内側から見たアメリカと日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻していた時代のやり方から脱却できなかった。なぜそうなってしまったのか。もう一つの要因と合わせて、日本企業の敗因について語る。(全7話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
時間:11分35秒
収録日:2025年9月2日
追加日:2025年11月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカに負けた日本のオウンゴール


島田 日本が決定的にアメリカに負けてしまったのは、アメリカの無体なやり方もあるけれど、日本がオウンゴールして負けているという感じが、二つぐらい(のケースを)勉強してみると、私にはどうしても出てきます。

―― オウンゴールですか。

島田 オウンゴール。何がオウンゴールかというと、一つは台湾にTSMC(台湾積体電路製造)という、今世界最強のファウンドリー(受託製造企業)があります。モリス・チャンという人がつくった会社です。彼の考えたやり方は、世界の半導体生産に横串を刺して、世界共通のネットのプラットフォームをつくってしまうということです。

 その理由は少し説明しないと分かりにくいと思います。モリス・チャン氏は中国で非常に苦労した人です。毛沢東批判派の家族のため、中国にはいれなくて、結局アメリカに逃れ、そこで勉強してテキサス・インスツルメンツに勤めました。そこで技術部長まで出世したときに、台湾から帰ってくるよう要請されます。

 「台湾には主な産業がないからお前がやれ」と言われ、「コンピュータが作りたいです」と答えたものの、お金がない。というので、「こういうものをつくりたい。台湾政府が応援している」とアメリカのいろいろな企業に相談に行った。日本の企業にも来て相談しましたが、日本企業は一銭も出していません。

―― もったいないですね。

島田 というか、これは要するに下請けです。下請けをつくると、工場にお金がかかるわけです。では、アメリカはどうしているかというと、「ファブレスカンパニー」といって、工場のない企業をつくっている。アメリカは徹底的に設計と新しいアイデアでいく方針です。そうすると、アメリカには世界中から優秀な人が来ますから、どんどんやる。そのファブレスカンパニーだと、3人でもつくれてしまいます。

―― なるほど。


●世界のビジネスに乗り遅れた日本


島田 いい製品を出せば非常に儲かる。固定資産がないので、利益率はとても高い。ファブレスカンパニーが一番多い時期には7000社あったといいます。

―― すごいですね。

島田 3人ぐらいでつくれると、そうなるのでしょうね。そういう会社が、「どこかでつくってくれ」と。韓国がいいのか台湾がいいのかという中、モリス・チャン氏がそれを引き受けたほうがいいということになったのですが、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏