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司馬遷

司馬遷
司馬遷(BC145頃~BC86頃)は、中国・前漢時代の歴史家。司馬氏は周代の記録係であり、父司馬談の跡を継いで天文・暦法や典籍・歴史を司る官職「太史令」に任官する。暦法の改革に参加し、太初暦を採用。BC99年、匈奴の捕虜となった李陵を弁護したため、武帝の怒りにふれ宮刑に処せられる。絶望と屈辱の中、彼は父の遺志を継いで『史記』を完成させることを目標とする。BC97年に出獄後は執筆に専念し、BC91年頃、紀伝体を用いた二千数百年間の歴史書『史記』が完成した。『史記』を貫く思想は「天道是か非か」の問いだと言われる。古代中国において「超越的な存在の意志が発露したもの」と思われていた歴史に新たな光を当て、当時の漢の価値観からの論評をあえて加えず、事実のみを淡々と著述した内容は後世の評価が高い。また、王侯や英雄のみを素材とせず、民間の人物を取り上げた「遊侠列伝」「貨殖列伝」等、多様な歴史観を披露したのは、司馬遷自身に「奇(人物の類稀な才能)を好む」性向があったからだと言われる。「10MTVオピニオン」では、歴史家の山内昌之氏が自著『歴史とは何か』を通じて、司馬遷に言及。単純に正義を実現せず、時に不条理と言える歴史の厳しさに正対した彼の傑出ぶりを紹介している。

司馬遷が李陵を弁護して受けた宮刑の屈辱

『歴史とは何か』を語る(12)李広と李陵と司馬遷の悲劇
司馬遷が宮刑を受け、男性機能を奪われたのはなぜか、ご存じだろうか。李広と李陵、そして司馬遷の悲劇から、歴史学者・山内昌之氏が歴史的世界を眺める。『歴史とは何か』を語るシリーズ・第12回。
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/17
山内昌之
東京大学名誉教授

伯夷、叔斉、顔回の悲劇と、盗蹠の大往生ー歴史の不条理

『歴史とは何か』を語る(11)司馬遷の歴史叙述と世界観
「われいずくにか適帰せん。ああ徂かん、命の衰えたるかな」。かの有名な一節で知られる古代中国の逸話を手掛かりに、善人が報われるとは限らない歴史の不条理に対する司馬遷の、そして歴史学者・山内昌之氏の義...
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/13
山内昌之
東京大学名誉教授

司馬遷の「天道是か非か」と「歴史とは何か」

『歴史とは何か』を語る(10)天道、是か非か
古今東西の歴史には、悪ながら栄えた人物も、善にして非業の人物も、無数にいる。『史記』『旧約聖書』『太平記』にそうした例を見つつ、司馬遷が発した永遠の問い「天道、是か非か」をめぐって、歴史の不条理と...
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/10
山内昌之
東京大学名誉教授

司馬遷「史記」は孔子「春秋」の精神を継いだ書

『歴史とは何か』を語る(9)『春秋』と『史記』の応報
「単純な善悪によって人々が成功するかどうか決まらない」ことを、世界で初めて教えてくれたのは司馬遷だという。それはなぜか。歴史学者・山内昌之氏が想いを込めて語る『歴史とは何か』を語るシリーズ・第9回。
収録日:2014/11/26
追加日:2015/08/06
山内昌之
東京大学名誉教授

「歴史とは何か」を考える枠組みと問題への関心

『歴史とは何か』を語る(3)隠された秘密のメッセージを読み解く
ヘロドトス、司馬遷、吉田松陰、福沢諭吉。古今東西を縦横に往来する『歴史とは何か』の枠組みを、著者である山内昌之氏自らが語る。過去の歴史家が史料に隠した秘密のメッセージとは。シリーズ第3回。
収録日:2014/10/08
追加日:2014/12/12
山内昌之
東京大学名誉教授

「歴史とは何か」を歴史学者・山内昌之が書いた3つの目的

『歴史とは何か』を語る(2)歴史と人間、歴史と叙述、歴史と現実
山内昌之氏は最近、『歴史とは何か』という本を書いたが、その目的は三つあるという。一体何が山内氏を動機づけしたのか。シリーズ第2回。
収録日:2014/10/08
追加日:2014/12/04
山内昌之
東京大学名誉教授