培養肉研究の現在地と未来図
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食糧不足だけではない、「第3の肉」登場への4つの背景
培養肉研究の現在地と未来図(2)培養肉需要の背景
竹内昌治(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
培養肉や代替肉、大豆ミートといった「第3の肉」の需要が高まっているその背景にはどのような問題意識があるのだろうか。そこには、将来的な食糧難や環境保護を見据えた社会の危機感がある。畜産業界を取り巻く市場的、倫理的な問題から見えてくる培養肉研究の可能性を解説する。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分10秒
収録日:2022年10月11日
追加日:2023年1月17日
≪全文≫

●「第3の肉」登場の背景にある4つの課題


―― 今、先生の研究の位置づけをお聞きしてまいりましたので、いよいよ具体的に研究がなぜ必要かというところから、どういう課題があるのかというところまでいろいろお話を伺ってまいりたいと思います。

竹内 培養肉や代替肉も含めて、いわゆる「第3のお肉」のようなものが登場した背景は4つあると僕は思っています。1つは人口増加に伴うタンパク質不足(食糧難)。もう1つは環境負荷。3つ目は安全性。そして最後が動物福祉の問題だと思っています。

 例えば、タンパク質不足の話にいきますと、あと30年後、だいたい2050年くらいに人口は100億人くらいになるので、今より30億人くらい増えてきて、いわゆる新興国がどんどんリッチになっていくと考えられています。新興国がリッチになってくると、だんだんとお肉を(もっと)食べるようになるというデータもあります。そうすると、今よりも増えた人口の分だけお肉の供給を増やさなければいけないという状況になるのです。

 お肉の供給を増やすということは、今、唯一できるのが畜産の拡大になるわけです。ただ畜産の拡大というのは、さまざまな課題を抱えているのが現状で、これ以上増やすことはできないのではないかということで、その1つは環境の問題です。

 環境の問題でいきますと、例えば人間が出している温室効果ガスの14.5パーセントくらいが畜産由来だといわれています。これはいろいろ議論がある中でのデータなのですが、畜産(業界)もその状況は理解していて、どんどんそのガスを少なくしていこうという努力ももちろんされているのです。

 例えば、メタンガスが畜産から出てくるのが今、問題になっています。そのメタンガスをできるだけ出さないような飼料を開発するということで、未来永劫ずっと出し続けるということはおそらくないと思うのですが、現状ではそのくらいの割合を畜産が占めています。

 あと、例えば1キロのお肉を作るのに水は1.5万リットルから2万リットルくらい使われているといわれています。また、その1キロを育てるための餌は11キロから25キロくらい使われています。その餌に使われるのが、大豆やトウモロコシのような穀物です。これは人間が食べてもいいようなものを飼料として使っているとい...

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