98歳の医師が明かす「生物学的教育論」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
赤ちゃんの脳を人間の脳にする「リリーシング」とは
98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(3)「リリーシング」としつけ
井口潔(九州大学名誉教授/日本外科学会名誉会長/医学博士・理学博士)
生物学的な観点から教育を見ると、年齢に応じて必要な教育は異なる。赤ちゃんに必要なのは、人間としての脳にするために重要な「リリーシング」という働きかけである。赤ちゃんは親の表情や行動などから非常に多くの影響を受けている。では親は赤ちゃんの前でどうふるまえばいいのか。「リリーシング」としつけについて伺った。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分14秒
収録日:2020年1月11日
追加日:2020年7月9日
≪全文≫

●自分の親を認識するときの「リリーシング」


―― そうなると、やはりまさにお腹の中から出た時ときの大きな違いなんですね。それまで、お腹の中で神経のもとの部分を作っていく中で、だんだん隙間が作られている。生まれ落ちてさまざまな刺激を受けると、先生がお書きになっているように、ニューロンがいろいろとつながっていく。この隙間ができるという点が重要なのですね。

井口 はい。

―― 生物学的な点に関して、この本(『人間力を高める脳の育て方・鍛え方』)の中で非常に印象的だったのは、年齢に応じて必要なことが変わってくるという点です。例えば、あまり早いうちから知力を養うような教育は必要ではなくて、脳の発達に応じて、この段階ではこれが最適で必要だということがあると強く主張しておられます。これは多くの方に参考になるなと思いながら読ませていただいたのですが、それをぜひこのテンミニッツTVでもお話いただきたく思います。どのような順番になりますでしょうか。

井口 最初のスタートは、こういうことなんです。チンパンジーは生物の最右翼で、最大で500ミリリットルほどの脳を持っています。ヒトの場合、最終的には1500ミリリットルになるわけですが、生まれたときの500ミリリットルほどの脳は、まだケダモノの脳なんです。先ほどいった、オオカミのようなものですよ。

―― それは、生まれた最初がまさにその段階ということですね。

井口 そうです。だからね、それを人間の脳にしなければならないのですね。動物学者によると、魚などの動物が生まれてからすぐ自分の親だと分かるとき、ある鳴き声を出すそうです。「キャキャッ」とね。その「キャキャッ」という特別な鳴き声を聞いたとき、「この子の親になるんだ」と分かる。それを「リリーシング」というんですよ。


●微笑ましいという感覚が赤ちゃんを人間にする


井口 それになぞらえて、例えばお母さんがいて、「かわいいね」とかいって赤ちゃんを抱きますね。すると、家族も来て「かわいい」「かわいい」という。リリーシングはそれに相当するわけです。お母さんの目は、お母さんの大脳の唯一の窓です。その目を通して、赤ちゃんの目に働きかけていく。赤ちゃんの目もその唯一の窓なので、赤ちゃんの大脳に働きかけることになる。お母さんが笑いかけると、赤ちゃんもニコッと笑う。すると、「あ、笑った、笑った」となって...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司