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三日坊主で達成できないという問題には二つ要因がある

人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(4)三日坊主

島宗理
法政大学文学部心理学科教授
概要・テキスト
目標をたてても三日坊主になり達成できないという問題を多くの人が持っているはずだ。島宗理氏は、人間は動物と違って言語を持っているため、長期的な目標に向かって行動できる生物だが、そこに落とし穴があるという。目標の達成を阻害する要因は、「ちりも積もれば山となる型」と「天災は忘れた頃にやってくる型」という2つに大別できる。(全7話中第4話)
時間:09:42
収録日:2019/02/21
追加日:2019/09/05
カテゴリー:
≪全文≫

●目標達成に向けて、まず行動と環境の関係性で考える


 皆さん取り組まれることが多いと思うのですが、お正月にその年の目標を立てたりしますね。例えば、仕事で今年こそ英会話を学ぼうとか、今年こそ健康のためにダイエットをしようとか、そのために毎日ジョギングをしようなどと決めて、実際に始めるのだけれども三日坊主になってしまうということがよくあると思います。これについてお話をしましょう。

 年の初めに(別に年の初めでなくてもいいのですが)、自分はこうありたいとかこういうことがしたい、こういうことができたらいいな、といった願いを立てるというのは、どういうことかと考えてみます。それは行動することによって、何か長期的なメリットがあるということだと思うのです。

 上記のダイエットを例にすると、特にお正月だとまだ寒いですね。寒い中、外に出てジョギングをするというのは短期的には、震えるような寒さであったり、疲れてしまったり、その間は家でぬくぬくできなかったりといった状況に陥ります。行動分析学で行うABC分析でいうと、服を着替えて外に出て走り始めるというだけでも、まず服を着替えなければいけません。それから寒い外に出なければいけません。走り始めたら息があがって疲れてきます。このように、行動を強化しない、いろいろな要因がたくさん出てくるので、それによって行動が自発されなくなるというのは、実は自明の理なのです。

 ですから、そういう環境でなかなかジョギングに出かけないというのは、個人攻撃の罠にはまって自分を責めてもあまり意味がないわけです。どうしてかというと、それはその人にやる気がないからではなく、しっかりした意志の力がないからでもなく、環境がそうだからです。なので、まずは行動と環境の関係性から、なぜジョギングに行かないのかということを冷静に考えてみるというのが、まず1つあると思います。


●言語があるから長期的な目標の達成に向かえる


 もう1つは、この点が多分、人間と動物の大きな違いになると思うのですが、動物は行動した直後の結果には強く影響されるのに対して、長期的な結果には影響されにくいのです。特に1年かけて成就したい目標とか、5年や10年かけて成就したい目標を達成できる生物というのは、人間しかいないと考えられています。なぜならば、人間には言葉があるからなのです。ですから、例えば、寒...
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