世界哲学のすすめ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
世界哲学マップをどう描くか…西洋に偏った哲学史の是正へ
世界哲学のすすめ(9)世界哲学史の構想
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
哲学の多様な伝統を生かしていくためには、世界哲学をマッピングすることが必要だと説く納富氏。それが地域による哲学伝統、その偏りを是正する方策となるからだ。1つの伝統には裏表もあれば分岐もあり、他地域からの流入を経て変化もしている。日本という東アジアの端に位置する国の伝統や中国・朝鮮・西洋との関係を見直すことも必要だ。(全9話中第9話)
時間:12分20秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年3月12日
≪全文≫

●世界哲学のマップをどう描くか


 世界哲学を考え、遂行していくためには「世界哲学史」が必要だというお話をしました。さまざまな哲学の多様な伝統や、その中における哲学者の考え方や書物などを全体として見渡し、生かしていくためには、一種のマッピングが必要だと思うからです。そのマッピングが、世界哲学史と私が呼ぶものです。では、具体的にそれはどんな感じで描けるのだろうかということについて、私のアイデアをお聞かせしたいと思います。

 実はこのことは、筑摩(書房)から出した『世界哲学史』シリーズを編集した後の反省から起こりました。これには時代ごとに古い時代から、いわば同時代的にさまざまな分野の研究を入れてきたのですが、きちんと整理すると次のようなことが分かってきました。

 古い時代には、さまざまな伝統が横並びで並んでいた。私が編集した古代の時代にはヨーロッパもあれば、メソポタミアもあり、インド、ユダヤ、中国もあるという状況ですが、時代が現代に近くなるにしたがって、だんだんヨーロッパ一辺倒になってくる。例えば、近代のインドはどうだったか、あるいは近代の中国が少し薄くなっているな、ということです。

 ですから、世界哲学をやろうとしても、ただ単にその時代に重要なものだけを集めて横並びにすると、今のようなことが起こってしまう。つまり、何か非常に偏ったことが起こってしまうので、そこをきちんと是正した、正しい見方をしなくてはいけないのではないかと考えたときに、世界哲学のいわばマップをどう描くかということに取り組まなくてはいけないと考えたわけです。


●西洋に偏った哲学史


 そこで、今ここで少し板書をしながらお示ししたいと思うことがあります。

 古代においては大きく3つ、文明という哲学の伝統が生じた。これを(後に)「枢軸の時代」とカール・ヤスパースが呼びました。1つは紀元前7~6世紀ぐらいからいうと、古代のギリシア。ここで起こった哲学は、前にお話ししたように当然エジプトやメソポタミアの遺産を受け継いで、それを発展させるものだったわけです。つまり、それ以前からあったエジプト、メソポタミアを発展させて、ギリシアの文明があった。

 これはどういう文化になるかというと、少なくとも中世、「ラテン中世」と呼ばれるキリスト教世界を経て、ルネサンスから近代科学の近代文明になって、現代につな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ