●日本経済の長期低迷…財政政策に効果はあったのか
テンミニッツTVをご覧の皆さま、こんにちは。宮本弘暁です。今日は皆さんと一緒に財政政策の効果について考えていきたいと思っております。
日本経済は、1990年代の初頭にバブル経済が崩壊してから、「失われた20年」、あるいは「失われた30年」といわれるように、経済が長期にわたって低迷をしております。この間、日本政府はさまざまな経済政策を実行してまいりました。
とりわけ「財政政策」を使い、なんとか日本経済を再浮上させようとしてきたわけですが、残念ながら、経済が本格的に浮揚することはなかったということです。
そうした中、財政政策には効果がなかったのではないかと、そのように評されることもあるわけです。そこで今日は、皆さんと一緒に、この財政政策に果たして効果があったのかどうなのか、あるいは、その財政政策の効果とは一体何かということを考えていきたいと考えております。
まずはじめに、その財政政策とはそもそも何なのかと申し上げますと、「政府が財政を通じて行う経済政策」、これが財政政策になります。
財政政策には、いくつかの機能があるのですが、その中の一つに、経済を安定化させるというものがございます。経済は変動するのです。景気がよくなったり悪くなったりと、景気変動があるわけですが、その景気変動をスムーズにするように、財政政策は機能します。
例えば、景気が悪くなりますと、政府支出を増やしましょうと、公共事業を行ったり、あるいは現金給付をしたり、あるいは減税をするという形で景気を喚起して、経済を下支えするということで、なんとか景気を浮揚させようという役割があります。一方、景気がよくなったときには、経済の過熱を抑制するために、財政を引き締めるといったことをするわけです。
こういった、景気をなめらかにするような財政政策のことを「反循環的な財政政策」と呼んだりします。反循環的な財政政策がうまく機能しますと、景気の変動というものを小さくすることができるということになります。
●高齢化で財政政策・金融政策の有効性が低下した可能性
はじめに、これまでどのように日本の財政政策が実施されてきたのかについて、簡単に振り返っていきたいと思います。
1990年代の初頭にバブル経済が...