『歴史とは何か』を語る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史とは何か」を考える枠組みと問題への関心
『歴史とは何か』を語る(3)隠された秘密のメッセージを読み解く
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
ヘロドトス、司馬遷、吉田松陰、福沢諭吉。古今東西を縦横に往来する『歴史とは何か』の枠組みを、著者である山内昌之氏自らが語る。過去の歴史家が史料に隠した秘密のメッセージとは。シリーズ第3回。
時間:18分40秒
収録日:2014年10月8日
追加日:2014年12月12日
≪全文≫

●「歴史とは何か」を考える枠組みと問題への関心


 前回に引き続きまして、今日は、拙著『歴史とは何か』(PHP文庫、2014年)について、枠組みや問題への私の関心を考えてみたいと思います。

 こうした問題への関心、あるいは枠組みへの興味というのは、私の職業としての専門であるイスラムや中東だけではなく、子どもの頃から私たちがなじんでいた中国の古典や、あるいは、その後、高校生、大学生を通して知識として持つようになる欧米の世界を素材としながら、皆さんと一緒に歴史を理解する手掛かりや方法を得ようとし、考えようとする点に、この書物『歴史とは何か』の意味があるのです。もちろん日本人である私が、日本史、日本人の著者の本に接するのは当然のことです。

 私は職業的な専門家としての歴史学者、歴史家ですから、比較史にはもちろん関心がありますが、本書で比較史のようなことを大胆にも試みようとしているわけではありません。方法としては、確かに一種の比較に頼った面もありますが、「比較とは何ぞや」という問題について、もともと古代ローマ史の専門家でありながら、近現代の歴史についても発言をしている、大変素晴らしい才能を持った、私も敬愛するフランスの歴史家であるポール・ヴェーヌは、このようなことを言っています。

 「発見を目的として、異なる国とか異なる時代とかから事実を借用してきて比較すること」、これが比較だと言っています。

 ですから、こうしたポール・ヴェーヌの「異なる国とか異なる時代から事実を借用してきて比較する」という、この作業が比較だとすれば、私もこの書物で採った方法は比較だということが言えるということなのです。


●格別な専門を持つことが研究の正統


 もっとも研究というものは、正統的な筋から言えば、何か一つの格別な専門を持つことが絶対的な条件です。ヴェーヌにしても、古代ローマ史が出発点であり、専門です。私もこの書物を書くにあたっては、自分としてのポール・ヴェーヌの言う個別研究、専門研究を踏まえてきたつもりです。

 一番最近では、以前に紹介したこともある『中東国際関係史研究――トルコ革命とソビエト・ロシア 1918-1923』(岩波書店、2013年)として公刊した、キャーズィム・カラベキル・パシャというトルコ革命の将軍を軸にして中東の国際関係史を研究したことなどがそうです。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留