●血圧には2種類ある――収縮期血圧と拡張期血圧
次に、「血管をより長く守る時代の健康管理の考え方」第3条です。「『血圧』を甘く見てはいけない」というお話をしたいと思います。
高血圧はわれわれ日本人の中でいちばん多くの方が持っているリスクファクター、動脈硬化のリスクファクターです。高血圧の人は日本の中でもっとも多いし、かつさまざまな死亡の原因になっているのも高血圧であるということが報告をされていますので、血圧の管理がすごく重要になってきます。
血圧には収縮期血圧と拡張期血圧という2つがあるのですけれど、収縮期血圧は心臓がバクッと収縮したときに、大動脈という心臓の出口からつながっている太い血管――直径がだいたい2.5センチ、500円玉の大きさなのですけれど――そのかなり太い血管の壁に心臓からの拍出圧が当たって血管が伸びている、その圧力のことをいいます。そして、それが元の太さに戻ろうとする、(つまり)心臓がゆるんだときに元の太さに戻ろうとする圧力、これが拡張期血圧というのです。これがいつも高い状態であると、その先の末梢の、われわれの全身血管にも大きなダメージがあるということを少しお話ししたいと思います。
●血圧が血管を傷つける仕組み
先ほどのチャートがまた出てきました。このチャートでもう一度考えてみたいと思います。
血圧はどこにあるかというと、上から3番目です。下からのリスクファクターでいうと2段目ということになりますけれど、血圧は血管が傷み始める段階を示すという1つのリスクファクターということになります。
(では)血圧がどのように血管を傷つけるのかというお話をしていきます。
これはわれわれが作った、こういったお話をするときに使っている資料なのですけれど、血管をバツッと半分に切ったイメージで作っている図です。
血管はそもそも、かなり丈夫な構造になっています。三重構造になっていて、内膜・中膜・外膜という三重構造で、特に中膜には弾性板という弾力のある繊維で、少々では破れないというような構造になっているのです。
この血管で最も脆弱なのが「内皮細胞」という、血液に触れるいちばん内側の細胞ということになるのです。実は血...