日本の財政政策の効果を評価する
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
GDP・貯蓄・社会保障・財政政策…高齢化がもたらす影響
第2話へ進む
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
宮本弘曉(一橋大学経済研究所教授)
バブル崩壊以降、いまだに低迷し続ける日本経済。その間、政府はさまざまな財政政策を打ち、浮上の糸口を探ってきた。では、これまでの財政政策は失敗だったといえるのだろうか。財政政策を評価する議論はそれほど単純ではない。今回は、財政政策を評価する「財政乗数」という指標から日本の財政政策を分析していく。(全6話中第1話)
時間:14分53秒
収録日:2023年12月14日
追加日:2024年3月7日
≪全文≫

●日本経済の長期低迷…財政政策に効果はあったのか


 テンミニッツTVをご覧の皆さま、こんにちは。宮本弘暁です。今日は皆さんと一緒に財政政策の効果について考えていきたいと思っております。

 日本経済は、1990年代の初頭にバブル経済が崩壊してから、「失われた20年」、あるいは「失われた30年」といわれるように、経済が長期にわたって低迷をしております。この間、日本政府はさまざまな経済政策を実行してまいりました。

 とりわけ「財政政策」を使い、なんとか日本経済を再浮上させようとしてきたわけですが、残念ながら、経済が本格的に浮揚することはなかったということです。

 そうした中、財政政策には効果がなかったのではないかと、そのように評されることもあるわけです。そこで今日は、皆さんと一緒に、この財政政策に果たして効果があったのかどうなのか、あるいは、その財政政策の効果とは一体何かということを考えていきたいと考えております。

 まずはじめに、その財政政策とはそもそも何なのかと申し上げますと、「政府が財政を通じて行う経済政策」、これが財政政策になります。

 財政政策には、いくつかの機能があるのですが、その中の一つに、経済を安定化させるというものがございます。経済は変動するのです。景気がよくなったり悪くなったりと、景気変動があるわけですが、その景気変動をスムーズにするように、財政政策は機能します。

 例えば、景気が悪くなりますと、政府支出を増やしましょうと、公共事業を行ったり、あるいは現金給付をしたり、あるいは減税をするという形で景気を喚起して、経済を下支えするということで、なんとか景気を浮揚させようという役割があります。一方、景気がよくなったときには、経済の過熱を抑制するために、財政を引き締めるといったことをするわけです。

 こういった、景気をなめらかにするような財政政策のことを「反循環的な財政政策」と呼んだりします。反循環的な財政政策がうまく機能しますと、景気の変動というものを小さくすることができるということになります。


●高齢化で財政政策・金融政策の有効性が低下した可能性


 はじめに、これまでどのように日本の財政政策が実施されてきたのかについて、簡単に振り返っていきたいと思います。

 1990年代の初頭にバブル経済が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
企業改革の核心は何か(1)組織の危機をいかに克服するか
V字回復のためには社員に「個人の痛み」を迫る覚悟を持て
三枝匡
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部