習近平中国の真実…米中関係・台湾問題
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トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
垂秀夫(元在中華人民共和国日本国特命全権大使)
「トランプ2.0」は、中国からどのように見えているのだろうか。たしかにトランプ関税は、現在非常に悪い状況にある中国経済にとって厄介だが、しかし実は中国にとっては、ひたすらアメリカ・ファーストで、体制批判や民主化・人権に口を出さないトランプ政権は、むしろ与しやすい相手だ。しかも、国際社会における米国の影響力低下も大きい。中国は「トランプ2.0」を、戦術的安定・短期的安定と捉え、時間稼ぎをしようと考えている。(全7話中第4話)
時間:8分37秒
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年10月9日
≪全文≫

●チベットやウイグルの人権問題を取り上げないトランプ政権


 私が前回強調したのは、どちらかというとトランプ大統領の再登場の前の話です。トランプ氏が再登場してからどうか。実はトランプ氏が再登場しても、このフォーミュラーはそう変わらないのですが、もう少し詳しく説明するとどうなるかということになります。

 さて、「中国はトランプ大統領にとってラスボスか」。シミュレーションゲームの最後に出てくるラスボスなのか、あるいは米中がディールをする可能性や恐れはあるのかという問題提起をしています。

 まずトランプ氏のことを言う前に、あえてもう一遍戻って、バイデン氏のことを申しますと。バイデン民主党政権は、岸田文雄総理や菅義偉総理に向けて、よくこのように言っていました。

 「現在は民主主義陣営対専制主義陣営の対立の時代である。必ずや民主主義陣営が勝たないといけない」

 だから彼ら、当時のアメリカは同盟関係を重視したわけです。そして、民主の問題や人権の問題を大事にし、また体制を大事にしたのです。だから、チベットの人権問題やウイグルの人権問題などを、しょっちゅう取り上げていたわけです。今のトランプ氏は一切取り上げません。

 ただ実際にはバイデン氏こそが安定を求めていることが相当多かったと、現場にいた私はそう思いましたが、対応は極めて中途半端だったと思います。ただ、問題提起は実はそういうことです。

 これはバイデン氏に限らず、歴代のアメリカのリーダーはだいたいこのような感じで見ていたと思います。バイデン氏は、特にこういうことを明確に言っていたのです。


●中国から「トランプ2.0」はどう見えるか?


 ではトランプ氏はどうかというと、皆さんのほうがよくご存じかもしれませんが、彼の主張は「アメリカ・ファースト」です。とにかく貿易摩擦をなんとかする。あるいはアメリカへの投資を増やして雇用を確保する。「世界の警察官」としての役割はもうやらない。それから移民政策、(つまり)一種の排外政策、排外主義です。

 では、こういうものが中国からはどう見えるか。今の中国から、現在の国際情勢はどう見えるか、米中関係はどう見えるかということです。

 一つは、民主主義体制はもう疲労骨折が起きているということで...

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