心と感情の進化
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
「心と感情」を分析したり定義したりするのは難しい。行動生態学から考えると全ての基礎は、動物は「動ける」ということだ。そのため、つねに新しい状況に直面し、そのつど何をするかを決めなくてはいけない。その行動選択と意思決定において、人間は「感情・情動」が大きく関わってくる。(全3話中第1話)
時間:11分02秒
収録日:2022年4月21日
追加日:2022年7月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●心と感情とは何か?--行動生態学から考える


 総合研究大学院大学の長谷川です。今日は「心と感情の進化」というタイトルで少し考えてみました。このテーマは本当に大きいので、どういう切り口でどのように話すかですが、今回だけではなく、いろいろな話があると思います。

 心や感情がどういうものかというのは、皆さん、すぐに想像はつくでしょうし、すぐ思い浮かぶものもあると思いますが、実は結構難しいことです。何がどうしているのか、また脳の働きがどうなっているのかということは、とても複雑な問題だからです。

 人間も含め動物がどのように行動するかの基礎を探るのが動物の行動生態学ですから、これによって「心や感情とは何だろう」の答えを考えてみました。ここで大事なのは、動物は「動ける」ということです。動けるということは、動くに従っていろいろと状況が変わるし、その状況に応じて自分がまた動いて反応するということです。

 それを時々刻々やらなくてはいけないので、動物は常に自分が直面しているもろもろの状況において、どうやって生き延びるか、どうすれば繁殖できるかということの適切な行動選択をしていかないといけません。それには、たくさん情報を集めて、今の状態を把握し、いくつかある行動の選択肢の中から、「これではなく、これにしよう」と決めなければいけない。そういうことをしているのが神経系の働きです。

 神経系が中枢神経系としてもっと膨らんで塊になったものを「脳」といいます。脳のないミミズのような動物でも、神経系があるだけでちゃんと行動選択はしていきます。

 ここで非常に重要なのは、人間はすぐにものが分かったり理解できたりして考えることを必ずしてしまうので、そういうことをしないと生きていけないかと思ってしまうのですが、それは人間に近いほど脳の発達した、(進化の)後のほうの動物の話だということです。

 ミミズも昆虫も全て、いくつかの行動選択肢(こっちへ行くか・行かないか)などの中で一つの行動(こっちへ行く)と決めるのは、いわゆる感情とか情動です。

 逃げるのか・戦うのか、怖いのか・怖くないのか、交尾したほうがいいのか、食べにいったほうがいいのか、今これを食べたほうがいいのか・もっと探して別のものを食べたほうがいいのかなどなど、その場面における行動の選...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(3)組織のバランスが崩れる日
豊臣秀吉が暴君になるほど影響が大きかった弟・秀長の死
小和田哲男