和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
肉と野菜を一緒に食べるわけ―免疫メカニズムと和食の関係性
第2話へ進む
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
健康と医療
小泉武夫(農学博士/食文化評論者/東京農業大学名誉教授)
ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録されたのは、大きな話題になった。国の「日本食文化の世界遺産登録に向けた検討会」委員として尽力された小泉武夫氏に、和食の魅力の真髄を伺う。「良い水での調理」「心と体のための食事」などの特徴が数えられる和食が日本人の健康を育ててきた秘密を探っていく。(全7話中第1話:2023年1月24日開催ウェビナー〈和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか〉より)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分02秒
収録日:2023年1月24日
追加日:2023年4月8日
≪全文≫

●世界遺産になった和食の七つの特徴


―― 皆さま、こんにちは。

小泉 こんにちは。

―― 「テンミニッツTV」編集長の川上です。本日は小泉武夫先生に「和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか」というテーマでお話をいただきます。小泉先生、どうぞよろしくお願いいたします。

小泉 よろしく、どうぞ、お願いします。

 皆さん、こんにちは。小泉武夫です。今から8年ぐらい前(2013年)、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。私はちょうどそのときの農林水産大臣(現・外務大臣)の林芳正さんと個人的な知り合いだったことから、和食をユネスコの世界遺産に登録するための委員になってくれと言われ、引き受けました。私は「食文化論」を専攻の一つにしていますので、いろいろな意味で和食のことも少しぐらいは知っていました。しかし、今度は世界遺産です。本当に和食の真髄まで世界に披露しようということで、引き受けたわけです。

 和食は、われわれ日本人が有史以前から食べてきた食べ物ということになりますが、ひと言でいうと、最初は非常に質素な食べ物として始まりました。

 和食の特徴を少し申し上げますと、まず日本は非常に水のいい国です。だから、ご飯を水で炊く。これは非常に重要なことで、だからご飯はおいしいのです。いい水だから、おいしい。今ひとつ、味噌汁もほとんど水ですので、水のいい国の食事ということになります。

 さらに、心と身体にとてもいい、質素な食事だということがある。この講義を通して、なぜそうなのかということをお話ししていきます。

 それから、なんといっても和食はおいしいです。昔から「五味」が、「甘い、塩からい、苦い、辛い、酸っぱい」を指す言葉とされていましたが、和食から世界に六つ目の味を提案して、認められることになりました。何かというと、「旨み」です。旨みの源は出汁(だし)によるもので、鰹節・昆布・椎茸などで出汁をとり、おいしく食べようということです。

 今ひとつ、今日のテーマを陰で支える大きな存在として、極めて多種類の発酵食品があります。発酵食品とは何かについては、後でまたお話しします。

 最後にもう一つ。和食というのは、なんとなく侘び・寂びのあるような食事であり、お茶の茶道などをはじめとしていろいろな「道(どう)」が感じられる。侘び・寂びが食...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
内田智士
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治