日本の財政政策の効果を評価する
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
借金は悪ではない!? どうやって「賢い支出」をすればいいか
日本の財政政策とその効果を検証する(6)「賢い支出」のすすめ
宮本弘曉(一橋大学経済研究所教授)
世界では近年、財政政策が非常に注目を集めている。これは先進国が「セキュラー・スタグネーション」と呼ばれる長期停滞に陥っているからだ。そこからの脱却のためには財政出動が必要なのだといわれているのだが、日本は特に「課題先進国」として財政政策の抜本的な見直しが求められている。大事なことは「賢い支出」(ワイズスペンディング)で、効率的な支出をしていかなくてはいけない。そこで今回は世界的に有名な経済学者の発言を取り上げながら、積極的な財政政策の意義について解説する。(全6話中第6話)
時間:9分34秒
収録日:2023年12月14日
追加日:2024年4月11日
≪全文≫

●なぜ今、財政政策が重要なのか


 ここまで、財政政策の効果について論じてきました。「高齢化が財政政策の効果、有効性を下げる」ということと、「財政政策は雇用のジェンダー平等を実現し得る」という最近の研究結果についてご紹介させていただいたわけですが、最後に、なぜ今このタイミングで、財政政策の効果を再び考えなくてはいけないのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 世界では、財政政策がこの10年くらいのあいだ、非常に注目されております。また、今後もその重要性は高まっていくと考えられています。さらにいえば、日本で財政政策の効果を考えるということが極めて重要な局面にきているといえるかと思います。

 記憶の新しいところですと、新型コロナウイルスによるパンデミックです。コロナ禍において、空前規模の財政出動が実施をされたわけです。人々の命や健康を守り、また、経済を支えるために財政出動がなされたわけです。

 IMFによりますと、2020年から2021年の秋までのあいだに、全世界で実施された財政支援の総額は16.9兆ドルに及ぶといわれています。ものすごく大きな金額です。先進国だけではなくて新興国、あるいは途上国においても、財政出動が行われました。

 ただ、コロナ禍の前から、実は財政政策は世界で注目を浴びておりました。これはなぜかというと、先進国が「セキュラー・スタグネーション」と呼ばれる長期停滞に陥っていたからです。そこから脱却するためには財政出動が必要といわれていたわけです。


●専門家による積極的な財政出動を望む声


 世界的に有名なマクロ経済学者に、オリヴィエ・ブランシャール氏という方がいます。この方は現在、ピーターソン国際経済研究所にいらっしゃって、以前はマサチューセッツ工科大学にお勤めでした。また、IMFのチーフエコノミストをされた方でもあるのですが、このオリヴィエ・ブランシャール氏が最近こんなことを言っているのです。

 これはコロナ禍の前までの話ですが、「先進国では、金利の低い状態がずっと続いていました。金利が低い状態ですと、財政政策を行うことのコストがそんなに大きくないのだ」ということです。

 これはどういうことかといいますと、何か財政出動をしようとしたときにお金が必要になるわけです。多くの場合は、国債を発行してお金を作るわけですけれど、金利が低ければ、国債...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)『イリアス』の世界ーその1
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
納富信留
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎