。政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動をポピュリズムと呼ぶ。
日本では2000年代初頭の小泉純一郎政権の誕生以降、ポピュリズムという言葉が多用されるようになった。ポピュリズムは諸刃の剣であり、エリートの腐敗や特権是正に向かう改革のエネルギーとなることもあれば、大衆の欲求不満や不安をあおる衆愚政治にもなってい...
ポンド安
ポンド安とは、外国為替相場で外交通貨に対してイギリス通貨のポンドの価値が低くなっている状態を言う。2016年6月の国民投票によるイギリスのEU離脱(ブレグジット)、原油安、そして、2017年6月のイギリス総選挙では、与党保守党の議席が過半数割れなど、近年ポンドの全面安の局面が続いている。イギリスに進出している日本企業の数は非常に多く、また日本の対イギリス直接投資額もアメリカに次いで世界第2位と巨額である。このことからも、ポンド安でイギリスの景気が悪くなれば日本の輸出産業が落ち込み、経済全体に影響を及ぼすことは必須である。「10MTVオピニ...
マイナス金利
マイナス金利は、文字通り金利がマイナスになることで、マイナス金利政策は、中央銀行が名目金利をゼロ以下に設定する政策を指す。マイナス金利になると、預金者は預金している分の利子を銀行へ払わなければならないが、通常は中央銀行と金融機関の間の取引に限られ、企業や個人への貸付の活発化を通じて、経済活性化につなぐ施策とされている。2015年1月のECB(欧州中央銀行)による金融緩和政策発表後、ヨーロッパではマイナス金利を実施する動きが広がった。日本では2016年1月下旬、日銀政策決定会合より日本初のマイナス金利導入が決定されたが、その効果はまだ検...
マルクス
カール・ハインリヒ・マルクス(1818~1883)はドイツの哲学者、思想家、経済学者にして革命家。科学的社会主義(マルクス主義)を打ち立て、フリードリヒ・エンゲルスとともに1848年『共和党宣言』を発表、ドイツの社会主義運動を指導した。1849年渡英後、イギリスに活動拠点を置く。ヘーゲル哲学、フランスの空想的社会主義、フォイエルバッハの唯物論等を批判的に取り入れ、独自の階級史観を体系づけ、著作『資本論』とともに資本主義の矛盾を追究するマルクス経済学の理論を生みだした。その理念を実践すべくロンドンにおいて第一次インターナショナルを結成。革...
未婚
未婚とは結婚の経験がないことを指し、厳密には、結婚していない状態でも個人の意志で結婚しないことを選ぶ「非婚」とは区別する。近年、日本の社会問題として高齢化とともに深刻化しているのが少子化だが、その前段階として未婚問題がある。50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す生涯未婚率は、2017年発表のデータで男性23.6パーセント、女性14.1パーセントとなっており、1970年代までは2パーセント程で推移していたのに比べ、年々かなりの上昇率を示している。政府は少子化を要因の一つとする年金問題、赤字財政、生産性の低下等の打開策として、働き方...
民主主義
民主主義(デモクラシー)の語源は、「demos(人民)」と「kratia(権力)」を結びつけたギリシア語の「demokratia」で、人民が権力を握り、みずからそれを行使する政治を意味する。君主政治や貴族による寡頭政治と対立する「多数者の支配」が最大の特徴である。古代には愚民政治と同等視されて嫌われることの多かったこの政治形態が見直されたのは、17~18世紀の市民革命の中で生まれた啓蒙主義以降のことである。近年、民主主義の危機が叫ばれはじめているのは、冷戦終結後のグローバリズム視点により、右翼・左翼という伝統的な政治分類に加えて「リベラリズム対ポ...
村山談話
「村山談話」(Murayama discourse)は、1995(平成7)年8月15日に、村山富市首相(当時)が発表した「戦後50周年の終戦記念日にあたって」と題された談話。日本が「国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」たことが明記され、反省とお詫びの意、犠牲者への哀悼の念を表した。また、「唯一の被爆国としての体験を踏まえて、核兵器の究極の廃絶を目指し、核不拡散体制の強化など、国際的な軍縮を積極的に推進していく」ことを表明している。
村...
明治維新
明治維新は、19世紀後半の日本で、幕末から明治初期に行なわれた一連の大改革を指す。
1853年のペリー来航に続く開国の動きを西洋による強制とみる気運が高まり、志士が続出する一方、挙国体制で防衛すべきと考えた地方の大藩が積極的に幕政に参与する。1858年の日米修好通商条約では、孝明天皇の不勅許にもかかわらず調印が強行されたことが安政の大獄・桜田門外の変につながり、国内に根深い対立を生んだ。尊王攘夷運動が高揚し波及するなか、かねて公武合体を構想していた幕府は朝廷との和解を図る。幕府に政権分与を認められない薩摩藩と禁門の変により朝...
孟子
孟子は中国戦国時代(BC372頃~BC289)の思想家として孔子の教えを継承・発展させ、重要な儒家として「孔孟」と並び称された。力による統治ではなく、仁を持ち徳の高い君主が上に立つ王道政治を理想とし、易姓革命(天子は天命を受けて治世を行い、その徳が衰えれば天の命によって他姓の君主が立つ)を唱えた。また、荀子の性悪説に対して、人は生まれながらに善であるという性善説を説き、その思想は儒教の中心概念として広く受け継がれていった。経典『孟子』は『論語』『大学』『中庸』とともに四書に位置づけられている。『孟子』が日本に伝わった当初は、天皇を...
問題解決
「問題解決」(problem solving)は、思考の一種。解決にいたる手段がすぐには分からず、また習慣的な手段では解決できない問題に直面したとき、あれこれ手段を探索し、正しい手段を発見し、解決にいたることをいう。とくに情報処理分野においては、コンピュータ内に形成・蓄積された知識ベースを利用し、コンピュータ自体の推論操作などによって与えられた問題の解を求めることを指す。問題解決の道筋は論理的推論で成り立ち、概念、判断、推理がそのプロセスとなるが、合理的思考だけでは目的に十分に達することができないことが分かっている。
「10MTVオピニオ...
吉田松陰
吉田松陰(1830-59)は、幕末の長州(萩)藩士。山鹿流兵学師範であった叔父の吉田家を継ぎ、9歳のときから藩校明倫館で教授。長崎・平戸で兵学、江戸で佐久間象山に師事し、西洋砲術と蘭学を学ぶ。安政1(1854)年、下田に停泊中のペリー艦船に乗船を求め渡米を企てるが拒絶され、自訴により入獄。江戸から萩へ移されて蟄居中、自宅に「松下村塾」を開く。高杉晋作、伊藤博文、久坂玄瑞、山県有朋らをはじめ多くの門下生が学んだ。安政5年の日米修好通商条約調印を違勅と見て幕府を批判し、再入獄(安政の大獄)。取り調べに対して幕政批判を展開したため、死罪と...
リーダーシップ
リーダーシップの定義は、チームの数だけあると言えそうだ。「10MTVオピニオン」では、政治、学術、企業、医学など、さまざまな方面で活躍する講師陣が、自らの体験や交友関係、読書や先人の知恵などを通して、指導者に求められる資質や能力について、熱く語っている。例えば老荘思想研究者の田口佳史氏が儒家思想におけるリーダーの見本として禹王の治水の業績を引けば、ローマ氏研究家の本村凌二氏は古代ローマでカリスマ性を発揮したカエサルがなぜ暗殺されたかを語る、という具合だ。新しい着眼点としては、順天堂大学医学部教授の堀江重郎氏が、「リーダーシップ...
リーマンショック
リーマンショックとは、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破たんを機に、世界的な金融危機を引き起こした一連の事象のこと。事の起こりは2007年のサブプライム住宅ローン危機によるバブル崩壊で、株価、資産価格の暴落が相次いだ。リーマン・ブラザーズも多大の損失を抱え、2008年9月に倒産申請。この申請によるアメリカ政府への不信、経済不安は国際的な広がりをみせ、世界的な金融危機に陥った。日本では急激な円高が進み内需の冷え込みを誘発する一方、企業が生産拠点を海外に移すことで産業の空洞化が起き、失業率がアップ。消費は落ち込み、以降、...
リベラルアーツ
リベラルアーツの原義は「人を自由にする学問」で、ヨーロッパにおける伝統的な人間教養の理想となっている概念。古代ギリシアに起源を持ち、自由7科として文法・修辞・弁証法の3学と、算術・幾何・天文学・音楽の4科が、人間として持つべき基本的教養として教えられた。その後、ローマ期やルネサンスの人文主義を経て、18世紀の新人文主義に、その思想が復活、発展した。
日本では戦前の旧制高等学校、また一部の私立大学の教育にリベラルアーツ性が取り入れられたとみられている。戦後の4年制大学においては1、2年次に教養を、3、4年次に専門科目が教えられ...
留学
「留学」は、外国の学問・芸術・技術・制度などを摂取するために、比較的長期間にわたって外国に在留し、大学等の教育機関や研究所で勉学または研究することをいう。開発途上国が若いエリートを海外へ派遣し、先進諸国の優れた文化を吸収する先進文化研究型と、特定の国や地域の言語・芸術・社会制度などを深く研究する異文化理解型に大別できる。
日本学生支援機構の調査によると、2017年現在の外国人留学生は約26.7万人であり、留学生の多い国は中国、ベトナム、ネパールの順になる。一方、海外へ留学する日本人学生は2016年度で9.7万人。留学先は、アメリカ、...
レアアース
レアアースは希土類とも呼ばれる元素である。31鉱種あるレアメタルの中の1鉱種で、スカンジウム、イットリウムと原子番号57のランタン以下のランタノイド族の計17元素の総称。分離しにくいため、多くは混合希土(ミッシュメタル)として利用されてきた。分離・精製技術が進歩した近年では、光学材料、電子材料、水素吸蔵合金などに利用されている。ジスプロシウムはエコカーの小型モーター、セリウムはパソコン部品の研磨剤など、先端技術製品の製造に不可欠であるため、「産業のビタミン」と呼ばれる。中国などに1万年分以上が埋蔵され、全世界生産量の97%を占める...
レアメタル
レアメタルの重要性や将来性は、これまで一部の専門家しか認識していなかったが、近年レアメタルへの社会的関心が高まってきた。ハイテクに支えられた現代生活は、もはやレアメタル抜きには成り立たない。さらにレアメタルは電子機器だけでなく、東京・浅草にある浅草寺の屋根瓦や羽田空港の滑走路にも使われている。それらのレアメタルのほとんどを輸入に頼る日本では、世界情勢の変化による資源調達の波は死活問題となる。「10MTVオピニオン」では、レアメタルの第一人者であり、世界中の鉱山や精錬所を見て回っている東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏が「レア...
歴史認識
歴史認識は、歴史に関する認識、歴史観のこと。国際関係史においては、征服や戦争の過去がある国家・民族間での歴史認識の違いが、しばしば文化摩擦や政治問題にまで発展する。
日本ではとくに、第二次世界大戦に至る過程と大戦そのものをどのように認識するのかが「歴史認識問題」として、中国・韓国をはじめアジア諸国との間で問われ続けている。1993年に細川護煕首相が「過去のわが国の侵略行為や植民地支配などが多くの被害を与えたことを深く反省しお詫びの気持ちをもつ」と初めて明確に表明。その後、村山談話、橋本談話、小渕談話に踏襲される。しかし...
ローマ帝国
ローマ帝国は、BC8世紀から4世紀まで1200年間続いたヨーロッパ古代最大かつ最長の帝国。イタリア半島のテベレ河畔に建設された古代都市国家に始まり、王政、共和政を経て、BC27年オクタビアヌスの即位により帝政に移行。以後約200年間、ローマ帝国の強大な権力により、地中海世界には「パクス・ロマーナ」(ローマの平和)と呼ばれる安定した時代が続いた。五賢帝の時代(96~180年)、その版図は最大となり、大西洋岸から小アジアに及ぶ世界帝国へと成長。三世紀に入ると政争・反乱が相次ぎ、395年ビザンツ帝国と西ローマ帝国に分立する。諸権限を有する国家元首「...
老子
老子は、中国・春秋戦国時代の楚の思想家とその著作を指す言葉。生没年は不詳(『史記』ではBC6世紀)で、架空の人物とされることもある。諸子百家における道家思想の開祖で、老荘思想の源。『道徳経』とも呼ばれる『老子』2巻では宇宙の根本を「道(タオ)」と名付け、これに逆らわない「無為自然」を理想と説いている。老子の言葉は哲学・形而上学にとどまらず、孔子に始まる儒家の仁義道徳思想への批判的記述や政治的見解も見られる。
仏教が東遷した後漢末(200年頃)には老子の神仙化・神格化が進んで民間信仰されるようになり、中国の「三教(儒教、道教...
老荘思想
老荘思想とは、老子、荘子に代表される道家の思想であり、孔子の儒家思想と並び称される中国古典の二大思想の一つ。道家で説く「道」とは宇宙の根源を意味するダイナミックな思想だが、その基本は過度を戒めるもの。実力が伴わないのに過度に求めることや、名前や肩書きに踊らされ、実態以上の自慢をすることなど、徹底して過度であることの恐さを説いている。ダイナミックでありながら、程をわきまえた軽さを尊ぶ思想である。このような思想を象徴する存在として、老荘思想では「水の精神」を掲げている。むやみに争わず周囲から吸収して自らを豊かにする。水滴が石...
労働生産性
労働生産性は、投入した労働量に対してどれくらいの生産量が得られたかを表す指標。公益財団法人日本生産性本部によると、OECDデータに基づく2016年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、46.0ドル(4,694円/購買力平価(PPP)換算)。米国の3分の2の水準にあたり、順位はOECD加盟35カ国中20位だった。主要先進7カ国でみると、データ取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。一人当たり労働生産性(就業者一人当たり付加価値)では81,777ドル(834万円)。ニュージーランド(74,327ドル/758万円)やスロベニア(75,420ドル/770万...
湾岸諸国
湾岸諸国とは、ペルシア湾(アラビア湾)に面するイラン、イラク、クウェート、サウジ
アラビア、カタール、バーレーン、アラブ首長国連邦、オマーンの 8ヵ国の総称。いずれも産油国であるという共通点はあるものの、イラクが連邦共和制であるのに対して、残る7ヶ国は王制、首長制をとっており、また、イランはペルシア人国家として、他のアラブ人国家である湾岸諸国と明確に区別しているなど、一口に「湾岸諸国」で括れない複雑さを要している。宗教、地政学的観点からも複雑な要因を多くもつ地域に協力体制及び共通規制を確立することを目指して、1981年湾岸協力会...