健診結果から考える健康管理・新5カ条
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
バラバラ事件!? 検査項目をバラバラに見てはいけない
第2話へ進む
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
野口緑(大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授)
健康診断の結果を現在の「病気の有無」だけに注目するのは、健康管理において不十分である。大事なことは、糖尿病、認知症、脳卒中、心筋梗塞など重篤な病気につながる共通点に着目していくこと。キーワードは「血管」である。いったいどういうことなのか。将来の病気を防ぐため「血管をより長く守る」に重点を置いた、新しい健康管理の考え方を学ぶ。(全7話中第1話)
時間:11分33秒
収録日:2025年1月10日
追加日:2025年4月15日
≪全文≫

●健診結果を現在の「病気の有無」に活用するだけでいいのか


 皆さん、こんにちは。大阪大学、野口緑です。今日は「健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと 健康管理の新たな考え方5カ条」についてお話をしていきたいと思っています。

 皆さんは、年に1回健康診断(健診)を受けていらっしゃる方が多いのではないかと思います。あるいはリタイアをされた後でも、市役所やいろいろなところで健診を受ける機会があるかと思うのです。皆さん、健診結果をどのようにご覧になっていらっしゃるでしょうか。

 これまでの健康管理、健康診断を受けた結果を、どのように捉えていたかといいますと、一般的には各検査項目を、例えば身長や体重やお腹まわり、今は健診で測るということが一般的なのですけれど、これが基準を超えていると、肥満症という病気かどうか。あるいは血圧が基準を超えていて、(例えば)140の90を超えると、高血圧症という診断がつくという段階に入ってくるのですが、そうすると高血圧という病気かどうか。

 さらには、肝機能検査で基準を超えていると、肝臓病あるいは血中脂質、コレステロールや中性脂肪などが高いと脂質異常症かどうか。あるいは血糖が高いと糖尿病、尿検査が悪ければ腎臓病、心電図の検査に引っかかれば心臓病ではないかと、それぞれの検査結果をある病気に紐づけて、その病気があるかないかと判断をするというのが、これまでの一般的な健康診断の結果の見方だったのではないかと思います。

 皆さんも、そういった病気があるかないかという観点で健康診断を受けておられたのではないかと思います。こういった健康診断の結果の取り扱い方、見方というのは、今、そういった病気があるかどうかということは分かるのですが、これから先、5年後、10年後に皆さんのからだに何が起こりそうなのかということは実は分からないのです。

 そういう観点で考えたときに、本当にそういう見方だけでいいのかどうかということを少し考えてみたいと思います。


●さまざまな病気に共通する血管の問題


 多くの方々に、「今、いちばんなりたくない病気はどういった病気ですか?」とお聞きすると、多くの方が、もちろん、脳卒中や心筋梗塞...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
20億人以上が肥満…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ