国際地域研究へのいざない
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
インド研究で重要なイギリス植民地統治の影響への視点
国際地域研究へのいざない(4)インドの歴史と日本との関係
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
今日のインドの政治は、19世紀以降の複雑な歴史的遺産によって規定されている。19世紀半ばにイギリスに植民地化されると、イギリス政府の分割統治の影響によって、インド国内の分断は激しくなった。独立後も、中国との国境紛争や首相の度重なる暗殺など、幾度も悲劇に見舞われてきた。インドは日本に対して友好的であるにもかかわらず、日本側の理解は不足しているため、今こそインド社会をより深く学び、インドとの協調を拡大していくべきだと島田晴雄氏は力説する。(全8話中第4話)
時間:7分00秒
収録日:2020年4月7日
追加日:2020年12月5日
≪全文≫

●現代インドに今も後遺症を残すイギリス植民地統治


 第二次世界大戦後、インドは1947年に独立しました。その過程で、ジャワハルラール・ネルーという素晴らしいリーダーが、3つの理念を打ち出しました。1つはイギリス植民地主義からの脱却、2つ目は平等を重視した社会主義、そして3つ目は宗教を政治に持ち込まないという理念です。また、一党による独裁ではなく、多くの政党や地方社会と協議をしながら、政治の方向性を定めていったのです。

 モディ首相は、こうした理念を全てひっくり返しました。イギリスの植民地主義の後遺症などではなく、とにかく競争して勝てば良いという考えです。さらに、社会主義や計画経済はとんでもないもので、自由主義経済での競争を奨励しています。加えて、多様な国民の協議による統治から、選挙での勝利でその是非を問うなどの考え方を打ち出しているわけです。

 インド独立後、60年以上にわたって、上のような国民会議派の伝統のもとで統治されてきました。こうした伝統は、イギリスによる19世紀以来のインド植民地統治から生まれたものです。19世紀の半ばのインドで、セポイの反乱が起こりました。これは、東インド会社が雇ったインド兵が、搾取的な待遇に不満を持ち、反乱を起こしたものです。こうした動きを抑えようとして、イギリス本国が進出してきました。東インド会社に統治させておくのも問題なので、本国が直接統治する方が良いという結論を、1877年に出しました。この年に、インドは正式に植民地化されました。

 当時、イギリスはヴィクトリア女王の時代で、彼女をインド帝国の皇帝に据えました。しかし、イギリスによるインド統治は、キツネが巨大なゾウを従えるという構造なので、さまざまな手練手管を用いました。基本は分割統治です。

 当時のインドには、「マハラジャ」と呼ばれる統治者がいました。彼らは税を納める必要はなく、巨大な宮殿を持っていました。イギリス政府も、マハラジャの子弟を教育するために、ケンブリッジやオクスフォードに留学、寄宿させていました。さらに、政治運動にもある程度寛容で、国民会議派の出現も許容していました。

 しかし、一方では厳しく統制していた側面もあります。独立間際には、パキスタンをインドから分離させるよう画策しました。パキスタンやベンガル人を含めた地域が全て大インド民族として一体になると、非常に強...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(7)領国経営と秀長の統治能力
想像以上に有能――領民に慕われた秀長のリーダーシップ
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
経済と社会の本質を見抜く(4)コンプライアンスとリスクの境界線
コンプライアンスよりも重いレピュテーショナルリスク問題
柳川範之
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ