●国民の3人に1人が高齢者…高齢化の現状と国際比較
財政政策の有効性が高齢化によって左右されるということを、今述べました。まず、その高齢化の現状について少しファクトを確認させていただきたいと思います。
今、図が出ているかと思いますが、こちらは高齢者数およびその割合です。人口における割合の推移を表した図となっております。高齢者の定義として、65歳以上の方が高齢者となるわけですけれど、図を見ていただくと分かりますように、高齢者数と高齢化率(高齢者の方が人口に占める割合)が、ともに上昇傾向にあることが分かるかと思います。
2023年には高齢者の方が日本全体で3600万人強いらっしゃるわけです。また、人口に占める割合が29.1パーセントとなっております。今後も高齢化が進んでいくと考えられておりまして、高齢化率が2030年には30.8パーセントと、30パーセントを超えるわけです。そして、2045年には36.3パーセントまで上昇すると見込まれています。つまり、国民の3人に1人以上が高齢者になるというようになっています。
ちなみに、国際比較をしますと、2023年に高齢化率2位の国はイタリアで24.5パーセントです。3位はフィンランドで23.6パーセントとなっています。日本が頭一つ飛び抜けて高くなっているわけです。
ただ、高齢化というものは、なにも日本だけの問題ではないわけです。こちらの図は、先進国ならびに新興国における高齢化率の推移を表した図となっております。
現在、最も高齢化が進んでいるのは日本ですが、今後他の国でも高齢化が進んでいくということが分かるかと思います。先進国のみならず、インドなど他の新興国でも高齢化が進んでいくということが示されているわけです。
つまり、高齢化は今、世界が抱える非常に大きな課題として注目されているのです。
●GDP・貯蓄・社会保障…高齢化が経済にもたらす影響
そういった中で、高齢化が経済にどういった影響を与えるのかについて、さまざまな研究が進んでいます。
例えば、高齢化が経済に与える影響としてよく挙がるのが、経済成長、GDPに与える効果です。高齢化が進みますと、労働力がそれによって減少する可能性があります。労働力が減少しますとGDPが低下する可能性があります。
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