『貞観政要』を読む
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
第2話へ進む
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏が、中国唐代の編まれた古典『貞観政要』を丁寧に読み解いていく。唐の太宗・李世民の言行録をまとめた『貞観政要』は、古来より帝王学の教科書として重視され、リーダーたる者の読むべき第一級の古典とされてきた。田口氏はまず、この書物の成立した背景や現代中国での位置づけを語った。(全15話中第1話)
時間:15分53秒
収録日:2016年7月25日
追加日:2016年10月31日
≪全文≫

●『貞観政要』とはどんな書物か


 今回から『貞観政要』という書物を読みます。このところ、『貞観政要』もだいぶ皆さんに読まれることが多くなったので、改めて紹介するまでもないと思いますが、一つだけ申し上げたいことがあります。

 今回扱う『貞観政要』の基となっている書物がこの本です。これは明治書院から出ている「新釈漢文大系」の一つとして編まれているものです。この版は二巻で構成されています。当時は唐の時代です。遣唐使が日本と中国を頻繁に行き来していました。時期で言えば真ん中以降の遣唐使の頃に、『貞観政要』という書物ができます。それで唐では、皆がこれを読んでいました。「なぜ皆が読んでいるのですか」と聞くと、「長期政権の基本が書いてある」と教えてくれた。「それはいいですね」ということになって、遣唐使の諸君が皆それを持ち帰り、日本の政権を長くしようと考えました。618年から唐代で、李世民の即位が626年です。630年から遣唐使の派遣が始まり、その後、かなり長期間続きました。これはずいぶん長く続いたと思います。

 この本を全部持ってくるのも大変ですから、「ここはすごく良いな」「ここが良いな」と、遣唐使の一人一人が「ここがいい」「あそこがいい」を思った部分をばらばらに持ってきました。これが江戸期まで、ずっと続いたのです。だから、何となくばらばらと『貞観政要』が入ってきたことになります。そのため、いろいろなタイプの『貞観政要』が日本にありました。


●『貞観政要』の整理に一生をかけた学者の存在


 もしこの本がそういう状態ならば、今、私が皆さんに「この貞観政要というのは・・・」とお話をすることもできません。つまり、何をもって本当の『貞観政要』といっていいのか分からないというものなのです。時代的変遷で文章も多少違っており、ある文章が別の文章になっているなどします。そういう事情のため、「これが正当な『貞観政要』だ」というのがよく分からないわけで、それでは『貞観政要』を正当に読むこともできません。

 この本(「新釈漢文大系」の版)の最後に、著者である原田種成(たねしげ)という人の名前が書いてあります。この原田種成先生こそ、『貞観政要』を一生かかって全て読了し、「こちらとあちらは対になっているべきだ」とか「これはここに入っているべきだ」と言いました。一生を『貞観政要』のために生きたよう...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
便利を求めるだけのいいの?…「不便益」で発見できる新たな魅力
川上浩司
「ものがたり」のあるコンプライアンス(1)その本質とは
なぜ企業はコンプライアンスの本質から外れてしまうのか?
國廣正
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
営業から考える企業戦略(1)成功するブランド戦略とは?
ブランド力を高めるために「自社の強み」を徹底的に聞け
田村潤
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
国家の利益~国益の理論と歴史(3)マキャベリとホッブズによる新「国家」観
マキャベリが禁書にもなった『君主論』で説いた思想とは
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留