世界哲学のすすめ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
哲学=「西洋哲学」という不思議な誤解と歴史的問題
世界哲学のすすめ(3)西洋哲学中心主義
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
世界哲学が出発点とするのは、西洋中心に築かれてきた哲学史を見直し、突破することである。書店でも図書館でも、哲学のコーナーにはギリシアから始まる西洋哲学が並び、東洋の思想は宗教のコーナーへと区別されている。それは日本が初めて哲学に出会った19世紀という時代の問題だろう。(全9話中第3話)
時間:11分49秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年1月29日
≪全文≫

●「哲学=西洋哲学」という偏見


 世界哲学というプロジェクトについてご紹介しながら、私たちがどういうふうにこの世界について考えていくべきか、そして世界の哲学を進めていくべきかということについて、私のアイデアをお伝えしているところです。

 ここで改めて、哲学といっているものに対して、なぜ世界哲学といわなくてはいけないか、あるいはそういうことに何か意味があるのかを考えます。もちろん「どうせ哲学というのは最初から全てのことを扱うわけだし、人間は哲学をやってきたからいいではないか」と思われるかもしれません。その疑問はその通りです。つまり、「世界」とつけなくてもかまわない。ところが、この21世紀に私たちが改めて哲学をやるときに、一旦世界とつけないと難しいと思っている問題があります。それが今回お話しする「哲学」という概念に関わっています。

 哲学といったとき、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。私が専門にしているソクラテス、プラトン、アリストテレスあたりはパッと出てくるかもしれません。その後は多分デカルトやカントやハイデガー、あるいはフーコーやデリダという名前が次々に出てくると思います。よく考えてみると、これらはみな西洋の人ではないでしょうか。「でも、西田幾多郎がいるよね」あるいは「九鬼周造がいるよね」と思われるかもしれません。彼らも、西洋哲学の勉強をした上で(哲学を)始めている人たちです。

 そういうことで、実は一番大きな問題は、これまで哲学といわれて学んだり、本やさまざまな場面で議論されてきたりしたことは、よくよく考えてみると非常に狭いのではないか。はっきりいうと、ヨーロッパ、さらにいえば西ヨーロッパと北アメリカで行われてきたさまざまな文化的な活動のことを哲学と呼んできたのではないか。つまり、今まではそれらが西洋哲学のことだと考えられてきたのではないかという問題です。

 もし、私たちが哲学と呼んできたものが、実質上西洋哲学だけだとしたら、これは足りない。だから、そこを突破するために世界という語をくっつける。そこが、最初の出発点です。


●西洋哲学しか見ていない私たち


 本来哲学というと、世界という語をつけなくても全てを行うはずなのに、実際には非常に狭い部分でしかやってこなかったとすると、哲学の可能性が狭まっていた、もっというと、多様な可能性の多くが排除...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
軍事力行使も辞さぬトランプ政権が破戒する普遍的価値観
佐橋亮
これからの社会・経済の構造変化(2)経済的利益と社会課題解決の両立へ
利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
柳川範之