この講義シリーズは第2話まで
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習近平中国の真実…米中関係・台湾問題
国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー
政治と経済
垂秀夫(元日本国駐中華人民共和国特命全権大使)
「時間は中国に有利」というのが中国の認識だが、中国の国力はすでに衰え始めているとの見方を提示した垂氏。また、台湾問題の解決が習近平主席のレガシーになり得るかだが、かつての香港返還問題を事例として、その可能性について考える。講義終了後の質疑応答編・前編。(全7話中第6話)
時間:7分29秒
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年10月16日
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年10月16日
≪全文≫
●「時間は中国に有利」という中国の認識をどう見るか
【質問】
中国側が「時間は中国に有利だ」と考えていることについて、垂先生はどうご覧になっているのでしょうか。また、2025年で72歳になった習近平氏自身の悲願ないしレガシーはどこにあるのかを教えてください。
垂 とても大事なポイントだと思います。「時間は中国に有利だ」というのは中国の見方です。正直申し上げて私はもう中国は国力的に、マルクスではありませんが、とりわけその下部構造=経済を見ればよく分かると思いますが、ピークアウトし始めています。
今ピークアウトしても、威勢のよさなどは、いわゆる慣性として続いていきますから、さもまだ力を持っているように見えるかもしれません。しかし、たぶん5年~10年、10年~20年、おそらく20年かかる必要はないと思いますが、10年ぐらいたてば、だんだんと明らかに中国の外交力、国力自体が落ちてきていることが見えてくると思います。
例えば、「一帯一路」あるいは対外融資のようなところを見ても、簡単にいえば非常に減ってきている。アフリカの例を取ってみても、空港はアクセスロードまで整備していて、次はアフリカの首都内の案件として多数のプロジェクトがあったのが全部止まっている。そんなことばかりです。ただ、プロジェクトが止まったからといって、アフリカの人たちが国連で中国に「これこれの行動を一緒にしよう。こういう投票をしてくれ」と言われたときに、「ノー」とはなかなか言えない。だから、まだそれはそれとして(見えてこない)けれど、だんだん(明るみに出てくる)。
日本のODAが右肩下がりになったときの状況を私はよく知っています。私が一時期経済協力局にいたとき(の日本)は、トップドナー(最大の援助国)でした。トップドナーのときにはすごいものでした。今でこそいえることで、今なら絶対にできないと思いますが、はっきりいうと経済協力局長がODAの最高責任者のような感じでした。カナダやイギリスの大臣相手にドナー協議を行うわけです。局長が普通に大臣とやり合うわけです。すごく大きな権力を持っていたということです。
経済協力関係であれば、どこへ行っても、特に途上国では誰にでも会えるわけです。ところが、だんだんODAが減ってくると、やはり国力に限りが見えてくる。そう意味では、中国がそういう道をたどるのは間違いないと思います...
●「時間は中国に有利」という中国の認識をどう見るか
【質問】
中国側が「時間は中国に有利だ」と考えていることについて、垂先生はどうご覧になっているのでしょうか。また、2025年で72歳になった習近平氏自身の悲願ないしレガシーはどこにあるのかを教えてください。
垂 とても大事なポイントだと思います。「時間は中国に有利だ」というのは中国の見方です。正直申し上げて私はもう中国は国力的に、マルクスではありませんが、とりわけその下部構造=経済を見ればよく分かると思いますが、ピークアウトし始めています。
今ピークアウトしても、威勢のよさなどは、いわゆる慣性として続いていきますから、さもまだ力を持っているように見えるかもしれません。しかし、たぶん5年~10年、10年~20年、おそらく20年かかる必要はないと思いますが、10年ぐらいたてば、だんだんと明らかに中国の外交力、国力自体が落ちてきていることが見えてくると思います。
例えば、「一帯一路」あるいは対外融資のようなところを見ても、簡単にいえば非常に減ってきている。アフリカの例を取ってみても、空港はアクセスロードまで整備していて、次はアフリカの首都内の案件として多数のプロジェクトがあったのが全部止まっている。そんなことばかりです。ただ、プロジェクトが止まったからといって、アフリカの人たちが国連で中国に「これこれの行動を一緒にしよう。こういう投票をしてくれ」と言われたときに、「ノー」とはなかなか言えない。だから、まだそれはそれとして(見えてこない)けれど、だんだん(明るみに出てくる)。
日本のODAが右肩下がりになったときの状況を私はよく知っています。私が一時期経済協力局にいたとき(の日本)は、トップドナー(最大の援助国)でした。トップドナーのときにはすごいものでした。今でこそいえることで、今なら絶対にできないと思いますが、はっきりいうと経済協力局長がODAの最高責任者のような感じでした。カナダやイギリスの大臣相手にドナー協議を行うわけです。局長が普通に大臣とやり合うわけです。すごく大きな権力を持っていたということです。
経済協力関係であれば、どこへ行っても、特に途上国では誰にでも会えるわけです。ところが、だんだんODAが減ってくると、やはり国力に限りが見えてくる。そう意味では、中国がそういう道をたどるのは間違いないと思います...