習近平中国の真実…米中関係・台湾問題
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戦狼外交で国際秩序に挑戦…戦術的な微笑外交で見誤るな
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(3)戦狼外交の戦略と思惑
垂秀夫(元日本国駐中華人民共和国特命全権大使)
中国の外交方針は、鄧小平時代の「韜光養晦」から「戦狼外交」へ180度転換されたが、時折入る戦術的微笑外交が目眩し(めくらまし)となっている。現下の国際秩序に対する彼らの認識は、公平でも公正でも合理的でもなく、再構築が必要だという過激なもので、それがグローバルサウスや一帯一路に反映されていた。そのような中国にとっての「主要矛盾」「敵対矛盾」は、やはりアメリカである。(全7話中第3話)
時間:9分06秒
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年10月8日
≪全文≫

●「中国が国際秩序を作り直す」…グローバルサウス外交の思惑


 さて外交に入ります。

(中国の)外交はどうなっているのかというと、鄧小平時代は、ここに難しい漢字で書いてある「韜光養晦(とうこうようかい)」がモットーでした。一番重要なのが高い経済成長を求めることであり、高い経済成長を求めるために、比較的平和かつ安定した国際環境が必要だった。だから、アメリカや日本との関係も比較的安定していたというのが、当時の鄧小平時代の外交の大きな環境です。

 ところが、今は強い中国を求めている。強い中国を求めると、どういう状況になるかというと、やられたらやり返す。いや、むしろやられたらやり返すだけでなく、倍返し、10倍返しだということになるわけです。そうすると「戦狼外交」という形になります。ここにときどきは戦術的な微笑外交が入るので、多くの人が見間違うわけです。

 より重要なのはこの後で、ここからがより重要な話です。 今見たのはミクロ的な話ですが、マクロ的な話、国際秩序への対応をどういうふうに見ているかという話です。鄧小平中国の時代の中国は、むしろ国際秩序、特に経済秩序に自らが参画することによって利益を得ようとしていた。その代表がWTOの加盟だったのです。

 ところが、今は何と言っているか。特にトランプの登場までは何と言っていたかというと、次のようなことです。

 「現在の国際政治経済秩序は、フェアでも公平でも合理的でもない。だから、新たな秩序を再構築していく必要がある」

 これはすごいことを言っているのです。この言葉の意味するところは現在の国際秩序に対する戦略的なチャレンジということで、非常に大きなことなのです。

 彼らにとってみると、この再構築をするためにグローバルサウスというところがすごく大事になってくるわけです。また、当時は経済的な余力もあったので「一帯一路」を、その後はワクチン外交を行います。このあたりは、アメリカやヨーロッパができなかったことを、極めて上手にやってのけています。常に対立軸も明確にして、「自分たちは大家族だが、西側は小グループでしょう」という方向でやってきました。

 曲がり角というのは、今はだんだんそれも曲がり角になっているということですが、いずれにしろ、このグローバルサウス外交が大事になってくるわ...

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