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運動では減らないコレステロール…食生活の見直しで対策を

健診結果から考える健康管理・新5カ条(5)コレステロールは運動では減らない

野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
概要・テキスト
コレステロールは中性脂肪と混同されがちだが、まったく異なる性質の脂(あぶら)である。コレステロールには、消化酵素になるなど3つの使い道があるが、摂り過ぎると運動しても簡単になくならないため、血管の変化を引き起こし、健康リスクを高めてしまう。今回は、コレステロールと中性脂肪の違いからからだの中での役割、また注意すべき食生活について確認する。(全7話中第5話)
時間:12:30
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/13
≪全文≫

●運動しても簡単になくならないコレステロール、中性脂肪との違いを知る


 さて、その次に、「血管をより長く守る時代の健康管理の考え方」第4条です。「『コレステロールは運動では減らない』ということを知っておこう」ということをお話ししたいと思います。

 コレステロールも、皆さん、とても関心が高い項目なのです。少々コレステロールが高くても、また運動するから大丈夫ですとお話しされる方が多いのですが、実はコレステロールは運動では単純には減らないということをぜひ知っておいていただきたいなと思います。

 脂質異常症というと、コレステロールだけではなくて、中性脂肪というものがあります。中性脂肪とコレステロールをごちゃごちゃと捉えがちなのですけれど、中性脂肪とコレステロールは全然性質の違う血液の中の脂(あぶら)なのだということをぜひ知っておいていただきたいと思います。

 まず、中性脂肪のほうをお話しすると、中性脂肪は極めて単純な脂(あぶら)です。中性脂肪は私たちのからだにとってのガソリン、エネルギー源になるものであり、またからだに入って今(すぐ)使わなければ、血液の中には置いておかずにきちっと備蓄をします。これが脂肪細胞に備蓄するということになるのです。つまり、内臓脂肪の中身は中性脂肪ですし、皮下脂肪の中身も中性脂肪ということになります。

 この中性脂肪は、エネルギー代謝が増えると、つまり筋肉でたくさん燃やしてくれると、消費されます。そして、血液の中はきれいになります。あるいは、口からこのエネルギー源を補給しなければ、血液の中には余らずに燃えて、なくなってくれるということになるわけです。とても扱いやすいのがこの中性脂肪だけれど、毎日動くためには必ず必要になるエネルギー源ということになります。

 一方、コレステロールは、まったく異なる脂(あぶら)になります。コレステロールは使い道が決まっているのです。1点目は性ホルモン、ステロイドホルモンといったホルモンを作る材料になる。そうした仕事があるのがまず1つ目です。

 2点目ですが、このコレステロールは細胞膜を作る材料になっています。先ほど、内皮細胞の話をしましたけれど、血管の壁も細胞の寄り集まりで面を作っているわけなのですが、このコレ...
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