●「原子力を最大限活用する」という転換の根拠はあるか
―― 皆さま、こんにちは。今回は日本のエネルギー政策のあり方につきまして、鈴木達治郞先生にお話を伺ってまいりたいと思います。鈴木先生、どうぞよろしくお願いいたします。
今回は第7次になりますね。エネルギー基本計画がどのようなもので、そこから見えてくるエネルギー政策がどのようなものか。はたして日本として取るべき道はどういうところなのかということで、お話を伺ってまいりたいと思います。今般の第7次のエネルギー基本計画ですけれど、鈴木先生はどのようにお見立てでいらっしゃいますでしょうか。
鈴木 私が個人的にいちばん注目したのは、福島原発事故以降、エネルギー基本計画で、原子力発電への依存度を可能な限り低減させるという文章が必ず入っていたのですが、今回それがなくなり、さらに従来なかった古い原発の建て替えとか、新設・造設の話とか、表現でいうと「原子力を最大限活用する」という表現が新しく入ったというのは、これまでの原子力政策の大きな転換になると見ています。
―― 転換というと、ただ福島での原発事故があった後もいろいろなことが政治の世界とかでも言われてまいりました。
鈴木 前回だったと思うのですけれど、エネルギー基本計画の中で初めて「再生可能エネルギーを主力電源にする」という表現が入りまして、「主力電源にする」という言葉が入ったということは、これからのメインは再生可能エネルギーだということで経産省も考えていたに違いないと思います。
―― なるほど。
鈴木 ただし、福島原発事故以降も原子力依存度を低減するという表現はあったのですけれど、具体的にどうやって低減するかという政策はほとんどなかったのです。ほとんど福島事故以前のまま継続していたということで、実際に再稼働とかは進めてきたということです。
―― もちろん今はもうエネルギー政策のあり方についてはいろいろな考え方があるとも思いますし、まあ、ここまで原子力でやってきた部分もあるので、やっぱりこれを有効活用していくべきではないかというような意見もこれは強くあるように思いますけれど、鈴木先生としてはこの原子力と他の電源のバランスといいますか、今後のあり方というのはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
鈴木 そうですね。い...