今どきの若者たちのからだ、心、社会
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青春期は脳のお試し期間!?社会的ニッチェと信頼の形成へ
今どきの若者たちのからだ、心、社会(2)思春期の成長、青春の脳
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
思春期にからだが急激に成長することを「思春期のスパート」と呼ぶ。先行して大きくなった脳にからだを追いつかせるための戦略である。脳はそれ以上大きくならないが、脳内の配線が変化する。そうした青春期の脳の実態を知るために、長谷川眞理子氏を中心に「東京ティーンコホート」の研究が2012年に始まった。(全4話中第2話)
時間:9分18秒
収録日:2024年11月27日
追加日:2025年7月12日
≪全文≫

●異様に大きなヒトの脳


 さて、これが身長(のグラフです)。年齢をとっていくと、身長はどんどん大きくなります。(図の)こちら(実線)が男子、こちら(点線)が女子です。1年間では何センチ伸びたかという成長速度を表すのがこちら(下)です。どんどん上がっていくということは、速度としては最初は速いけれど、どんどん落ちるということになります。

 (このグラフでは、Iが)インファント、(Cが)チャイルドフッドと推移していきます。男子がアドレッセント(A)に入ると、12~13歳あたりから急に速度が増しますが、(その後)また速度は低下して、20歳以上になるとほとんど増えないことを表しています。こちら(点線)は女子です。なので、急激に伸び率がガッと上がるときがある。これを「思春期のスパート」と呼んでいるわけです。

 これはなぜ起こるかというと、結局、脳みそとからだの両方を同時に育てることは無理なので、先に脳みそをつくっておいて、からだは後から急速に追いつかせるしかないからです。両方に資源を割くわけにはいかないために、こんなに大きな脳みそを持っているヒトには、思春期のスパートがあるわけです。だから、脳みそがどれだけ大きいかというのが重要なことです。

 これは、おとなの体重に対するおとなの脳みその重さ(の比率)でサル類全てを(並べてみたグラフです)。このように比較すると、それほど一直線には増えないのが分かる。Panはチンパンジー、Pongoがオランウータン、Gorillaはゴリラです。体重が増えても、脳重はそれに呼応してリニアに大きくはなりません。

 ところが、ヒトはこれ(Homo)です。体重を40~50キログラムの間と置いても(脳は)1200~1400グラムなので、こんなに重い。体重をもっと80キログラムから100キログラムへと右の方に動かしてみても、脳が1200~1400グラムあるのが異様だというのはお分かりいただけると思います。ですので、普通の類人猿の3倍も脳みそが大きいのです。


●からだは成長し、脳の配線が変わる思春期


 そこで、そうした脳に対応するには、非常に大変な生活史があります。そして、思春期というのは、(脳の)配線を変えていく時期です。大きさ(重さ)ではありません。大きさ1200グラム近く...

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