今どきの若者たちのからだ、心、社会
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思春期は筋力をつけるべし…メンタルヘルスとの大事な関係
今どきの若者たちのからだ、心、社会(3)体力とメンタルヘルスの関係
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
思春期の筋力低下はメンタルの問題と相関関係があると長谷川氏は言う。いったいどういうことなのか。10年間におよぶ「東京ティーンコホート」研究の対象者は世田谷区、三鷹市、調布市在住の子どもで、両親の就労状況の変化を見るとともに、体力とメンタルヘルスの関係を明らかにしていく。(全4話中第3話)
時間:9分16秒
収録日:2024年11月27日
追加日:2025年7月19日
≪全文≫

●調査対象とした子どもの家庭環境について


 (「ティーンコホート」で調査対象にしている)子どもたちは世田谷区、三鷹市、調布市在住なので、比較的裕福だというのはその通りです。10歳だった当時、父親の平均年齢は44歳、母親は平均42歳でした。きょうだいの数は18パーセントがひとりっ子、57パーセントが2人きょうだい、3人の人が21パーセント、4人以上が5パーセントなので、けっこう(子どもが)多いほうです。

 子どもが多いことは家計収入と相関しているので、やはり比較的裕福な層に偏っているというのはその通りだと思います。でも、仕方のないことです。もっと多様性のあるところや、いろいろなところ、例えば、台東区も江東区も小金井市も…というように進めようという話はありましたが、そうはいきません。どこででも住民台帳を見せていただけるわけではなく、これまでの研究の蓄積で社会関係を築いてきたところでしかできなかったのです。

 それでも、社会経済指標をもとにばらつきをなるべく広く取って、300人ぐらいをサブサンプルとして抽出して、脳画像を撮るなど、より詳しい調査もやっています。

 こちらは、両親の就労状況です。(研究を)始めたときには「週4日以上働いている(赤線)」よりも、「働いていない(青線)」母親のほうが多かった。父親は「就業時間41~50時間(緑線)」の人が多かったということです。この10年で、働いていない母親はこんなに減りました。つまり専業主婦は41パーセントから18パーセントになったのです。また、「週4日以上(赤線)」働いている母親が半分以上に増えました。

 父親の就労時間を見ると、「61時間以上(残業4時間以上)(赤線)」勤務という人は(18パーセントから)11パーセントに減りました。「41~50時間」の人の数はほぼ横ばいです。そして、「40時間以下(青線)」という人が(19パーセントから)29パーセントに増えています。

 この10年で日本の(三鷹市、調布市、世田谷区在住ですけれど)母親たちは働くようになって、父親たちはより家庭にいることができるようになったというのが、今の状況ではないかと思います。


●追跡率維持の工夫と調査項目


 (コホートでは)...

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